「Thunderbirdをもっと便利に使いたい」
「コマンドラインから自動でメール作成できないかな？」
「複数のプロファイルを切り替えて使いたい」
Thunderbirdは、コマンドライン（起動引数）を使うことで、より便利で効率的に使えるようになります。
この記事では、Thunderbirdのコマンドラインオプションについて、初心者の方にもわかりやすく徹底解説します。
基本的な使い方から実用的な活用例まで、順を追ってご紹介しますので、ぜひ試してみてください。
Thunderbirdのコマンドラインとは？
コマンドラインオプションとは
コマンドラインオプションとは、Thunderbirdを起動する際に追加する「命令」のことです。
通常のダブルクリックでは普通に起動しますが、コマンドラインを使うと：
- 特定のプロファイルで起動
- トラブルシューティングモードで起動
- メール作成画面を自動で開く
- オフラインモードで起動
など、様々な起動方法を指定できます。
基本的な構文
コマンドラインの基本的な書き方は以下の通りです：
"Thunderbirdのパス" -オプション名 "引数"例：
"C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -ProfileManagerThunderbirdのコマンドラインを実行する方法
コマンドラインを実行する方法はいくつかあります。
【方法1】「ファイル名を指定して実行」から実行（Windows）
手順：
- Windows + R キーを押す
- 以下のコマンドを入力：
thunderbird -ProfileManager- OK をクリック
注意： Thunderbirdが標準のパスにインストールされている場合は、パスを省略できます。
【方法2】コマンドプロンプトから実行（Windows）
手順：
- Windows + R キーを押して「cmd」と入力
- 以下のコマンドを実行：
"C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -ProfileManager【方法3】ショートカットを作成（Windows）
手順：
- デスクトップで右クリック → 「新規作成」 → 「ショートカット」
- 「項目の場所」に以下を入力：
"C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -safe-mode- ショートカット名を入力（例：「Thunderbird セーフモード」）
- 「完了」 をクリック
【方法4】ターミナルから実行（Mac）
手順：
- 「ターミナル」 アプリを開く
- 以下のコマンドを実行：
/Applications/Thunderbird.app/Contents/MacOS/thunderbird -ProfileManager【方法5】バッチファイル（.bat）を作成（Windows）
手順：
- メモ帳を開く
- 以下を入力：
@echo off
"C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -safe-mode
pause- 「名前を付けて保存」 → ファイル名を「thunderbird_safe.bat」として保存
- ファイルタイプを 「すべてのファイル」 に変更
主要なコマンドラインオプション一覧
【プロファイル関連】
-ProfileManager
説明： プロファイルマネージャーを開く
用途： 複数のプロファイルを管理・切り替え
例：
thunderbird -ProfileManager-P "プロファイル名"
説明： 指定したプロファイルで起動
用途： 仕事用・プライベート用など、プロファイルを使い分ける
例：
thunderbird -P "仕事用"-profile "プロファイルパス"
説明： 指定したパスのプロファイルで起動
用途： USBメモリなど、特定の場所にあるプロファイルを使用
例：
thunderbird -profile "D:\MyThunderbirdProfile"-CreateProfile "プロファイル名"
説明： 新しいプロファイルを作成（起動はしない）
例：
thunderbird -CreateProfile "新規プロファイル"-CreateProfile "プロファイル名 パス"
説明： 指定したパスに新しいプロファイルを作成
例：
thunderbird -CreateProfile "PortableProfile D:\TB_Profile"【トラブルシューティング関連】
-safe-mode
説明： セーフモード（トラブルシューティングモード）で起動
用途： アドオンを無効化して起動、問題の原因特定
例：
thunderbird -safe-mode-purgecaches
説明： JavaScript のキャッシュを削除して起動
用途： キャッシュが原因の不具合を解消
例：
thunderbird -purgecaches【メール作成関連】
-compose
説明： メール作成画面を開く
用途： 自動でメール作成画面を起動、宛先や件名を指定
基本構文：
thunderbird -compose "パラメータ1,パラメータ2,..."使用可能なパラメータ：
| パラメータ | 説明 | 例 |
|---|---|---|
to='アドレス' | 宛先（To） | to='user@example.com' |
cc='アドレス' | CC | cc='cc@example.com' |
bcc='アドレス' | BCC | bcc='bcc@example.com' |
subject='件名' | 件名 | subject='会議のご案内' |
body='本文' | 本文 | body='お世話になっております' |
attachment='ファイルパス' | 添付ファイル | attachment='C:\file.txt' |
preselectid='id' | 送信元アカウント | preselectid='id1' |
例1：宛先だけ指定
thunderbird -compose "to='user@example.com'"例2：宛先、件名、本文を指定
thunderbird -compose "to='user@example.com',subject='会議のご案内',body='明日の会議についてご連絡します'"例3：複数の宛先
