「Outlookのデータをバックアップしたいけど、どうすればいいの?」
「PSTファイルって何?どうやって作るの?」
そんな疑問を持っていませんか?
この記事では、OutlookのPSTファイルについて、基本から作成方法、活用法まで分かりやすく解説していきます。初心者の方でも安心して読み進められる内容になっていますよ。
PSTファイルとは?

まず、PSTファイルの基本を理解しましょう。
PSTファイルの正式名称
PSTは「Personal Storage Table(パーソナル・ストレージ・テーブル)」の略です。
日本語に訳すと「個人用ストレージ表」という意味になります。
PSTファイルに保存される情報
PSTファイルには、Outlookで管理しているほぼすべてのデータが保存されます。
保存される主な情報:
- メールメッセージ(受信メール、送信済みメール、下書きなど)
- 連絡先(アドレス帳)
- カレンダー(予定表)
- タスク(仕事リスト)
- メモ
- 履歴
つまり、PSTファイル1つにOutlookのすべてが詰まっているというわけです!
PSTファイルとOSTファイルの違い
Outlookには、PSTファイルの他に「OSTファイル」というものもあります。
PSTファイル(Personal Storage Table):
- あなた専用の保管庫
- パソコン上にデータを保存
- POPアカウント(一般的なメールアカウント)で使用
- 手動でバックアップ可能
OSTファイル(Offline Storage Table):
- サーバーのコピー
- IMAP、Exchange、Outlook.comアカウントで使用
- サーバーと自動同期される
- バックアップ不要(サーバーにデータがあるため)
簡単に言うと、PSTはあなた専用の保管庫、OSTはサーバーの鏡のようなものです。
PSTファイルを作成する理由
なぜPSTファイルを作成する必要があるのでしょうか?
主な理由を見ていきましょう。
1. データのバックアップ
一番重要な理由です。
パソコンが壊れたり、データが消えたりしても、PSTファイルがあれば大切なメールや連絡先を復元できます。
定期的にPSTファイルにエクスポートしておくことで、安心してOutlookを使えますね。
2. メールボックスの容量削減
メールボックスが満杯になると、新しいメールが受信できなくなることがあります。
古いメールを別のPSTファイルに移動すれば、メールボックスの容量を空けられます。
3. プロジェクトごとの整理
複数のプロジェクトを管理している場合、プロジェクトごとにPSTファイルを作成すると便利です。
例:
- 「プロジェクトA.pst」
- 「プロジェクトB.pst」
- 「2024年度.pst」
このように分けておくと、メールの管理がとても楽になります。
4. パソコン間のデータ移行
新しいパソコンに買い替えたときや、別のパソコンにデータを移したいとき、PSTファイルがあれば簡単に移行できます。
5. アーカイブ(保管)
使わなくなった古いメールを、アーカイブとして別のPSTファイルに保存しておけます。
普段は必要ないけど、後で参照するかもしれない情報を保管するのに最適です。
PSTファイルの作成方法
それでは、実際にPSTファイルを作成する方法を見ていきましょう。
いくつかの方法がありますので、目的に合わせて選んでください。
【方法1】新しいアイテムから作成する(最も簡単)
この方法が最もシンプルで分かりやすいです。
手順
- Outlookを起動する
- 画面上部の「ホーム」タブをクリック
- 「新しいアイテム」をクリック
- ドロップダウンメニューから「その他のアイテム」にカーソルを合わせる
- サブメニューから「Outlook データ ファイル」をクリック
- 「Outlook データ ファイルの作成」ダイアログボックスが表示される
- ファイル名を入力
- 分かりやすい名前を付けましょう(例:「バックアップ2024」「プロジェクトA」など)
- 保存場所を選択
- デフォルトは「ドキュメント\Outlook ファイル」フォルダー
- 別の場所に保存したい場合は「参照」で変更可能
- (オプション)パスワードを設定したい場合
- 「オプションのパスワードを追加」にチェックを入れる
- パスワードを入力して確認
- 「OK」をクリック
これで、新しいPSTファイルが作成されます!
