「友達にスマホを貸したいけど、他のアプリを見られたくない…」「子どもに特定のアプリだけ使わせたい」「ゲーム中の誤タップを防ぎたい」
そんな悩みはありませんか?
Androidには「画面のピン留め(Screen Pinning)」という便利な機能があります。これを使えば、特定のアプリだけを表示し続け、他のアプリやホーム画面への移動を防げます。今回は、画面固定機能の基本から設定方法、使い方、そして解除方法まで、わかりやすく解説します。
Androidのピン留め(画面固定)とは?基本を理解しよう

まず、画面のピン留め機能がどんなものか押さえておきましょう。
画面のピン留めとは
「画面のピン留め」(Screen Pinning)または「アプリ固定」とは、Android 5.0から搭載された機能で、特定のアプリ画面を固定して、他のアプリやホーム画面に移動できないようにする機能です。
ピン留め中は、以下のことができなくなります:
- ホームボタンでホーム画面に戻る
- 戻るボタンで前の画面に戻る
- タスクボタンで他のアプリに切り替える
- 通知を開く(通知は表示されるが開けない)
ただし、ピン留めしたアプリ内の操作は自由にできます。
どんなときに使う?
友達にスマホを貸すとき
写真や動画を見せたいだけなのに、勝手に他のアプリを開かれる心配がありません。
子どもにスマホを使わせるとき
学習アプリやゲームだけを使わせて、他のアプリや設定を触らせない。
プレゼンや展示で使うとき
特定のアプリだけを表示して、他の情報を見られないようにする。
ゲーム中の誤操作防止
ゲームプレイ中に誤ってホームボタンを押してしまうのを防ぐ。
iPhoneの「アクセスガイド」との違い
iPhoneにも同様の機能として「アクセスガイド」がありますが、Androidの画面固定とは以下の点が異なります:
iPhoneのアクセスガイド
- アプリ内の特定領域のタッチを無効にできる
- より細かい制御が可能
Androidの画面固定
- アプリ全体を固定するのみ
- アプリ内の操作は制限できない
- 設定が簡単
【機種別】画面固定機能を有効にする方法
画面固定を使うには、まず設定で機能を有効にする必要があります。
Google Pixel・標準Androidの設定方法
最も標準的な手順です。
手順
- 「設定」アプリを開く
- 「セキュリティ」または「セキュリティとプライバシー」をタップ
- 「詳細設定」を展開(機種によっては不要)
- 「アプリ固定」または「画面固定」をタップ
- 「アプリ固定を使用」または「画面固定」のスイッチをオンにする
追加設定
「ピン留めを解除するときにPIN/パターンを入力する」をオンにすると、セキュリティが強化されます。
これをオンにすると、画面固定を解除する際に画面ロックの解除が必要になります。
Samsung Galaxy(ギャラクシー)の設定方法
Galaxyシリーズは若干手順が異なります。
手順
- 「設定」アプリを開く
- 「ロック画面とセキュリティ」または「セキュリティとプライバシー」をタップ
- 「その他のセキュリティ設定」を選択
- 「アプリ固定モード」または「画面のピン留め」をタップ
- スイッチをオンにする
セキュリティ設定
「解除時に画面ロックを利用する」をオンにすることをおすすめします。
Xperia(エクスペリア)の設定方法
- 「設定」アプリを開く
- 「セキュリティ」をタップ
- 「詳細設定」を展開
- 「画面固定」を選択
- スイッチをオンにする
AQUOS(アクオス)の設定方法
- 「設定」アプリを開く
- 「セキュリティ」をタップ
- 「詳細設定」を選択
- 「画面固定」をタップ
- 機能をオンにする
Xiaomi・POCO・Redmiの設定方法
- 「設定」アプリを開く
- 「追加設定」をタップ
- 「セキュリティ」または「プライバシー」を選択
- 「画面固定」を見つけてオンにする
OPPO・OnePlus・Realmeの設定方法
- 「設定」アプリを開く
- 「セキュリティ」または「プライバシー」をタップ
- 「システムセキュリティ」を選択
