アクションパンとは?映像制作で使われるカメラワークの基本技法を分かりやすく解説

ライフハック

映画やアニメを見ていて、カメラが左右にスーッと動いて景色が流れていくシーンを見たことはありませんか?

実はあれ、「パン」という撮影技法の一つなんです。そして「アクションパン」という言葉は、このパンを使って動きや臨場感を表現する手法を指します。

この記事では、映像制作の基本であるパンの仕組みから、実際の使い方まで初心者の方にも分かりやすく説明していきます。

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パン(パンニング)って何?

パン(Pan)とは、カメラの位置を固定したまま、左右に振る(回転させる)撮影技法のことです。

語源と基本的な仕組み

「パン」という名前は「パノラマ(panorama)」という言葉が由来になっています。パノラマは「見渡す限りの広い景色」を意味する言葉ですね。

カメラを三脚などで固定した状態で、レンズの向きだけを水平方向に動かします。まるで首を左右に振って周りを見回すような動きです。

カメラ自体は移動しないため、映る対象物との距離は変わりません。ただし、レンズが向く方向が変わることで、画面に映る内容が次々と切り替わっていきます。

パンとチルトの違い

カメラを振る方向によって、呼び方が変わります。

パン(Pan): カメラを水平方向(左右)に振る動き

チルト(Tilt): カメラを垂直方向(上下)に振る動き

パンは横方向の動き、チルトは縦方向の動きと覚えると分かりやすいでしょう。実際の撮影では、パンとチルトを同時に使うこともよくあります。

映像制作でのパンの使い方

パンは映画、ドラマ、アニメなど、あらゆる映像作品で使われる基本的な技法です。

場所の全体像を見せる

広い景色や部屋の全体を見せたい時に使われます。

たとえば西部劇で、カメラが砂漠の地平線をゆっくりパンすることで、果てしない荒野の広がりを表現できます。一つの固定画面では収まりきらない広大な空間を、観客に伝えることができるんです。

動いているものを追いかける

走る人や車、飛んでいる鳥など、動く対象を画面の中心に捉え続けるために使われます。

これを「フォローパン」や「追いパン」と呼びます。対象物を追いかけながらカメラを振ることで、動きの臨場感が生まれます。

情報を段階的に見せる

最初は何も映っていない画面から、カメラをパンすることで重要な情報を明らかにする演出です。

たとえばホラー映画で、暗い部屋をゆっくりパンしていくと、最後に恐ろしいものが映り込む…といった使い方ですね。観客の緊張感を高める効果があります。

会話のやり取りを表現

二人の登場人物が会話している時、カメラを左右にパンして話し手を交互に映すことがあります。

テンポよくパンすることで、会話のリズムや緊迫感を表現できます。コメディ作品では、この技法が笑いを生み出すこともあります。

パンの種類とスピード

パンの速度によって、観客が受ける印象は大きく変わります。

スローパン(ゆっくりなパン)

じっくりと景色や状況を見せたい時に使われます。

壮大な自然の風景や、細部まで見せたい建物の内部などで効果的です。ゆったりとした雰囲気や、静かな緊張感を作り出せます。

ノーマルパン(標準的な速さ)

自然な視線の動きに近い速度でのパンです。

人物を追いかけたり、場所を説明したりする時に一般的に使われます。観客にとって違和感のない、スムーズな映像になります。

ファストパン(速いパン)

急いで何かを見せたい時や、緊張感を高めたい時に使われます。

アクションシーンで素早く動く対象を追いかけたり、突然の展開を表現したりする際に効果的です。

ウィップパン(スイッシュパン)

非常に高速でカメラを振る技法です。

あまりに速いため、画面がブレて一瞬何も見えなくなります。この特性を活かして、場面転換のエフェクトとして使われることが多いです。

クエンティン・タランティーノ監督の作品などでよく見られる、スタイリッシュな演出方法です。

アニメーションでのパン

実写だけでなく、アニメーション作品でもパンは重要な技法です。

アニメでの「パン」の意味

アニメーションでは、実際のカメラは使いません。
でも、カメラが動いているように見せる演出として「パン」という言葉が使われます。

背景画を左右に動かしたり、デジタル処理でカメラが動いているような効果を加えたりします。

三段パン

アニメ独特の演出技法として「三段パン」というものがあります。

これは同じシーンに対して、同じようなパンを3回連続で繰り返す手法です。アニメ作品『あしたのジョー』で多用されたことで有名になり、現代のアニメでも使われる定番の演出になっています。

緊迫した場面や、重要な決断の瞬間などで効果を発揮します。

アニメーション制作での工夫

アニメでは制作の効率化のため、パンをうまく活用します。

たとえばキャラクターが静止したまま、背景だけをパンさせることで「歩いている」ように見せることができます。全てのコマを描き直すより、ずっと効率的なんです。

Google Pixelの「アクションパン」機能

ここまでは映像制作の話でしたが、実は「アクションパン」という言葉には、もう一つの意味があります。

スマートフォンの撮影機能

Google Pixel 6以降のスマートフォンには、「アクションパン」という撮影モードが搭載されています。

これは写真における「流し撮り」を簡単に撮影できる機能です。動いている被写体はピントが合ったままクッキリと、背景はブレて流れるように撮影できます。

流し撮りって何?