thunderbird -compose "to='user1@example.com,user2@example.com'"例4：添付ファイル付き
thunderbird -compose "to='user@example.com',subject='ファイル送付',attachment='C:\report.pdf'"例5：複数の添付ファイル
thunderbird -compose "to='user@example.com',attachment='file:///C:/file1.txt,file:///C:/file2.pdf'"例6：完全版（すべて指定）
thunderbird -compose "to='boss@company.com',cc='team@company.com',bcc='archive@company.com',subject='日報_2025-12-10',body='本日の業務報告',attachment='C:\report.xlsx'"【その他の便利なオプション】
-mail
説明： メールクライアントとして起動
例：
thunderbird -mail-offline
説明： オフラインモードで起動
用途： 起動時の自動受信を防ぐ
例：
thunderbird -offline-addressbook
説明： アドレス帳を開く
例：
thunderbird -addressbook-options / -preferences
説明： 設定画面を開く（Firefox のみ、Thunderbird では非サポート）
-setDefaultMail
説明： Thunderbird を既定のメールクライアントに設定
例：
thunderbird -setDefaultMail-silent / -nosplash
説明： スプラッシュ画面を表示せずに起動
例：
thunderbird -silent-no-remote
説明： 新しいインスタンスを起動（既存のウィンドウを再利用しない）
用途： 複数のプロファイルを同時起動
例：
thunderbird -no-remote -P "仕事用"実用的な活用例
【活用例1】日報メールを自動作成するバッチファイル
用途： 毎日同じ形式の日報を送る場合
ファイル名： daily_report.bat
@echo off
set TODAY=%date:~0,10%
start "" "C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -compose "to='boss@company.com',subject='日報_%TODAY%',body='本日の業務報告：%0A%0A1. %0A2. %0A3. '"実行方法：
- このファイルをダブルクリック
- Thunderbird のメール作成画面が開く
- 内容を入力して送信
ポイント：
%date:~0,10%で今日の日付を取得%0Aで改行を表現
【活用例2】複数プロファイルを切り替えるショートカット
用途： 仕事用とプライベート用を分ける
仕事用ショートカット：
"C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -P "仕事用" -no-remoteプライベート用ショートカット：
"C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -P "プライベート" -no-remote注意： -no-remote を付けることで、両方同時に起動できます。
【活用例3】USBメモリで持ち運べるポータブル設定
用途： 複数のPCで同じ設定を使いたい
USBメモリ内にバッチファイルを作成： thunderbird_portable.bat
@echo off
set PROFILE_PATH=%~dp0ThunderbirdProfile
"C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -profile "%PROFILE_PATH%"使い方：
- USBメモリに「ThunderbirdProfile」フォルダを作成
- バッチファイルを実行
メリット：
- USBメモリのドライブレター（E:、F: など）が変わっても動作
- どのPCでも同じ設定で使える
【活用例4】問題が発生したときのセーフモード起動ショートカット
用途： トラブル時にすぐセーフモードで起動
ショートカット：
"C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -safe-modeデスクトップに作成しておくと便利です。
【活用例5】定期送信メール用のバッチファイル
用途： 定期的に同じ内容のメールを送る（Windows タスクスケジューラと併用）
ファイル名： weekly_meeting.bat
@echo off
start "" "C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -compose "to='team@company.com',subject='週次ミーティングのお知らせ',body='毎週金曜日14:00から週次ミーティングを実施します。'"Windows タスクスケジューラで自動実行：
- 「タスクスケジューラ」 を開く
- 「基本タスクの作成」 をクリック
- トリガーを 「毎週金曜日 13:00」 に設定
- 操作を 「プログラムの開始」 に設定
- バッチファイルのパスを指定
【活用例6】添付ファイル付きメールを自動作成
用途： レポートファイルを毎回添付して送る
ファイル名： send_report.bat
@echo off
set REPORT_PATH=C:\Reports\monthly_report.xlsx
start "" "C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -compose "to='manager@company.com',subject='月次レポート',body='月次レポートを送付いたします。',attachment='%REPORT_PATH%'"【活用例7】プロファイル選択メニュー付きバッチファイル
用途： 起動時にプロファイルを選択
ファイル名： thunderbird_menu.bat
@echo off
echo Thunderbird プロファイル選択
echo 1. 仕事用
echo 2. プライベート
echo 3. プロジェクトA
echo.