- 「アプリロック」または「画面固定」を探す
- 機能を有効にする
HUAWEIの設定方法
- 「設定」アプリを開く
- 「セキュリティ」をタップ
- 「その他の設定」を選択
- 「画面の固定」を見つけてオンにする
設定が見つからない場合
検索機能を使う
設定アプリの上部にある検索バーで「ピン留め」「固定」「pinning」などと検索してみましょう。
Androidバージョンを確認
画面固定機能はAndroid 5.0以降で利用可能です。それより古いバージョンでは使えません。
アプリをピン留めする方法
設定を有効にしたら、実際にアプリをピン留めしてみましょう。
【基本】3ボタンナビゲーションでのピン留め方法
手順
- ピン留めしたいアプリを開く
- 画面下部の「タスク」ボタン(□または三本線)をタップ
- 最近使ったアプリの一覧が表示される
- ピン留めしたいアプリのアイコン(画面上部)をタップ
- メニューから「画面のピン留め」または「ピン留め」を選択
- 説明が表示されたら「OK」または「開始」をタップ
これで、アプリがピン留めされました。
【ジェスチャーナビゲーション】でのピン留め方法
ジェスチャーナビゲーションを使っている場合も、手順はほぼ同じです。
手順
- ピン留めしたいアプリを開く
- 画面下部から上にスワイプして長押し(タスク画面を表示)
- ピン留めしたいアプリのアイコン(カード上部)をタップ
- 「画面のピン留め」または「ピン」を選択
- 「OK」をタップ
ポイント
タスク画面を表示する際、短くスワイプするとホーム画面に戻ってしまいます。少し長めにスワイプして、アプリ一覧が表示されてから指を離しましょう。
Android 8.1以前の機種での方法
古いバージョンのAndroidでは、手順が少し異なります。
手順
- ピン留めしたいアプリを開く
- タスクボタン(□)をタップ
- アプリカードを上にスワイプ
- 画面右下にピンのアイコンが表示される
- ピンアイコンをタップ
画面のピン留めを解除する方法
ピン留めを解除する方法は、ナビゲーションタイプによって異なります。
【3ボタンナビゲーション】での解除方法
手順
- 「戻る」ボタン(◀)と「タスク」ボタン(□)を同時に長押し
- 数秒間押し続ける
- ロック画面が表示される
- PIN・パターン・パスワードを入力(設定している場合)
ポイント
同時押しがうまくいかない場合は、少しずらして押すと反応することがあります。
【ジェスチャーナビゲーション】での解除方法
ジェスチャーナビゲーションの場合、解除方法が異なります。
手順
- 画面下部(白い線の位置)から上にスワイプして長押し
- そのまま指を止めて数秒待つ
- ピン留めが解除される
- ロック画面が表示されるので、認証する
ポイント
通常のホーム操作より長めにホールドする必要があります。スワイプして、指を画面に置いたまま1〜2秒待ちましょう。
【2ボタンナビゲーション】での解除方法
2ボタンナビゲーションの場合:
- 画面下部から上にスワイプして長押し
- または、戻るボタンとホームボタンを同時長押し
解除できない場合の対処法
電源ボタンで再起動
どうしても解除できない場合は、電源ボタンを長押しして端末を再起動できます。
ただし、再起動後はピン留めが自動的に解除されます。
ピン留め中にできること・できないこと

画面固定の機能と制限を理解しておきましょう。
ピン留め中にできること
ピン留めしたアプリ内の操作
- アプリ内のすべての機能を使える
- タブの切り替え
- リンクのタップ
- 入力操作
- 画面の回転
緊急通話
- 緊急電話(110、119など)は発信可能
電源操作
- 電源ボタンで画面オフ/オン
- 電源ボタン長押しで電源メニュー表示
ピン留め中にできないこと
他のアプリへの移動
- ホーム画面に戻れない
- 他のアプリを開けない
- タスク切り替えができない
通知の操作
- 通知は表示されるが、タップして開けない
- 通知パネルを引き下げられない
設定の変更
- クイック設定にアクセスできない
- 設定アプリを開けない(ピン留め中のアプリが設定でない限り)
