「外出先でパソコンを使いたいけど、Wi-Fiがない…」
そんな時に便利なのが、iPhoneの「インターネット共有」機能です。この機能を使えば、iPhoneをモバイルWi-Fiルーターのように使って、パソコンやタブレットをインターネットに接続できます。
この記事では、iPhoneのインターネット共有(テザリング)の基本的な設定方法から、便利な使い方、注意点まで分かりやすく解説していきます。初めての方でも簡単に設定できますので、ぜひ参考にしてください。
インターネット共有(テザリング)とは?

インターネット共有(テザリング)とは:
iPhoneのモバイルデータ通信を、他のデバイスと共有できる機能です。iPhoneを「モバイルWi-Fiルーター」として使うイメージですね。
iPhoneの画面表示について:
- iPhoneの設定では「インターネット共有」と表示されます
- 一般的には「テザリング」とも呼ばれます
- どちらも同じ機能を指しています
こんな時に便利:
- カフェでパソコン作業をしたい時
- 移動中にタブレットを使いたい時
- 自宅のWi-Fiが不調の時
- 公共のWi-Fiを避けたい時(セキュリティ面で安心)
- 旅行先でパソコンを使いたい時
インターネット共有を使う前の確認事項
設定を始める前に、以下の点を確認しておきましょう。
確認1:キャリアのプランを確認
インターネット共有が利用できるかチェック:
キャリアやプランによっては、別途申し込みが必要だったり、利用できない場合があります。
主要キャリアの対応状況:
ドコモ:
- 基本的に申し込み不要(一部プランを除く)
- My docomoで確認可能
au:
- テザリングオプションへの加入が必要
- My auから申し込み可能
- 申し込み当日から利用可能(21時以降の申し込みは翌9時から)
ソフトバンク:
- テザリングオプションへの加入が必要
- My SoftBankから申し込み可能
- プランによって無料・有料が異なる
楽天モバイル:
- 申し込み不要
- 無料で利用可能
ahamo・povo・LINEMO:
- すべて申し込み不要
- 無料で利用可能
確認2:データ容量を確認
インターネット共有は、iPhoneのモバイルデータ通信を使用します。
確認するポイント:
- データ容量の残りは十分か
- 速度制限がかかっていないか
- 無制限プランでも、テザリング利用に制限がないか
確認3:接続可能台数を確認
同時接続台数の制限:
- iPhoneは通常最大5台まで同時接続可能
- キャリアやiPhoneモデルによって異なる場合がある
基本的な設定方法
それでは、実際にインターネット共有を設定していきましょう。
ステップ1:インターネット共有をオンにする
- 「設定」アプリを開く
- 「インターネット共有」をタップ
- または「モバイル通信」→「インターネット共有」と進む
- 「ほかの人の接続を許可」をオンにする
Wi-Fiがオフの場合:
- 「Wi-Fiをオンにする」または「BluetoothとUSBのみ」を選択
- Wi-Fiテザリングを使う場合は「Wi-Fiをオンにする」を選択
ステップ2:パスワードを確認・変更する
パスワードの確認:
- 設定→インターネット共有
- 「”Wi-Fi”のパスワード」に表示されているのが、接続用パスワード
パスワードの変更方法:
- 「”Wi-Fi”のパスワード」をタップ
- 新しいパスワードを入力(8文字以上)
- 「完了」をタップ
パスワードの注意点:
- 8文字以上のASCII文字を使用
- 英数字と一部の記号のみ使用可能
- 日本語、中国語、ロシア語などは使用不可
- 複雑なパスワードにすることを推奨
ステップ3:ネットワーク名を確認する
ネットワーク名(SSID)とは:
他のデバイスがWi-Fi一覧で見つける際の、iPhoneの表示名です。
確認方法:
- インターネット共有の画面に表示されている「”○○のiPhone”を検索できるようにします」の部分
- この「○○のiPhone」がネットワーク名
ネットワーク名の変更方法:
- 設定→一般→情報
- 「名前」をタップ
- 新しい名前を入力
- 完了
注意:
個人情報(本名など)を含まない名前にすることをおすすめします。
3つの接続方法
インターネット共有には、3つの接続方法があります。それぞれの特徴を理解して、状況に応じて使い分けましょう。
方法1:Wi-Fiテザリング
特徴:
- 最も一般的で簡単な方法
- 複数のデバイスを同時に接続可能(最大5台)
- 通信速度が速い
- バッテリー消費は中程度
メリット:
- 設定が簡単
- ほとんどのデバイスで使える
- パソコン、タブレット、ゲーム機など幅広く対応
デメリット:
- Bluetoothより電力を消費
- セキュリティ設定が重要
使用シーン:
- 複数デバイスを接続したい時
- 高速通信が必要な時
- 動画視聴やファイルダウンロードをする時
