「VSCodeでパッケージをインストールしたいけど、どうやればいいの?」
「npm installコマンドが動かない…」
「Pythonのライブラリをインストールする方法がわからない」
Visual Studio Code(VSCode)でプログラミングをしていると、さまざまな「パッケージ」をインストールする場面に遭遇します。しかし、「パッケージ」という言葉は状況によって異なる意味を持つため、初心者が混乱しやすいポイントでもあります。
この記事では、VSCodeで扱う3種類のパッケージインストール方法を、初心者にもわかりやすく詳しく解説します。
VSCodeにおける3種類の「パッケージ」

VSCodeでの「パッケージインストール」には、主に3つの意味があります。
1. VSCode拡張機能(Extensions)
VSCode自体の機能を拡張するプラグインです。
例:
- Live Server(HTMLのライブプレビュー)
- Prettier(コード整形ツール)
- Japanese Language Pack(日本語化)
インストール場所: VSCode内の拡張機能マーケットプレイスから
2. npmパッケージ(Node.js/JavaScript)
JavaScriptやTypeScriptの開発で使用する外部ライブラリです。
例:
- React(UIライブラリ)
- Express(Webサーバーフレームワーク)
- Lodash(ユーティリティライブラリ)
インストール方法: npmコマンドをターミナルで実行
3. pipパッケージ(Python)
Pythonの開発で使用する外部ライブラリです。
例:
- NumPy(数値計算ライブラリ)
- Pandas(データ分析ライブラリ)
- Requests(HTTP通信ライブラリ)
インストール方法: pipコマンドをターミナルで実行
この記事では、これら3つのパッケージインストール方法をすべて解説します。
方法1:VSCode拡張機能のインストール
VSCode拡張機能は、VSCode自体の機能を追加するためのプラグインです。
拡張機能のインストール手順
手順1:拡張機能ビューを開く
以下のいずれかの方法で拡張機能ビューを開きます。
- 左側のアクティビティバーにある「拡張機能」アイコン(四角が4つ並んだマーク)をクリック
- Ctrl + Shift + X(Windowsの場合)または Cmd + Shift + X(Macの場合)を押す
- メニューの「表示」→「拡張機能」を選択
手順2:拡張機能を検索
検索ボックスに、インストールしたい拡張機能の名前を入力します。
例:「Prettier」と入力
手順3:インストール
検索結果から目的の拡張機能を見つけて、「インストール」ボタンをクリックします。
注意点:
- 開発者名を確認しましょう(公式や信頼できる開発者のものを選ぶ)
- ダウンロード数やレビューを参考にする
手順4:必要に応じて再読み込み
一部の拡張機能は、インストール後にVSCodeの再読み込みが必要です。
右下に「Reload」や「再読み込み」ボタンが表示されたら、クリックしてください。
コマンドパレットからのインストール
拡張機能は、コマンドパレットからもインストールできます。
手順:
- Ctrl + P(Macの場合は Cmd + P)でクイックオープンを起動
ext install 拡張機能名と入力
例:ext install esbenp.prettier-vscode
- Enterキーを押してインストール
拡張機能のアンインストール
不要になった拡張機能は簡単にアンインストールできます。
手順:
- 拡張機能ビューを開く
- インストール済みの拡張機能一覧を表示
- アンインストールしたい拡張機能を見つける
- 「アンインストール」ボタンをクリック
おすすめの拡張機能
開発言語によらず便利な拡張機能をいくつか紹介します。
Japanese Language Pack for Visual Studio Code
- VSCodeを日本語化する公式拡張機能
- 開発者:Microsoft
Prettier – Code formatter
- コードを自動整形してくれるツール
- 保存時に自動整形も可能
- 開発者:Prettier
Live Server
- HTMLファイルをリアルタイムでブラウザ表示
- 開発者:Ritwick Dey
GitLens
- Gitの履歴やコミット情報を視覚的に表示
- 開発者:GitKraken
方法2:npmパッケージのインストール(JavaScript/Node.js)
npmは、Node.jsのパッケージ管理ツールです。JavaScriptやTypeScriptの開発で外部ライブラリを使用する際に必要になります。
事前準備:Node.jsのインストール
npmを使うには、まずNode.jsをインストールする必要があります。
Node.jsのインストール手順:
- Node.js公式サイトにアクセス
- LTS版(長期サポート版)をダウンロード
