「動画を見ながらLINEの返事をしたい」
「ナビを見ながら電話をかけたい」
そんな経験はありませんか?
Androidには、そんな要望を叶えてくれるピクチャーインピクチャー(PiP)という便利な機能があります。
この機能を使えば、動画やマップを小さな窓で表示しながら、他のアプリを同時に操作できるようになります。
この記事では、PiP機能の基本的な使い方から応用テクニックまで、初心者にもわかりやすく解説します。
ピクチャーインピクチャーとは

基本的な仕組み
ピクチャーインピクチャー(Picture-in-Picture、略してPiP)は、動画やナビゲーションなどのコンテンツを画面の隅に小さな窓で表示しながら、他のアプリを操作できるマルチタスク機能です。
どんなときに便利?
動画視聴しながらの作業
- YouTubeで解説動画を見ながらメモアプリで要点をまとめる
- 料理動画を見ながらタイマーアプリを設定
- 語学学習動画を見ながら辞書アプリで単語を調べる
ナビゲーション中の操作
- Google Mapsで道案内を受けながら電話をかける
- 運転中にナビを表示しながら音楽アプリで曲を変更
- 目的地までの経路を確認しながらお店の情報を調べる
コミュニケーション中の情報共有
- ビデオ通話しながら写真アプリで画像を選択
- チャットで質問されたことを動画で確認しながら返事
- オンライン会議中に資料を別アプリで確認
PiP機能の特徴
- 小窓表示 動画やマップが画面の角に小さな窓(通常は画面の1/4程度のサイズ)で表示されます。
- 自由な配置 小窓はドラッグして好きな位置に移動できます。作業の邪魔にならない場所に配置しましょう。
- サイズ調整 ピンチ操作(指で拡大縮小する動作)で小窓のサイズを変更できます。
- 簡単な操作 小窓をタップするだけで、一時停止や再生ができます。
PiP機能の対応要件
必要なAndroidバージョン
Android 8.0(API レベル 26)以降
2017年にリリースされたAndroid 8.0から標準機能として搭載されました。
確認方法
- 設定アプリを開く
- 「デバイス情報」または「システム」をタップ
- 「Androidバージョン」を確認
機種による違い
標準的なAndroid
Google Pixel、Android Oneなどの機種では、基本的にすべてのPiP機能が利用できます。
メーカーカスタマイズ版
Samsung(Galaxy)、Xiaomi、Huawei、OPPOなどのメーカーは独自のカスタマイズを行っているため、一部機能が制限されたり、設定方法が異なったりする場合があります。
PiP機能の使い方

基本的な操作手順
YouTube(Premium会員の場合)
- YouTubeアプリで動画を再生
- ホームボタンをタップ、またはホーム画面に戻るジェスチャーを実行
- 動画が自動的に小窓で表示される
- 小窓をドラッグして好きな位置に移動
注意:YouTube無料版の制限
YouTube Premiumに加入していない場合、PiP機能は利用できません。これはYouTube側の仕様です。
Google Mapsでの使用方法
ナビゲーション中のPiP
- Google Mapsでナビゲーションを開始
- ホームボタンをタップしてホーム画面に戻る
- マップが小窓で表示され、音声案内も継続
便利な活用例
- 目的地までのナビを表示しながら、お店の電話番号を調べて予約
- 道案内を受けながら、同行者にLINEで現在地を共有
- 運転中にナビを見ながら、音楽アプリでプレイリストを変更
Chromeブラウザでの動画PiP
HTML5動画の場合
- Chromeで動画サイト(Twitter、Facebook、ニュースサイトなど)を開く
- 動画を全画面再生にする
- ホームボタンをタップ
- 動画がPiPモードで継続再生
対応サイト例
- Twitter(ツイートに埋め込まれた動画)
- Facebook(投稿された動画)
- ニュースサイトの動画コンテンツ
- 教育サイトの解説動画
PiP対応アプリ一覧