方法2:Bluetoothテザリング
特徴:
- Wi-Fiより省電力
- 速度はWi-Fiより遅い
- 1対1の接続に適している
メリット:
- バッテリーが長持ち
- セキュリティが高い
- ペアリングすれば次回から簡単に接続
デメリット:
- 速度が遅い(メール確認程度なら問題なし)
- 複数台の同時接続には不向き
使用シーン:
- バッテリーを節約したい時
- 軽い作業のみ行う時
- 外出が長時間になる時
方法3:USBテザリング
特徴:
- 最も安定した接続
- iPhoneを充電しながら使える
- ケーブルが必要
- 主にパソコンで使用
メリット:
- 接続が非常に安定
- 充電しながら使える
- バッテリー消費を気にしなくて良い
- 速度が速く安定している
デメリット:
- ケーブルが必要
- 移動しながらの使用には不向き
- 1台しか接続できない
使用シーン:
- 長時間作業する時
- 安定した接続が必要な時
- オンライン会議をする時
- 大容量ファイルをダウンロードする時
接続する側のデバイス別設定方法

インターネット共有をオンにしたら、接続したいデバイス側で設定を行います。
iPhone・iPadから接続する場合(Wi-Fi)
- 接続したいiPhone・iPadで「設定」を開く
- 「Wi-Fi」をタップ
- ネットワーク一覧からiPhoneの名前を探す
- 「インターネット共有」のアイコンが表示されることもある
- タップして選択
- パスワードを入力
- 「接続」をタップ
Instant Hotspot(同じApple IDの場合):
- 同じApple IDでサインインしている場合
- パスワード入力不要で自動接続
- 非常に便利
Macから接続する場合(Wi-Fi)
- メニューバーのWi-Fiアイコンをクリック
- ネットワーク一覧からiPhoneの名前を選択
- 必要に応じてパスワードを入力
Instant Hotspot対応:
- 同じApple IDなら自動で表示
- パスワード不要で接続可能
Windowsパソコンから接続する場合(Wi-Fi)
- タスクバーのWi-Fiアイコンをクリック
- ネットワーク一覧からiPhoneの名前を探す
- 「接続」をクリック
- パスワードを入力
- 「次へ」をクリック
Macから接続する場合(Bluetooth)
- iPhoneで設定→Bluetooth→オン
- Bluetooth設定画面を表示したまま
- Macでシステム設定→Bluetooth
- デバイス一覧からiPhoneを選択
- 「接続」をクリック
- 表示されるコードを確認して「ペアリング」
Windowsパソコンから接続する場合(Bluetooth)
- iPhoneでBluetooth設定を開いたまま
- Windowsの「設定」→「デバイス」→「Bluetoothとその他のデバイス」
- 「Bluetoothまたはその他のデバイスを追加する」
- iPhoneを選択してペアリング
- システムトレイのBluetoothアイコンを右クリック
- 「パーソナルエリアネットワークへ参加」
- iPhoneを選択して「接続方法」→「アクセスポイント」
Macから接続する場合(USB)
- MacにiTunesまたはFinderの最新版をインストール
- USBケーブルでiPhoneとMacを接続
- iPhone画面に「このコンピュータを信頼しますか?」と表示されたら「信頼」をタップ
- Macのシステム設定→ネットワーク
- 「iPhone USB」が表示されれば接続完了
Windowsパソコンから接続する場合(USB)
- iTunesの最新版をインストール
- USBケーブルでiPhoneとパソコンを接続
- iPhone画面に「このコンピュータを信頼しますか?」と表示されたら「信頼」をタップ
- 自動的にインターネット接続が開始
セキュリティ設定のポイント
インターネット共有を安全に使うための設定を確認しましょう。
強力なパスワードを設定する
推奨パスワード:
- 10文字以上
- 英字の大文字・小文字を混在
- 数字を含める
- 記号を含める(可能であれば)
避けるべきパスワード:
- 12345678などの単純な数字
- passwordなどの一般的な単語
- 誕生日や電話番号
- 同じ文字の連続
デバイス名を適切に設定する
推奨する名前:
- ニックネームやイニシャル
- 一般的な名前(例:MyiPhone、iPhone2024)
避けるべき名前:
- 本名(例:田中太郎のiPhone)
- 住所や電話番号を含むもの
- 個人を特定できる情報
使わない時はオフにする
オフにするメリット:
- バッテリーの節約
- セキュリティリスクの軽減
- 意図しない接続を防ぐ
- データ通信量の節約
オフにする方法:
- 設定→インターネット共有
- 「ほかの人の接続を許可」をオフ
自動オフ機能:
- 接続されているデバイスがなくなると、一定時間後に自動でオフになる
- バッテリー節約に効果的
データ使用量の管理
インターネット共有は、iPhoneのモバイルデータを消費します。賢く管理しましょう。
データ使用量を確認する方法
確認手順:
- 設定→モバイル通信
- 下にスクロールして各アプリのデータ使用量を確認
注意点:
- インターネット共有で使用したデータも含まれる
- より正確な数値は、キャリアのアプリやマイページで確認
データ容量別の使用目安
軽い作業(1時間あたり):
- メール確認:約10〜20MB
- Webページ閲覧:約50〜100MB
- SNS閲覧:約100〜200MB
中程度の作業(1時間あたり):
- 音楽ストリーミング:約50〜100MB
- ビデオ通話:約300〜500MB
重い作業(1時間あたり):
- 動画視聴(標準画質):約500MB〜1GB
- 動画視聴(HD画質):約2〜3GB
- アプリダウンロード:数百MB〜数GB
データを節約するコツ
節約テクニック:
- 動画の画質を下げる
- YouTubeやNetflixの画質設定を標準またはそれ以下に
- 自動再生をオフにする
- SNSの動画自動再生をオフに
- アプリの自動更新をオフにする
- Wi-Fi接続時のみ更新するよう設定
- バックグラウンド更新を制限
- 設定→一般→Appのバックグラウンド更新→オフ
- クラウド同期を一時停止
- iCloudフォト、Googleフォトなどの同期を停止
バッテリー節約のコツ
インターネット共有はバッテリーを消費します。長持ちさせるコツを紹介します。
バッテリー消費の比較
消費が多い順:
- Wi-Fiテザリング
- Bluetoothテザリング
- USBテザリング(充電しながらなので実質消費なし)
バッテリーを長持ちさせる方法
方法1:USBテザリングを使う
- 充電しながら使える
- 最もバッテリーに優しい
方法2:Bluetoothテザリングを使う
- Wi-Fiより省電力
- 軽い作業のみの場合におすすめ
方法3:低電力モードを活用
- 設定→バッテリー
- 「低電力モード」をオン
注意:低電力モード中は一部の5G接続が制限される場合があります
方法4:画面の明るさを下げる
- コントロールセンターで調整
- 自動明るさ調整をオンにする
方法5:不要なアプリを終了
- バックグラウンドで動作するアプリを終了
便利な機能
iPhoneのインターネット共有には、便利な機能がいくつかあります。
Instant Hotspot(インスタントホットスポット)
Instant Hotspotとは:
- 同じApple IDでサインインしているデバイス間で使える機能
- パスワード入力不要で自動接続
- 非常にスムーズで便利
使える条件:
- 両方のデバイスが同じApple IDでサインイン
- BluetoothとWi-Fiがオンになっている
- iOS 8.1以降、macOS Yosemite以降
使い方:
- iPhone側でインターネット共有をオンにする
- 「ほかの人の接続を許可」はオフでもOK
- Mac、iPad、他のiPhoneのWi-Fi設定を開く
- デバイス一覧にiPhoneが自動表示される
- タップするだけで接続完了(パスワード不要)
ファミリー共有
ファミリー共有とは:
- 家族のデバイスを自動的にインターネット共有に接続できる機能
- パスワード入力不要
- 接続を承認制にすることも可能
設定方法:
- 設定→インターネット共有
- 「ファミリー共有」をタップ
- 「ファミリー共有」をオン
- 家族の名前をタップして設定を選択
設定オプション:
- 自動:家族のデバイスが自動的に接続
- 承認を求める:接続時に承認を求める通知が表示
互換性を優先(iPhone 12以降)
互換性を優先とは:
- 古いデバイスでも接続しやすくする機能
- 2.4GHz帯に切り替えて互換性を向上
設定方法:
- 設定→インターネット共有
- 「互換性を優先」をオン
使用シーン:
- 古いパソコンやタブレットを接続する時
- 接続できないデバイスがある時
注意点:
- 速度が少し遅くなる可能性がある
- 必要な時だけオンにする
接続状態の確認方法
インターネット共有が正しく動作しているか確認しましょう。
iPhone側での確認
接続中の表示:
- 画面上部が青または緑色になる
- 「インターネット共有:○台接続中」と表示される
- インターネット共有のアイコンが表示される
コントロールセンターで確認:
- 画面右上から下にスワイプ(ホームボタンあり機種は下から上)
- インターネット共有のアイコンをタップ
- 接続中のデバイス数が表示される
接続デバイス側での確認
確認方法:
- Wi-Fiアイコンが表示される
- iPhoneのネットワーク名が表示される
- インターネットに接続できるか試す
よくある質問と回答

インターネット共有とWi-Fiルーターの違いは?