set /p choice="番号を入力してください (1-3): "
if "%choice%"=="1" start "" "C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -P "仕事用" -no-remote
if "%choice%"=="2" start "" "C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -P "プライベート" -no-remote
if "%choice%"=="3" start "" "C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -P "プロジェクトA" -no-remoteコマンドライン使用時の注意点
【注意点1】パスにスペースが含まれる場合
スペースを含むパスは 必ずダブルクォーテーション（"） で囲みます。
正しい例：
"C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -ProfileManager間違った例：
C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe -ProfileManager（スペースでコマンドが分割されてしまう）
【注意点2】日本語（全角文字）の扱い
日本語を含む場合は注意が必要です。
問題が起きる例：
thunderbird -compose "to='山田太郎@example.com'"対策：
- URLエンコードを使用
- HTML エンティティを使用（
など） - できるだけ英数字を使用
【注意点3】改行の扱い
メール本文に改行を入れたい場合：
Windows（バッチファイル）：
set MYARG=-compose to='user@example.com',body='1行目$2行目$3行目'
"C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" !MYARG:$=^
!PowerShell：
$body = "1行目`n2行目`n3行目"
& 'C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe' -compose "body=$body"HTML を使用：
thunderbird -compose "body='1行目 2行目 3行目'"【注意点4】既存のThunderbirdが起動していると新しいウィンドウが開かないことがある
解決方法：
-no-remote オプションを追加する
thunderbird -no-remote -P "別プロファイル"【注意点5】添付ファイルのパスは file:/// 形式
複数の添付ファイルを指定する場合：
正しい例：
thunderbird -compose "attachment='file:///C:/file1.txt,file:///C:/file2.pdf'"注意：
file:///の後はスラッシュ（/）を使用- カンマ（
,）で区切る - パス全体をシングルクォート（
'）で囲む
【注意点6】送信アカウントの指定
preselectid で送信元アカウントを指定できますが、アカウントIDの確認が必要です。
アカウントIDの確認方法：
- メニュー（≡）→ 「設定」 → 「一般」 → 「設定エディター」
- 検索ボックスに
mail.accountと入力 mail.accountmanager.accountsの値を確認（例：account1,account2）
使用例：
thunderbird -compose "preselectid='id1',to='user@example.com'"よくある質問
Q1. コマンドラインから自動でメールを送信できますか？
回答：
いいえ、Thunderbird のコマンドラインオプションでは、メール作成画面を開くところまでです。
自動送信はできません。ユーザーが手動で 「送信」 ボタンを押す必要があります。
代替案：
- SendEmail、SwithMail、Blat などの専用ツールを使用
- PowerShell の
Send-MailMessageコマンドレット（ただし非推奨）
Q2. プロファイルの場所がわかりません
回答：
Windows：
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\Mac：
~/Library/Thunderbird/Profiles/Thunderbird から確認する方法：
- ヘルプ → 「トラブルシューティング情報」
- 「プロファイルフォルダー」 の横にある 「フォルダーを開く」 をクリック
Q3. -compose でメール本文が文字化けします
回答：
日本語を含む場合は、以下を試してください：
- HTMLエンティティを使用（例：
で空白） - エスケープ処理を確認
- バッチファイルの文字コードを SHIFT-JIS または UTF-8 BOM付きで保存
Q4. コマンドラインで複数のプロファイルを同時起動できますか？
回答：
はい、-no-remote オプションを使用すれば可能です。
thunderbird -no-remote -P "仕事用"
thunderbird -no-remote -P "プライベート"Q5. ショートカットが動作しません
回答：
以下を確認してください：
- パスが正しいか
- 64bit版：
C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\ - 32bit版：
C:\Program Files (x86)\Mozilla Thunderbird\
- ダブルクォーテーションで囲んでいるか
- オプション名のスペルが正しいか
Q6. -safe-mode と Shift キーを押しながら起動の違いは？
回答：
どちらも同じ「トラブルシューティングモード」で起動します。
- コマンドライン（
-safe-mode）：ショートカットやバッチファイルで使用 - Shift キー：手動で起動する際に使用
Q7. Windows のスタートアップに登録できますか？
回答：
はい、可能です。
手順：
- Windows + R →
shell:startupと入力 - スタートアップフォルダが開く
- Thunderbird のショートカットを作成して配置
- ショートカットのプロパティで必要なコマンドラインオプションを追加
Q8. macOS でも同じように使えますか？
回答：
はい、オプションは同じですが、実行方法とパスが異なります。
実行方法：
/Applications/Thunderbird.app/Contents/MacOS/thunderbird -ProfileManagerまとめ
Thunderbird のコマンドラインオプションについて、重要なポイントをまとめます。
主要なオプション：
プロファイル管理：
-ProfileManager– プロファイルマネージャーを開く-P "プロファイル名"– 指定したプロファイルで起動-profile "パス"– 指定したパスのプロファイルで起動
トラブルシューティング：
-safe-mode– セーフモードで起動-purgecaches– キャッシュを削除して起動
メール作成：
-compose– メール作成画面を開くto='アドレス'– 宛先subject='件名'– 件名body='本文'– 本文attachment='パス'– 添付ファイル
その他：
-offline– オフラインモードで起動-no-remote– 新しいインスタンスを起動-setDefaultMail– 既定のメールクライアントに設定
実用的な活用：
- 日報メールの自動作成
- 複数プロファイルの切り替え
- USBメモリでの持ち運び
- セーフモード起動ショートカット
- 定期送信メールの自動作成
注意点：
- パスにスペースがある場合はダブルクォーテーションで囲む
- 日本語の扱いに注意
- 改行の表現方法を確認
- 既存のThunderbirdが起動中の場合は
-no-remoteを使用
コマンドラインオプションを使いこなせば、Thunderbird がより便利で効率的になります。
この記事を参考に、自分の使い方に合ったカスタマイズをしてみてくださいね！
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