動画・エンターテイメント系
YouTube
- 対応状況:Premium会員のみ
- 特徴:高画質での小窓再生、チャプター機能対応
Netflix
- 対応状況:Android 9.0以降の一部機種
- 特徴:映画やドラマを小窓で視聴可能
Amazon Prime Video
- 対応状況:アプリ設定で有効化が必要
- 特徴:オリジナルコンテンツもPiP対応
VLC Media Player
- 対応状況:すべての動画形式に対応
- 特徴:ローカル動画ファイルの再生に最適
MX Player
- 対応状況:無料版でも利用可能
- 特徴:字幕表示、再生速度調整も小窓で可能
ナビゲーション・マップ系
Google Maps
- 対応状況:すべての機能でPiP利用可能
- 特徴:音声案内、リアルタイム交通情報表示
Waze
- 対応状況:コミュニティ情報もPiPで表示
- 特徴:他ドライバーからの情報も小窓で確認
ビデオ通話・会議系
Google Meet
- 対応状況:ビデオ会議中のPiP対応
- 特徴:画面共有しながら他アプリ操作可能
Zoom
- 対応状況:会議参加中にPiP利用可能
- 特徴:ミュート、カメラON/OFF操作も小窓から
Discord
- 対応状況:音声・ビデオ通話でPiP対応
- 特徴:ゲーム中の通話に便利
その他の便利アプリ
Google Chrome
- 対応状況:HTML5動画でPiP可能
- 特徴:ウェブサイトの動画コンテンツ全般
Twitch
- 対応状況:ライブ配信視聴でPiP利用可能
- 特徴:ゲーム配信を見ながらチャット参加
PiP機能の設定方法

基本設定の確認
Android設定からのアクセス
- 設定アプリを開く
- 「アプリ」または「アプリと通知」をタップ
- 「特別なアプリアクセス」を選択
- 「ピクチャーインピクチャー」をタップ
- 各アプリの許可状況を確認・変更
個別アプリでの設定
YouTubeの場合
- YouTubeアプリを開く
- 右上のプロフィール画像をタップ
- 「設定」→「全般」
- 「ピクチャーインピクチャー」をオンに設定
Chromeの場合
- Chromeアプリを開く
- 右上の「︙」メニューをタップ
- 「設定」→「サイトの設定」
- 「ピクチャーインピクチャー」を許可に設定
メーカー別の特別設定
Samsung Galaxy
- 設定→「便利な機能」
- 「マルチウィンドウ」
- 「ピクチャーインピクチャー」をオン
Xiaomi(MIUI)
- 設定→「その他の設定」
- 「ボタンとジェスチャーのショートカット」
- 「フローティングウィンドウ」を有効化
Huawei(EMUI)
- 設定→「スマートアシスト」
- 「マルチウィンドウ」
- 「スマートウィンドウ」をオン
よくあるトラブルと解決方法

