Thunderbirdを使用していて、突然フォルダが消えてしまった経験はありませんか?
- 今まで表示されていたフォルダが突然見えなくなった
- 受信トレイ以外のすべてのフォルダが消えた
- 自分で作成したフォルダが表示されない
- ローカルフォルダが空になっている
- IMAPフォルダの一部が消えている
このような状況に陥ると、大切なメールが失われたのではないかと不安になります。しかし、多くの場合、フォルダは実際には「消えて」いるわけではなく、「表示されていない」だけです。
この記事では、Thunderbirdでフォルダが消える原因と、段階的な復元方法を詳しく解説します。簡単な解決方法から高度な復元テクニックまで、状況に応じた対処法をご紹介します。
この記事で解決できる問題:
- フォルダ表示設定の問題
- IMAP購読の解除
- インデックスファイルの破損
- プロファイルの問題
- 誤操作によるフォルダ移動
第1章:まず試すべき簡単な解決方法

フォルダが消えた場合、まずは以下の簡単な方法を試してください。多くの場合、これらの方法で問題が解決します。
解決方法1:フォルダ表示設定を確認する【最重要】
Thunderbirdには「フォルダ表示モード」という機能があり、設定が変わるとフォルダが表示されなくなります。
症状:
- 一部またはすべてのフォルダが突然消えた
- 未読メールがあるフォルダのみ表示されている
解決手順:
- Thunderbirdを起動
- メニューバーから「表示」をクリック(表示されていない場合はAltキーを押す)
- 「フォルダー」→「すべてのフォルダー」を選択
または:
- 「移動」メニューをクリック
- 「フォルダー」を選択
- 「すべてのフォルダー」にチェック(丸印)が入っているか確認
フォルダ表示モードの種類:
- すべてのフォルダー: すべてのフォルダを表示(推奨)
- 未読フォルダー: 未読メールがあるフォルダのみ表示
- お気に入りフォルダー: お気に入りに登録したフォルダのみ表示
- 最近使ったフォルダー: 最近使用したフォルダのみ表示
なぜこの問題が起きるのか:
誤操作やショートカットキーの誤入力で、意図せず表示モードが変わってしまうことがあります。
解決方法2:IMAP購読を確認する(IMAPアカウントの場合)
IMAPアカウントを使用している場合、「購読」が解除されるとフォルダが表示されなくなります。
症状:
- IMAPアカウントの一部のフォルダだけが消えた
- サーバー側には存在するのにThunderbirdに表示されない
解決手順:
- 消えたフォルダがあるアカウント名を右クリック
- 「購読…」を選択
- 「購読するフォルダーを選択してください」ダイアログが開く
- 表示したいフォルダのチェックボックスにチェックを入れる
- 「OK」をクリック
購読について:
IMAPでは、サーバー上のすべてのフォルダを自動的に表示するわけではありません。「購読」したフォルダのみがThunderbirdに表示されます。
よくある原因:
- サーバー側で何らかの設定変更があった
- Thunderbird自体に不整合が発生した
- アカウントの再設定時に購読情報がリセットされた
解決方法3:ゴミ箱を確認する
誤ってフォルダをゴミ箱に移動してしまった可能性があります。
確認手順:
- アカウントの「ゴミ箱」フォルダを開く
- 消えたフォルダがないか確認
- 見つかった場合、フォルダを右クリック
- 「移動」を選択して元の場所に戻す
解決方法4:アーカイブを確認する
メールが「アーカイブ」フォルダに移動している可能性があります。
確認手順:
- アカウント一覧から「アーカイブ」フォルダを探す
- アーカイブフォルダ内とその子フォルダを確認
- 見つかった場合、メールを右クリックして元のフォルダに移動
第2章:インデックスファイルの修復
上記の方法で解決しない場合、インデックスファイルの破損が原因の可能性があります。
インデックスファイル(.msf)とは
Thunderbirdは、メール情報を高速に表示するために.msfという拡張子のインデックスファイルを使用しています。このファイルが破損すると、実際にはメールが存在しているのに「消えた」ように見えます。
解決方法5:フォルダーの修復
Thunderbird内蔵の「フォルダーを修復」機能を使います。
手順:
- 消えたメールがあるフォルダ(または空になっているフォルダ)を右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「全般情報」タブを開く
- 「フォルダーを修復」ボタンをクリック
- しばらく待つ
注意事項:
- フォルダ内のメール数が多いと時間がかかります
- 修復中はThunderbirdを操作しないでください
- 大量のメールを一度に移動した直後に発生しやすい問題です
修復される内容:
この操作により、.msfファイルが再構築され、メールが再び表示されるようになります。
解決方法6:.msfファイルの手動削除
フォルダーの修復で解決しない場合、.msfファイルを手動で削除して再生成させます。
手順:
1. 隠しファイルを表示する設定
Windowsの場合:
- エクスプローラーを開く
- 「表示」タブをクリック
- 「隠しファイル」にチェックを入れる
または:
- エクスプローラーで「ファイル」→「オプション」
- 「表示」タブを開く
- 「隠しファイル、隠しフォルダー、および隠しドライブを表示する」を選択
- 「OK」をクリック