ピン留め中でも注意が必要なこと
アプリ内から他のアプリが開ける場合がある
例えば:
- ブラウザアプリをピン留めした場合、ブラウザ内からリンクをタップすると、設定によっては他のアプリが開くことがある
- SNSアプリで「他のアプリで共有」機能が使えることがある
完全なセキュリティではない
画面固定は、あくまで誤操作防止や簡易的なプライバシー保護のための機能です。
企業や業務用途で厳格なセキュリティが必要な場合は、MDM(モバイルデバイス管理)ソリューションやキオスクモードを検討しましょう。
便利な活用シーン
画面固定機能の実用的な使い方を紹介します。
友達に写真を見せるとき
シーン
「この前の旅行の写真見せて!」と言われたとき。
使い方
- ギャラリーアプリで見せたい写真を開く
- アプリをピン留め
- スマホを友達に渡す
これで、他の写真フォルダや別のアプリを勝手に見られる心配がありません。
子どもに動画を見せるとき
シーン
YouTubeで子ども向け動画を見せたいとき。
使い方
- YouTubeで動画を再生
- 全画面表示にする
- アプリをピン留め
- スマホを子どもに渡す
子どもが誤って他のアプリを開いたり、不適切な動画を再生したりするのを防げます。
ゲーム中の誤タップ防止
シーン
横画面でゲームをプレイするとき。
使い方
- ゲームアプリを起動
- アプリをピン留め
- プレイ開始
ゲーム中に誤ってナビゲーションボタンをタップしても、ゲームが中断されません。
プレゼンや展示会で使用
シーン
自分のスマホでプレゼン資料を表示したいとき。
使い方
- プレゼンアプリやPDFビューワーを開く
- 資料を表示
- アプリをピン留め
- 参加者に見せる
他の通知やアプリが表示されず、プロフェッショナルな印象を保てます。
店舗での商品カタログ表示
シーン
お客様にタブレットで商品カタログを見せるとき。
使い方
- カタログアプリを開く
- アプリをピン留め
- お客様に操作してもらう
他の業務用アプリや個人情報を見られる心配がありません。
よくある質問とトラブルシューティング
画面固定に関するよくある質問にお答えします。
ピン留め中に着信があったらどうなる?
着信は受けられます
電話がかかってくると、着信画面が表示されます。
ただし、ピン留めは解除されません。電話を切ると、ピン留めしていたアプリに戻ります。
電源を切ったらどうなる?
再起動後はピン留めが解除されます
電源ボタンで電源を切って再起動すると、ピン留めは自動的に解除された状態で起動します。
セキュリティ面では注意が必要です。
ピン留め中にアラームが鳴ったら?
アラームは鳴ります
ただし、ピン留めを解除しないとアラームを止められません。
重要なアラームを設定している場合は、事前にピン留めを解除しておきましょう。
解除方法を忘れた、または解除できない
基本の解除方法を再確認
- 3ボタン:戻る+タスクボタン同時長押し
- ジェスチャー:下から上にスワイプ&長押し
それでもダメなら再起動
電源ボタン長押しで再起動すれば、ピン留めは解除されます。
画面固定中に通知を完全に非表示にできる?
標準機能では通知は表示されます
ただし、タップして開くことはできません。
完全に通知を非表示にしたい場合は:
- マナーモードやサイレントモードにする
- 通知設定で一時的に通知をオフにする
セキュリティPIN/パターンを設定していないとどうなる?
誰でも簡単に解除できます
セキュリティ設定なしだと、解除方法を知っていれば誰でもピン留めを解除できます。
重要な情報を守りたい場合は、必ずPIN/パターン/パスワードを設定しましょう。
ビジネス用途で使える?
個人利用や簡易的な用途向けです
画面固定は、あくまで個人向けの簡易機能です。
ビジネスで厳格なセキュリティが必要な場合は、以下を検討しましょう:
- MDM(Mobile Device Management)ソリューション
- Android Enterpriseのキオスクモード
- 専用のキオスクアプリ
これらは、より強力な制限とリモート管理が可能です。
特定の画面タッチを無効にできる?