PiPが機能しない場合
アプリの許可設定を確認
- 設定→アプリ→特別なアプリアクセス→ピクチャーインピクチャー
- 該当アプリが「許可」になっているか確認
- 「許可しない」になっている場合は「許可」に変更
バッテリー最適化の影響
- 設定→「バッテリー」→「バッテリー最適化」
- PiP対応アプリを「最適化しない」に設定
- バックグラウンド動作を許可
アプリのバージョン確認
- Google Playストアでアプリを検索
- 最新バージョンにアップデート
- アプリを再起動してPiP機能を再試行
小窓の操作がうまくいかない場合
小窓が見つからない
- 画面の端に隠れている可能性があります
- 画面の4つの角と上下左右の端を確認
- アプリを再起動すると小窓が中央に戻ることがあります
小窓のサイズが変更できない
- 一部のアプリでは固定サイズの場合があります
- ピンチ操作(2本指での拡大縮小)を試す
- アプリの設定で小窓サイズオプションを確認
小窓が勝手に消える
- メモリ不足が原因の可能性があります
- 他のアプリを終了してメモリを確保
- スマートフォンを再起動
動画が停止してしまう場合
ネットワーク接続の確認
- Wi-Fiまたはモバイルデータ通信が安定しているか確認
- 通信制限にかかっていないか確認
- アプリのデータ使用量設定を確認
アプリの権限設定
- 設定→アプリ→該当アプリ→権限
- 「カメラ」「マイク」「ストレージ」の権限を確認
- 必要に応じて権限を許可
PiPをもっと便利に使うテクニック
効率的な配置のコツ
作業内容に応じた配置
- 文字入力時:小窓を画面上部に配置(キーボードと重ならない)
- 読み物をするとき:小窓を画面下部に配置(テキストが見やすい)
- 画像を見るとき:小窓を左右の端に配置(画像全体が確認できる)
複数アプリの使い分け
- メインで使うアプリの邪魔にならない位置を見つける
- よく使うボタンやメニューの上に小窓を重ねない
- スクロールが必要なコンテンツでは画面中央を避ける
活用シーン別のテクニック
勉強・学習での活用
- 解説動画を小窓で見ながらノートアプリでメモ取り
- 語学学習アプリの音声を再生しながら辞書アプリで単語確認
- オンライン授業を受けながら参考資料をブラウザで確認
仕事・ビジネスでの活用
- ビデオ会議を小窓で参加しながらメールの確認・返信
- プレゼン資料を確認しながら別アプリで追加情報を検索
- 指示動画を見ながら実際の作業アプリで操作
エンターテイメントでの活用
- ゲーム攻略動画を見ながら実際にゲームをプレイ
- 音楽ライブ配信を小窓で見ながらSNSで感想をシェア
- スポーツ中継を見ながらスコアや選手情報をアプリで確認
ショートカット機能の活用
クイック設定からのアクセス
- 画面上部から下にスワイプして通知パネルを表示
- 「PiP」または「フローティングウィンドウ」のアイコンをタップ
- 対応アプリが一覧表示され、すぐに小窓モードで起動
ジェスチャーナビゲーションとの組み合わせ
- Android 10以降のジェスチャーナビゲーションでは、画面下部からのスワイプでホームに戻ると同時にPiPが自動起動
- 従来の3ボタンナビゲーションでもホームボタン一回タップでPiP起動
プライバシーとセキュリティの注意点

画面録画・スクリーンショット時の注意
- 機密情報の表示 PiP機能使用中は、小窓の内容も含めて画面キャプチャされます。仕事関係の動画やプライベートな通話中は注意しましょう。
- SNS投稿時の確認 スクリーンショットをSNSにアップする際は、小窓に映っている内容も確認してから投稿しましょう。
通信データ使用量への影響
バックグラウンド再生による追加通信 PiPモード中も動画ストリーミングは継続されるため、通信データ使用量が増加します。
Wi-Fi環境での使用を推奨 特に高画質動画や長時間の使用時は、Wi-Fi環境での利用をおすすめします。
バッテリー消費への影響
複数アプリ同時動作 PiP機能は複数のアプリを同時に動作させるため、バッテリー消費が通常より多くなります。
効率的な使用方法
- 必要のない小窓は早めに閉じる
- バッテリー残量が少ないときは使用を控える
- 充電しながらの使用を検討
まとめ
Androidのピクチャーインピクチャー機能は、スマートフォンの生産性と利便性を大幅に向上させる優れた機能です。
基本的な理解
- Android 8.0以降で利用可能なマルチタスク機能
- 動画やナビを小窓表示しながら他アプリを同時操作
- ドラッグでの位置移動、ピンチでのサイズ調整が可能
対応アプリの把握
- YouTube(Premium必須)、Google Maps、Chrome等が主要対応
- VLC Player、Netflix、各種ビデオ通話アプリも対応
- アプリごとに設定方法や制限事項が異なる
設定と トラブル対策
- 基本設定:設定→アプリ→特別なアプリアクセス→PiP
- バッテリー最適化の除外設定も重要
- メーカー独自カスタマイズの場合は専用設定が必要
効果的な活用方法
- 学習:解説動画+メモアプリの組み合わせ
- 仕事:ビデオ会議+資料確認の並行作業
- ナビ:地図表示+電話・メッセージアプリの同時使用
注意点の認識
- 画面録画時のプライバシー配慮
- 通信データ使用量の増加
- バッテリー消費への影響
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