通常の写真では、動いているものを撮ると被写体がブレてしまいます。

流し撮りは、カメラを動く被写体と同じ速度で動かしながらシャッターを切る技法です。すると被写体は止まって見え、背景が流れるように写ります。

車やバイク、走っている人などを撮影する時に、スピード感や躍動感を表現できる人気の技法です。

アクションパン機能の仕組み

従来の流し撮りは、タイミングやカメラの動かし方が難しく、初心者にはハードルが高い技法でした。

Google Pixelのアクションパンは、AI(人工知能)の画像処理技術を使って、この難しい流し撮りを自動的に実現してくれます。

撮影方法は2通り:

  1. 動いている被写体を画面に入れて追いかけながらシャッターを押す(従来の流し撮りと同じ)
  2. カメラを構えて待ち、被写体が画面に入ったタイミングでシャッターを押す(AIが自動で加工)

2番目の方法なら、カメラを動かす必要すらありません。スマートフォンが後から画像処理で流し撮り風に仕上げてくれるんです。

どんな時に使うと効果的?

  • 子供やペットが走っている瞬間
  • スポーツの試合や競技
  • 車やバイク、自転車
  • 電車や飛行機
  • お祭りやイベントでの動きのある場面

動きのある被写体なら、何でも試してみる価値があります。普段の写真とは違った、ダイナミックな一枚が撮れますよ。

パンとドリーショットの違い

パンと混同されやすい撮影技法に「ドリーショット」があります。

ドリーショットとは

ドリーショット(トラッキングショット)は、カメラ自体を物理的に移動させる技法です。

レールの上にカメラを乗せて前後左右に動かしたり、人がカメラを持って歩きながら撮影したりします。

決定的な違い

パン: カメラの位置は固定、レンズの向きだけが変わる

ドリーショット: カメラ自体が移動する

パンでは被写体との距離は変わりませんが、ドリーショットでは距離が変化します。この違いにより、映像から受ける印象も大きく異なります。

ドリーショットは観客がその場に移動しているような没入感を生み出しますが、パンは観察者として景色を見渡しているような感覚になります。

パンを効果的に使うコツ

実際にパンを使って撮影する時のポイントを紹介します。

スムーズな動きを心がける

パンの最大の敵は「カクカクした動き」です。

三脚を使う場合は、雲台(カメラを固定する部分)がスムーズに動くタイプを選びましょう。フルード雲台と呼ばれるタイプが、滑らかなパンに適しています。

手持ちで撮影する場合は、ジンバル(手ブレを抑える機材)を使うとプロのような滑らかな映像が撮れます。

パンの速度を一定に保つ

パンの途中で速度が変わると、観客に違和感を与えてしまいます。

始めから終わりまで、できるだけ一定の速度で動かすことが大切です。慣れないうちは、ゆっくり始めて、ゆっくり終わる「加速と減速」を意識すると自然な映像になります。

目的を明確にする

「なぜこの場面でパンを使うのか?」を常に考えましょう。

ただカメラを動かすだけでは、意味のない映像になってしまいます。何を見せたいのか、どんな感情を伝えたいのかを明確にしてから撮影すると、効果的なパンができます。

パンの始点と終点を決める

いきなりパンを始めると、観客は何が起きたのか分かりません。

パンを始める前に、数秒間静止した映像を入れるのが基本です。同様に、パンが終わった後も少し静止させることで、観客が映像を理解する時間を作れます。

有名な映画でのパンの使用例

実際の映画作品で、効果的にパンが使われている例を見てみましょう。

『アラビアのロレンス』

広大な砂漠をゆっくりとパンする長いショットが印象的です。

果てしない荒野の孤独感や、物語の壮大なスケールを表現するのに、パンが効果的に使われています。

『グランド・ブダペスト・ホテル』

ウェス・アンダーソン監督の作品では、緻密に計算されたパンが多用されています。

シンメトリー(左右対称)な構図と組み合わせた美しいパンが、独特の映像美を作り出しています。

『キル・ビル』

クエンティン・タランティーノ監督は、ウィップパンを効果的に使うことで知られています。

高速のパンで場面を切り替えることで、アクションシーンにさらなるスピード感とスタイルを加えています。

まとめ

「アクションパン」という言葉は、主に映像制作におけるカメラワークの一つ「パン」を指します。

パンとは、カメラの位置を固定したまま、レンズの向きを左右に振る撮影技法です。広い景色を見せたり、動く対象を追いかけたり、情報を段階的に明らかにしたりと、様々な目的で使われます。

速度によってスローパン、ノーマルパン、ファストパン、ウィップパンなどに分類され、それぞれ異なる効果を生み出します。

また、Google Pixelスマートフォンの「アクションパン」は、流し撮りを簡単に撮影できる機能の名称です。AIの力を借りて、初心者でもプロのような動感のある写真が撮れるようになっています。

映画やアニメを見る時に、カメラがどう動いているか意識してみると、新しい発見があるかもしれませんね。

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