2. プロファイルフォルダにアクセス
- Thunderbirdを起動
- ヘルプ → トラブルシューティング情報
- 「プロファイルフォルダー」の「フォルダーを開く」をクリック
または直接パスを開く:
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\
3. .msfファイルを削除
- プロファイルフォルダが開いたら、以下のフォルダに移動:
- POPアカウント:
Mail\アカウント名\ - IMAPアカウント:
ImapMail\アカウント名\ - ローカルフォルダ:
Mail\Local Folders\
- 該当フォルダの
.msfファイルを削除
- 例:
Inbox.msf(受信トレイのインデックス) - 例:
Sent.msf(送信済みのインデックス)
重要:
.msfファイルのみを削除してください- 拡張子のないファイル(例:
Inbox)は削除しないでください - これらはメール本体が保存されているMBOXファイルです
- 削除するとメールが本当に消えます
4. Thunderbirdを再起動
Thunderbirdを再起動すると、.msfファイルが自動的に再生成され、メールが表示されるようになります。
具体例:
削除するファイル(○)と削除してはいけないファイル(×):
○ Inbox.msf(削除してもOK)
× Inbox(削除しないこと!)
○ Sent.msf(削除してもOK)
× Sent(削除しないこと!)
○ Drafts.msf(削除してもOK)
× Drafts(削除しないこと!)
第3章:フォルダ構造の復元(上級者向け)
フォルダ自体が認識されていない場合の対処法です。
Thunderbirdのフォルダ構造の仕組み
Thunderbirdでは、フォルダの階層構造を以下の方法で管理しています:
通常のフォルダ:
- MBOXファイル(拡張子なし): メール本体
- .msfファイル: インデックス情報
サブフォルダを持つフォルダ:
- MBOXファイル(拡張子なし): 親フォルダのメール本体
- .sbdフォルダ: サブフォルダを格納
例:
Inbox(受信トレイのメール本体)
Inbox.msf(受信トレイのインデックス)
Inbox.sbd\(受信トレイのサブフォルダ格納用)
├─ Work(仕事フォルダのメール本体)
├─ Work.msf(仕事フォルダのインデックス)
├─ Personal(個人フォルダのメール本体)
└─ Personal.msf(個人フォルダのインデックス)
解決方法7:.sbdフォルダの確認と復元
サブフォルダが消えた場合、.sbdフォルダ内を確認します。
手順:
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダを開く
Mail\Local Folders\またはMail\アカウント名\に移動- 消えたフォルダに対応する
.sbdフォルダを探す
- 例: 「Inbox」の下にあった「仕事」フォルダが消えた場合
- →
Inbox.sbdフォルダを開く
- .sbdフォルダ内にメールファイルが存在するか確認
ファイルが存在する場合:
データは残っているので、Thunderbird上で再認識させます。
対処法A: 親フォルダを削除して再作成
- Thunderbirdを起動
- 親フォルダ(例:Inbox)を右クリック
- 「新しいサブフォルダー」を選択
- 消えたフォルダと同じ名前(例:「仕事」)を入力
- フォルダを作成
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダを開く
- 新しく作成したフォルダのMBOXファイルを、バックアップまたは.sbd内の元のファイルで上書き
- Thunderbirdを再起動
対処法B: 直接MBOXファイルをコピー
- Thunderbirdを終了
- .sbd内のMBOXファイルを、一つ上の階層にコピー
- Thunderbirdを起動
- フォルダが表示されるか確認
第4章:ローカルフォルダの復元
ローカルフォルダが完全に消えた場合の対処法です。
ローカルフォルダとは
ローカルフォルダは、Thunderbird固有のフォルダで、すべてのアカウントで共有されます。メールの保存先として使われることが多いです。
解決方法8:ローカルフォルダのパス確認
ローカルフォルダが表示されない場合、パス設定を確認します。
手順:
- Thunderbirdを起動
- ツール → アカウント設定(Altキーで表示)
- 左側のアカウント一覧から「ローカルフォルダ」を選択
- 「ローカルディレクトリ」のパスを確認
デフォルトのパス:
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\xxxxx.default\Mail\Local Folders
パスが間違っている場合:
- 「参照」をクリック
- 正しいローカルフォルダのパスを選択
- Thunderbirdを再起動
解決方法9:ローカルフォルダの再構築
ローカルフォルダのファイルは存在するのに表示されない場合:
手順:
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダを開く
Mail\Local Folders\を開く- このフォルダ内の
.msfファイルをすべて削除
- 注意: 拡張子のないファイルは削除しないこと