- インストーラーを実行し、基本的に「次へ」で進める
- インストール完了後、VSCodeを再起動
インストール確認:
VSCodeのターミナルで以下のコマンドを実行します。
node --version
バージョン番号が表示されれば成功です(例:v20.11.1)
npm --version
こちらもバージョン番号が表示されれば、npmが使えます(例:10.2.4)
VSCode内蔵ターミナルの開き方
npmコマンドは、VSCodeの内蔵ターミナルで実行します。
ターミナルを開く方法:
- Ctrl + `(バッククォート)を押す(Windowsの場合)
- Cmd + `(Macの場合)
- メニューの「表示」→「ターミナル」を選択
- Ctrl + Shift + Pでコマンドパレットを開き、「View: Toggle Integrated Terminal」と入力
ターミナルが開くと、VSCode下部にコマンドラインが表示されます。
npmパッケージのインストール手順
基本的な流れ:
- プロジェクトフォルダを開く
- ターミナルを起動
- npmコマンドでパッケージをインストール
新規プロジェクトの初期化
新しいプロジェクトを始める場合、まず初期化が必要です。
手順:
- VSCodeで「ファイル」→「フォルダーを開く」から、プロジェクトフォルダを開く
- ターミナルを開く
- 以下のコマンドを実行
npm init
- いくつか質問されますが、基本的にEnterキーを押していけばOKです
質問項目(例):
- package name: プロジェクト名(デフォルトはフォルダ名)
- version: バージョン番号(デフォルトは1.0.0)
- description: プロジェクトの説明
- entry point: エントリーポイント(デフォルトはindex.js)
- author: 作者名
より簡単な方法:
すべてデフォルト値で作成する場合は、以下のコマンドが便利です。
npm init -y
これでpackage.jsonファイルが作成されます。
パッケージのインストールコマンド
基本構文:
npm install パッケージ名
省略形:
npm i パッケージ名
具体例:
Reactをインストールする場合:
npm install react
複数のパッケージを同時にインストール:
npm install react react-dom
インストールオプション
npmには、用途に応じたインストールオプションがあります。
1. 通常のインストール(本番環境でも必要)
npm install express
package.jsonのdependenciesに記録されます。
2. 開発環境のみで必要なパッケージ
npm install --save-dev eslint
または省略形:
npm install -D eslint
package.jsonのdevDependenciesに記録されます。
開発時のテストツールやビルドツールなどに使用します。
3. グローバルインストール
npm install -g typescript
システム全体で使えるようになります。
ただし、プロジェクトごとにインストールする方が一般的です。
パッケージの確認とアンインストール
インストール済みパッケージの一覧表示:
npm list
ローカルにインストールされたパッケージが表示されます。
グローバルパッケージの一覧:
npm list -g --depth=0
パッケージのアンインストール:
npm uninstall パッケージ名
例:
npm uninstall react
package.jsonからの一括インストール
既存のプロジェクトをクローンした場合、package.jsonに記載されたすべてのパッケージを一括でインストールできます。
手順:
- プロジェクトフォルダを開く
- ターミナルで以下を実行
npm install
これでpackage.jsonに記載されているすべてのパッケージがインストールされ、node_modulesフォルダが作成されます。
npmスクリプトの実行
package.jsonのscriptsセクションに定義されたコマンドを実行できます。
例:
{
"scripts": {
"start": "node index.js",
"dev": "nodemon index.js",
"test": "jest"
}
}
実行方法:
npm run start
または、startとtestは特別なスクリプトなので、runを省略できます:
npm start
VSCode拡張機能「npm」の活用
npmコマンドをより便利に使える拡張機能があります。
npm拡張機能:
- 開発者:egamma
- 機能:package.jsonに定義されたスクリプトを簡単に実行できる
使い方:
- 拡張機能「npm」をインストール
- コマンドパレット(Ctrl + Shift + P)を開く