Androidの標準機能では不可能です
画面固定では、アプリ全体が固定されるだけで、特定のボタンやエリアのタッチを無効にすることはできません。
画面タッチまで制限したい場合は、サードパーティアプリ「画面そのままロック」などを使う方法があります。
画面固定のメリットとデメリット
機能の長所と短所を理解しておきましょう。
メリット
① 簡単に設定できる
- 標準機能なので追加アプリ不要
- 設定も使い方もシンプル
- Android 5.0以降なら全機種で利用可能
② プライバシー保護
- 他のアプリを見られない
- ホーム画面を隠せる
- 通知内容を見られにくい
③ 誤操作防止
- ゲーム中の誤タップ防止
- 子どもの誤操作防止
- 展示用途での誤動作防止
④ 無料で使える
- 追加費用なし
- 広告なし
- すべてのAndroidで標準搭載
デメリット
① セキュリティは限定的
- アプリ内の操作は制限できない
- ブラウザなら他サイトにアクセス可能
- 共有機能で他アプリが開くことがある
② 解除方法が分かれば誰でも解除可能
- 操作方法を知っている人なら解除できる
- 電源を切れば解除される
- 完全なロックではない
③ 通知が鳴る
- 通知音は止められない
- 着信があると画面が変わる
- アラームも鳴る
④ 毎回手動で設定が必要
- 自動的にピン留めはできない
- 再起動後は再設定が必要
- 複数アプリの同時ピン留めは不可
代替手段と併用できる機能

画面固定以外の方法も知っておきましょう。
ゲストモード(マルチユーザー)
特徴
- 別のユーザープロファイルを作成
- 完全に別のアプリ環境
- より強力な分離
向いている用途
- 長時間スマホを貸す
- 複数人で共有する端末
キッズモード(ペアレンタルコントロール)
特徴
- 使用できるアプリを制限
- 使用時間の制限
- 年齢に応じたコンテンツフィルター
向いている用途
- 子ども専用の環境を作りたい
- 使用時間を管理したい
アプリロック機能
特徴
- 個別のアプリにパスワード設定
- 開くたびに認証が必要
- サードパーティアプリで実現
向いている用途
- 特定のアプリだけ保護したい
- LINEや写真アプリを見られたくない
プライベートモード(Samsung)
特徴
- Galaxyシリーズ専用機能
- ファイルやアプリを隠せる
- 指紋認証で切り替え
向いている用途
- 特定のファイルだけ隠したい
- 一時的にアプリを非表示にしたい
まとめ
Androidの画面のピン留め(画面固定)機能について解説しました。
画面のピン留めとは
- 特定のアプリ画面を固定する機能
- 他のアプリやホーム画面への移動を防ぐ
- Android 5.0以降で利用可能
設定方法
- 設定 → セキュリティ → 詳細設定 → 画面固定(アプリ固定)
- 機種によって場所が若干異なる
ピン留めする方法
- タスク画面を表示
- アプリのアイコンをタップ
- 「画面のピン留め」を選択
解除方法
- 3ボタン:戻る+タスクボタン同時長押し
- ジェスチャー:下から上にスワイプ&長押し
便利な活用シーン
- 友達に写真を見せる
- 子どもに動画を見せる
- ゲーム中の誤タップ防止
- プレゼンや展示で使用
注意点
- アプリ内の操作は制限できない
- 完全なセキュリティ機能ではない
- セキュリティPIN設定を推奨
画面のピン留めは、日常的な誤操作防止やプライバシー保護に便利な機能です。スマホを他人に貸すとき、子どもに使わせるとき、ゲームをプレイするときなど、様々な場面で活用できます。
設定も使い方も簡単なので、一度試してみてください。特に「スマホを貸したいけど、他のアプリを見られたくない」という場面では非常に役立ちますよ。
ただし、完全なセキュリティ機能ではないことを理解して、用途に応じて使い分けましょう。ビジネス用途や厳格なセキュリティが必要な場合は、MDMソリューションやキオスクモードの利用を検討することをおすすめします。

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