- Thunderbirdを起動
Thunderbirdが起動すると、.msfファイルが再生成され、フォルダが表示されます。
第5章:プロファイルのバックアップと復元

定期的にバックアップを取っていた場合の復元方法です。
バックアップからの復元
手順:
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダを開く
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\
- 現在のプロファイルフォルダをリネーム(例:xxxxx.default → xxxxx.default.old)
- バックアップしたプロファイルフォルダをコピー
- Thunderbirdを起動
部分的な復元(特定のフォルダのみ):
- Thunderbirdを終了
- バックアップから該当するMBOXファイルをコピー
- 現在のプロファイルの該当場所に貼り付け(上書き)
- 該当する.msfファイルを削除
- Thunderbirdを起動
emlファイルからの復元
個別のメールをeml形式で保存していた場合:
手順:
- Thunderbirdを起動
- 復元先のフォルダを開く
- emlファイルをThunderbirdのフォルダにドラッグ&ドロップ
複数のemlファイルを一度に復元することも可能です。
第6章:セキュリティソフトによる削除
ウイルス対策ソフトがThunderbirdのファイルを誤検知して削除することがあります。
解決方法10:セキュリティソフトの隔離フォルダを確認
Windowsセキュリティの場合:
- 「スタート」→「Windowsセキュリティ」
- 「ウイルスと脅威の防止」をクリック
- 「保護の履歴」をクリック
- 「脅威が削除されました」をクリック
- Thunderbird関連のファイル(例:Inbox)がないか確認
- 見つかった場合、「復元」をクリック
他のセキュリティソフトの場合:
セキュリティソフトの「隔離」「検疫」フォルダを確認してください。
Thunderbirdを除外リストに追加
今後の誤検知を防ぐため、Thunderbirdのプロファイルフォルダを除外リストに追加します。
Windowsセキュリティの場合:
- 「ウイルスと脅威の防止」
- 「設定の管理」
- 「除外」→「除外の追加または削除」
- 「フォルダ」を追加
- Thunderbirdのプロファイルフォルダを指定
第7章:予防策とベストプラクティス
フォルダの消失を防ぐための対策です。
定期的なバックアップ
バックアップすべきもの:
- プロファイルフォルダ全体
- 場所:
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\ - 推奨頻度: 週1回
- 重要なメール
- eml形式で個別に保存
- 推奨頻度: 重要なメールを受信したらすぐ
バックアップ方法:
方法1: 手動コピー
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダを外付けHDDやクラウドストレージにコピー
方法2: アドオンを使用
「ImportExportTools NG」などのアドオンを使うと、簡単にバックアップできます。
フォルダの適切な管理
推奨事項:
- フォルダを作りすぎない
- フォルダが多すぎると、Thunderbirdのパフォーマンスが低下し、問題が起きやすくなります
- 本当に必要なフォルダのみ作成しましょう
- 大量のメールを一度に移動しない
- 一度に数百通以上のメールを移動すると、インデックスが破損しやすくなります
- 少しずつ分けて移動しましょう
- 定期的なフォルダの最適化
- フォルダを右クリック → 「最適化」
- 削除したメールのスペースを解放し、ファイルサイズを削減します
IMAPの場合の注意点
サーバー側のバックアップ:
IMAPの場合、メールはサーバーに保存されています。Thunderbird側でフォルダが消えても、サーバー側に残っていれば復元可能です。
定期的な確認:
- Webメールでログインして、サーバー側のフォルダ構造を確認
- 重要なメールはローカルフォルダにもバックアップ
POPの場合の注意点
ローカルにのみ保存:
POPの場合、メールはThunderbirdのローカルフォルダにのみ保存されます(サーバーから削除する設定の場合)。
必須の対策:
- 定期的なプロファイルのバックアップ
- 重要なメールの複数箇所への保存
よくある質問(FAQ)
Q1. フォルダは消えたけど、検索するとメールは見つかります
A1. これはインデックスファイルの問題です。「解決方法5:フォルダーの修復」または「解決方法6:.msfファイルの手動削除」を試してください。メール本体は残っているので、インデックスを再構築すればフォルダが表示されます。
Q2. すべてのフォルダが一度に消えました
A2. フォルダ表示設定の問題の可能性が高いです。「解決方法1:フォルダ表示設定を確認する」を試してください。「移動」→「フォルダー」→「すべてのフォルダー」を選択すれば、すぐに表示されるはずです。
Q3. IMAPフォルダの一部だけが消えました
A3. IMAP購読の問題です。「解決方法2:IMAP購読を確認する」を試してください。アカウント名を右クリック → 「購読…」で、消えたフォルダにチェックを入れ直してください。
Q4. .msfファイルと拡張子のないファイル、どちらを削除すればいいですか?