主な違い:
インターネット共有:
- iPhoneのモバイルデータを使用
- データ容量に制限がある
- 持ち運びが簡単
- 追加機器不要
モバイルWi-Fiルーター:
- 専用のデータプラン
- 大容量プランが多い
- 別途契約・機器が必要
- バッテリーが大容量
どちらを選ぶべき?
- 時々使う程度ならインターネット共有で十分
- 毎日長時間使うならモバイルWi-Fiルーターがおすすめ
データ無制限プランなら使い放題ですか?
注意点:
多くの無制限プランでも、テザリングには制限がある場合があります。
確認すべきこと:
- テザリング専用の容量制限
- 速度制限の条件
- 追加料金の有無
例:
- 「スマホは無制限、テザリングは月30GBまで」など
- キャリアのプラン詳細を必ず確認しましょう
接続台数を増やせますか?
通常の制限:
- iPhoneは最大5台まで
増やす方法:
- 基本的に増やすことはできません
- どうしても必要なら、モバイルWi-Fiルーターの使用を検討
代替案:
- 優先順位を決めて接続
- 使わないデバイスは切断
通信速度は遅くなりますか?
通常の場合:
- iPhoneのモバイル回線と同じ速度
- 4G/5Gなら十分高速
遅くなる要因:
- 電波状況が悪い場所
- 接続デバイスが多い
- データ容量を超えて速度制限中
- Bluetoothテザリング使用時
セキュリティは大丈夫ですか?
iPhoneのインターネット共有は安全:
- 暗号化されている
- WPA2セキュリティを使用
- 通信内容は保護されている
- パスワード保護
- 強力なパスワード設定で安全性向上
- 公共Wi-Fiより安全
- 自分専用のネットワーク
- 他人が傍受できない
さらに安全にする方法:
- 定期的にパスワードを変更
- 使わない時はオフにする
- デバイス名に個人情報を含めない
海外でも使えますか?
使用可能:
- 海外ローミング中でも使える
- 設定方法は国内と同じ
注意点:
- 高額請求のリスク
- 海外ローミングは料金が高額
- データ容量を大量消費する可能性
- 事前確認が必須
- キャリアの海外プランを確認
- 定額プランの利用を推奨
- 代替案
- 現地SIMカードを購入
- 海外用ポケットWi-Fiをレンタル
- eSIMサービスを利用
バッテリーはどれくらい持ちますか?
使用時間の目安:
Wi-Fiテザリング:
- 軽い作業:約4〜6時間
- 動画視聴:約2〜3時間
Bluetoothテザリング:
- 軽い作業:約6〜8時間
USBテザリング:
- 充電しながらなので無制限
長持ちさせるコツ:
- 低電力モードを使う
- 不要な時はオフにする
- USBテザリングを選ぶ
まとめ
iPhoneのインターネット共有について、まとめると以下のようになります。
インターネット共有とは:
- iPhoneをモバイルWi-Fiルーターとして使える機能
- 外出先でパソコンやタブレットをインターネットに接続できる
- 「テザリング」とも呼ばれる
3つの接続方法:
- Wi-Fiテザリング:最も一般的、速度が速い、複数台接続可能
- Bluetoothテザリング:省電力、1対1接続向き
- USBテザリング:最も安定、充電しながら使える
基本的な設定:
- 設定→インターネット共有
- 「ほかの人の接続を許可」をオン
- パスワードを確認・設定
- 接続したいデバイスで接続
セキュリティのポイント:
- 強力なパスワードを設定(10文字以上推奨)
- デバイス名に個人情報を含めない
- 使わない時はオフにする
データ管理のポイント:
- 動画視聴はデータ消費が大きい
- 画質設定を下げて節約
- データ残量をこまめに確認
バッテリー節約のコツ:
- USBテザリングが最も効率的
- Bluetoothは省電力
- 低電力モードを活用
便利な機能:
- Instant Hotspot:同じApple IDなら自動接続
- ファミリー共有:家族のデバイスを簡単接続
- 互換性を優先:古いデバイスでも接続可能(iPhone 12以降)
インターネット共有は、使い方を覚えれば非常に便利な機能です。外出先でのパソコン作業や、Wi-Fiがない環境でも快適にインターネットを利用できます。
ただし、データ容量とバッテリーの消費には注意が必要です。使用状況に応じて接続方法を使い分け、賢く活用しましょう。
設定は簡単なので、まだ使ったことがない方は、ぜひ一度試してみてください。きっと便利さを実感できるはずです!


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