- 「npm」と入力すると、利用可能なnpmコマンドが表示される
方法3:pipパッケージのインストール(Python)

pipは、Pythonのパッケージ管理ツールです。Pythonの外部ライブラリをインストールする際に使用します。
事前準備:Pythonのインストール
pipを使うには、まずPythonをインストールする必要があります。
Pythonのインストール手順:
- Python公式サイトにアクセス
- 最新の安定版をダウンロード
- インストーラーを実行
- 重要:「Add Python to PATH」にチェックを入れる
- 「Install Now」をクリック
インストール確認:
VSCodeのターミナルで以下のコマンドを実行します。
python --version
または
python3 --version
バージョン番号が表示されれば成功です(例:Python 3.11.0)
pipの確認:
pip --version
または
pip3 --version
バージョン情報が表示されれば、pipが使えます。
Python拡張機能のインストール
VSCodeでPythonを快適に使うには、公式のPython拡張機能をインストールします。
手順:
- 拡張機能ビューを開く(Ctrl + Shift + X)
- 「Python」と検索
- 開発者が「Microsoft」の「Python」をインストール
この拡張機能の機能:
- コード補完(IntelliSense)
- デバッグ機能
- リンター(コードチェック)
- Pythonインタープリタの選択
Pythonインタープリタの選択
VSCodeで使用するPythonのバージョンを選択します。
手順:
- コマンドパレット(Ctrl + Shift + P)を開く
- 「Python: Select Interpreter」と入力
- 表示されたPythonのバージョン一覧から選択
これにより、VSCodeがどのPythonを使用するかが決まります。
pipパッケージのインストール手順
基本構文:
pip install パッケージ名
Python 3の場合、環境によってはpip3を使います:
pip3 install パッケージ名
具体例:
NumPyをインストール:
pip install numpy
複数パッケージの同時インストール:
pip install pandas matplotlib
特定バージョンのインストール
特定のバージョンを指定してインストールすることもできます。
構文:
pip install パッケージ名==バージョン
例:
pip install numpy==1.24.0
最新版にアップグレード:
pip install --upgrade パッケージ名
または省略形:
pip install -U パッケージ名
requirements.txtからの一括インストール
Pythonプロジェクトでは、requirements.txtファイルに必要なパッケージを記載するのが一般的です。
requirements.txtの例:
numpy==1.24.0
pandas==2.0.0
matplotlib>=3.5.0
requests
一括インストール:
pip install -r requirements.txt
これで、ファイルに記載されたすべてのパッケージがインストールされます。
requirements.txtの作成
現在インストールされているパッケージの一覧を出力できます。
pip freeze > requirements.txt
これにより、インストール済みのすべてのパッケージとそのバージョンがrequirements.txtに記録されます。
仮想環境(venv)の使用
Pythonプロジェクトごとに独立した環境を作ることができます。
仮想環境のメリット:
- プロジェクトごとに異なるバージョンのパッケージを使える
- システム全体のPython環境を汚さない
- 依存関係の管理が簡単
仮想環境の作成:
python -m venv venv
または
python3 -m venv venv
これでvenvという名前の仮想環境フォルダが作成されます。
仮想環境の有効化:
Windows(コマンドプロンプト):
venv\Scripts\activate
Windows(PowerShell):
venv\Scripts\Activate.ps1
Mac/Linux:
source venv/bin/activate
有効化すると、ターミナルのプロンプトに(venv)と表示されます。
仮想環境の無効化:
deactivate
パッケージの確認とアンインストール
インストール済みパッケージの一覧:
pip list
特定パッケージの詳細情報:
pip show パッケージ名
例:
pip show numpy
パッケージのアンインストール:
pip uninstall パッケージ名
例:
pip uninstall numpy
確認メッセージが表示されるので、yを入力してEnterを押します。