作成したPSTファイルは、Outlookの左側のフォルダーウィンドウに自動的に追加されます。
【方法2】アカウント設定から作成する
もう一つの方法として、アカウント設定から作成する方法があります。
手順
- Outlookを起動する
- 「ファイル」タブをクリック
- 「情報」を選択(自動的に表示される場合も)
- 「アカウント設定」ボタンをクリック
- ドロップダウンメニューから「アカウント設定」を再度クリック
- 「アカウント設定」ダイアログボックスが開く
- 「データ ファイル」タブをクリック
- 「追加」ボタンをクリック
- 「新しい Outlook データ ファイル」ダイアログボックスが表示される
- ファイル名と保存場所を指定
- 「OK」をクリック
- 必要に応じて、データファイルに表示名を付ける
- 「OK」で完了
この方法でも、同様にPSTファイルが作成され、Outlookに追加されます。
【方法3】エクスポート機能を使ってPSTファイルを作成
既存のメールや連絡先を新しいPSTファイルにエクスポートする方法です。
バックアップを取りたいときに便利です。
手順
- Outlookを起動する
- 「ファイル」タブをクリック
- 「開く/エクスポート」を選択
- 「インポート/エクスポート」をクリック
- 「インポート/エクスポート ウィザード」が起動する
- 「ファイルにエクスポート」を選択
- 「次へ」をクリック
- 「Outlook データ ファイル(.pst)」を選択
- 「次へ」をクリック
- エクスポートしたいフォルダーを選択
- 「受信トレイ」を選択すれば、受信メールがエクスポートされる
- メールアカウント全体を選択すれば、すべてのデータがエクスポートされる
- 「サブフォルダーを含む」にチェックを入れる(推奨)
- 「次へ」をクリック
- 保存先とファイル名を指定
- 「参照」をクリックして保存場所を選ぶ
- ファイル名を入力
- オプションを選択
- 「重複したアイテムをエクスポートしたアイテムで置き換える」(推奨)
- または「重複してもエクスポートする」
- または「重複したアイテムはエクスポートしない」
- 「完了」をクリック
- (オプション)パスワードを設定する場合は入力
- エクスポートが開始される(メールの量によっては時間がかかります)
これで、すべてのデータが新しいPSTファイルに保存されます。
【方法4】自動アーカイブ機能を使う

古いメールを自動的にPSTファイルに移動する方法です。
自動アーカイブとは?
指定した日数より古いメールを、自動的に別のPSTファイル(アーカイブファイル)に移動する機能です。
例えば、「6か月以上前のメールは自動的にアーカイブする」といった設定ができます。
設定手順
- Outlookを起動する
- 「ファイル」タブをクリック
- 「オプション」を選択
- 左側のメニューから「詳細設定」をクリック
- 「自動整理」セクションの「自動整理の設定」ボタンをクリック
- 「自動整理」ダイアログボックスが開く
- 「自動整理を有効にする」にチェックを入れる
- 整理の頻度を設定(例:14日ごと)
- 古いアイテムの保存場所を確認・変更
- デフォルトでは「archive.pst」というファイルが作成される
- その他のオプションを設定
- 古いアイテムの定義(例:6か月以上前)
- 削除するか移動するか
- 「OK」をクリック
- 「OK」で設定を保存
これで、定期的に古いメールが自動的にアーカイブPSTファイルに移動されます。
PSTファイルのパスワード設定
PSTファイルにパスワードを設定すると、セキュリティが向上します。
パスワード設定の注意点
重要: パスワードを忘れると、PSTファイルを開けなくなります!
Microsoftでもパスワードは復元できないので、必ずパスワードを記録しておきましょう。
パスワードの設定方法
PSTファイル作成時に「オプションのパスワードを追加」にチェックを入れると設定できます。
入力項目:
- パスワード
- パスワードの確認(再入力)
- (オプション)パスワードを保存リストに保存する
「パスワードを保存リストに保存する」のチェック:
- チェックを入れる → 毎回パスワード入力が不要(セキュリティは低下)
- チェックを外す → 毎回パスワード入力が必要(セキュリティは向上)
セキュリティを重視するなら、チェックを外すことをおすすめします。
PSTファイルの保存場所
PSTファイルはどこに保存されるのでしょうか?