A4. .msfファイルのみ削除してください。拡張子のないファイル(例:Inbox)はメール本体が保存されているMBOXファイルで、削除するとメールが本当に消えます。
Q5. フォルダを修復したら、メールの順番がおかしくなりました
A5. インデックスの再構築により、メールの並び順が変わることがあります。列のヘッダー(日付、差出人など)をクリックして、再度ソートしてください。
Q6. バックアップを取っていませんでした。復元できますか?
A6. バックアップがない場合でも、以下の可能性があります:
- IMAPアカウント: サーバーにメールが残っている可能性
- POPアカウント: プロファイルフォルダ内のMBOXファイルが残っている可能性
- Windowsの「以前のバージョン」機能で復元できる可能性
- データ復元ソフトを使える可能性(ただし専門知識が必要)
Q7. フォルダ名を変更したらメールが消えました
A7. フォルダ名を変更すると、一時的にインデックスの不整合が起きることがあります。フォルダ名を元に戻してから「フォルダーを修復」を実行してください。
Q8. アップデート後にフォルダが消えました
A8. Thunderbirdのメジャーアップデート後に発生することがあります。以下を試してください:
- フォルダ表示設定の確認
- .msfファイルの削除と再生成
- 最悪の場合、古いバージョンにダウングレードしてバックアップを取り、その後最新版に再アップデート
トラブルシューティングフローチャート
以下の順序で試してください:
1. フォルダ表示設定を確認
↓ 解決しない
2. IMAP購読を確認(IMAPの場合)
↓ 解決しない
3. ゴミ箱・アーカイブを確認
↓ 解決しない
4. フォルダーを修復
↓ 解決しない
5. .msfファイルを削除
↓ 解決しない
6. .sbdフォルダを確認
↓ 解決しない
7. ローカルフォルダのパス確認
↓ 解決しない
8. セキュリティソフトの隔離を確認
↓ 解決しない
9. バックアップから復元
↓ 解決しない
10. 専門業者に相談
まとめ
Thunderbirdでフォルダが消えた場合の対処法をまとめます。
最も多い原因と解決方法:
- フォルダ表示設定の問題(最多)
- 解決: 「表示」→「フォルダー」→「すべてのフォルダー」
- IMAP購読の解除
- 解決: アカウント右クリック → 「購読…」でチェック
- インデックスファイルの破損
- 解決: フォルダーを修復、または.msfファイルを削除
- 誤操作による移動
- 解決: ゴミ箱・アーカイブを確認
重要なポイント:
✓ ほとんどの場合、メール本体は残っている
✓ .msfファイル(インデックス)のみ削除すればOK
✓ 拡張子のないファイル(MBOX)は削除しない
✓ 操作前にバックアップを取ることを推奨
予防策:
✓ 定期的なプロファイルのバックアップ
✓ フォルダを作りすぎない
✓ 大量のメールを一度に移動しない
✓ 重要なメールは複数箇所に保存
それでも解決しない場合:
- プロファイルが深刻に破損している可能性
- ストレージ(HDD/SSD)の物理的な障害の可能性
- データ復旧専門業者への相談を検討
最後に:
Thunderbirdでフォルダが消えても、多くの場合は復元可能です。焦らず、この記事の手順を順番に試してください。特に、拡張子のないMBOXファイルを削除しないよう注意しながら作業を進めましょう。
定期的なバックアップを取る習慣をつけることで、万が一の時も安心です。

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