よくあるトラブルと解決方法
トラブル1:npm/pipコマンドが認識されない
症状:
'npm' は、内部コマンドまたは外部コマンド、
操作可能なプログラムまたはバッチ ファイルとして認識されていません。
または
'pip' is not recognized as an internal or external command
原因:
Node.jsまたはPythonがインストールされていないか、環境変数のPATHが設定されていません。
解決方法:
- Node.jsまたはPythonを再インストール
- インストール時に「Add to PATH」オプションにチェックを入れる
- VSCodeを再起動
- それでも解決しない場合、環境変数を手動で設定
Windowsで環境変数を設定する手順:
- 「システム環境変数の編集」を検索して開く
- 「環境変数」ボタンをクリック
- 「システム環境変数」の「Path」を選択して「編集」
- Node.jsまたはPythonのインストールパスを追加
トラブル2:PowerShellでスクリプト実行がブロックされる(Windows)
症状:
このシステムではスクリプトの実行が無効になっているため、
ファイル ~ を読み込めません。
原因:
PowerShellのセキュリティポリシーがスクリプト実行を制限しています。
解決方法:
- PowerShellを管理者として実行
- 以下のコマンドを実行
Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope CurrentUser
- 確認メッセージで
Yを入力 - VSCodeを再起動
トラブル3:VSCodeのターミナルでnpm/pipが動かない
原因:
VSCodeが古いターミナルセッションを使っている可能性があります。
解決方法:
- ターミナルを閉じる(ゴミ箱アイコンをクリック)
- 新しいターミナルを開く(Ctrl + `)
- それでも解決しない場合、VSCode自体を再起動
トラブル4:パッケージのインストールは成功するが、importできない(Python)
原因:
VSCodeが選択しているPythonインタープリタと、実際にパッケージをインストールしたPythonが異なります。
解決方法:
- コマンドパレット(Ctrl + Shift + P)を開く
- 「Python: Select Interpreter」を実行
- パッケージをインストールしたPython環境を選択
- VSCodeをリロード
トラブル5:node_modulesフォルダが巨大になる
原因:
npmは依存関係を含めてすべてのパッケージをダウンロードするため、フォルダサイズが大きくなります。
対策:
node_modulesフォルダはGitで管理しない
.gitignoreにnode_modules/を追加
- 不要なパッケージは定期的にアンインストール
- 必要に応じて
npm installで再生成できる
トラブル6:pipでインストールしたパッケージが見つからない
原因:
複数のPythonバージョンがインストールされていて、間違ったPythonにインストールされています。
解決方法:
Python 3を明示的に指定してインストール:
python3 -m pip install パッケージ名
または、VSCodeで選択しているPythonを使用:
python -m pip install パッケージ名
まとめ
VSCodeでのパッケージインストール方法について解説しました。
重要なポイントをおさらいします:
VSCode拡張機能:
- VSCode自体の機能を拡張
- 拡張機能ビュー(Ctrl + Shift + X)からインストール
- 日本語化、コード整形、ライブプレビューなどが可能
npmパッケージ(JavaScript/Node.js):
- Node.jsのインストールが必要
npm install パッケージ名でインストールpackage.jsonでパッケージを管理- プロジェクトフォルダで
npm installを実行
pipパッケージ(Python):
- Pythonのインストールが必要(PATH設定を忘れずに)
pip install パッケージ名でインストールrequirements.txtでパッケージを管理- 仮想環境(venv)の使用を推奨
共通のポイント:
- VSCodeの内蔵ターミナル(Ctrl + `)を使う
- パッケージ管理ファイル(package.json、requirements.txt)を活用
- 環境変数のPATH設定が重要
- トラブル時は、ターミナルやVSCodeの再起動を試す
これらの方法をマスターすれば、VSCodeでの開発がさらに効率的になります。
プロジェクトに必要なパッケージをインストールして、快適な開発環境を構築してください!


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