デフォルトの保存場所
通常、PSTファイルは以下の場所に保存されます:
C:\Users\[ユーザー名]\Documents\Outlook ファイル
または
C:\Users\[ユーザー名]\ドキュメント\Outlook ファイル
保存場所の確認方法
自分のPSTファイルがどこにあるか確認する方法です。
手順:
- Outlookを起動
- 「ファイル」→「アカウント設定」→「アカウント設定」
- 「データ ファイル」タブをクリック
- ファイルの一覧が表示される
- 確認したいPSTファイルを選択
- 「ファイルの場所を開く」をクリック
- エクスプローラーが開き、PSTファイルのある場所が表示される
推奨される保存場所
ローカルディスク(Cドライブなど)に保存:
- 処理速度が速い
- ファイル破損のリスクが低い
避けるべき保存場所:
- ネットワークドライブ
- 共有フォルダー
- OneDrive(同期が遅くなる可能性)
Microsoftも、ネットワーク上の場所にPSTファイルを保存することは推奨していません。
ファイルが破損しやすくなるためです。
PSTファイルのサイズ制限
PSTファイルには、サイズの上限があります。
バージョン別のサイズ制限
Outlook 2019/2016/2013/2010:
- 最大サイズ:50GB
Outlook 2007:
- 最大サイズ:20GB
Outlook 2003以前:
- 最大サイズ:2GB
サイズが大きくなった場合の対処法
PSTファイルが大きくなりすぎると、以下の問題が起こります:
- Outlookの動作が遅くなる
- ファイルが破損しやすくなる
- バックアップに時間がかかる
対処方法:
- 古いメールを削除する
- 不要なメールを定期的に削除
- 添付ファイルを削除する
- 大きな添付ファイルを別の場所に保存してから削除
- 新しいPSTファイルを作成して分割する
- 年度別や プロジェクト別に分ける
- アーカイブ機能を使う
- 古いメールを別のPSTファイルに移動
PSTファイルの活用方法
作成したPSTファイルをどう活用するか見ていきましょう。
1. バックアップとして保存
最も一般的な使い方です。
手順:
- 定期的にメールをPSTファイルにエクスポート
- 外付けハードディスクやUSBメモリに保存
- 万が一のときに備える
おすすめの頻度:
- 毎週または毎月
2. プロジェクト別に整理
複数のプロジェクトを管理している場合に便利です。
例:
- 「2024年_プロジェクトA.pst」
- 「2024年_プロジェクトB.pst」
- 「顧客対応_2024.pst」
関連するメールを該当のPSTファイルにドラッグ&ドロップで移動できます。
3. 年度別にアーカイブ
年度が変わったら、前年度のメールをアーカイブします。
例:
- 「2023年度.pst」
- 「2024年度.pst」
必要なときだけPSTファイルを開いて確認できます。
4. パソコン間でデータを移行
新しいパソコンにメールデータを移す場合:
手順:
- 旧パソコンでPSTファイルにエクスポート
- USBメモリなどにコピー
- 新パソコンにコピー
- Outlookでインポート
これで、すべてのメールと設定が新しいパソコンに移ります。
PSTファイルのインポート方法
作成したPSTファイルをOutlookに読み込む方法です。
インポート手順
- Outlookを起動
- 「ファイル」→「開く/エクスポート」→「インポート/エクスポート」
- 「他のプログラムまたはファイルからのインポート」を選択
- 「次へ」をクリック
- 「Outlook データ ファイル(.pst)」を選択
- 「次へ」をクリック
- 「参照」をクリックして、インポートしたいPSTファイルを選択
- オプションを選択
- 重複してもインポートする
- 重複したらインポートしたデータで置き換える
- 重複したらインポートしない
- 「次へ」をクリック
- インポート先のフォルダーを選択
- 「サブフォルダーも含める」にチェック(推奨)
- 「完了」をクリック
インポートが完了すると、メールや連絡先がOutlookに追加されます。
よくある質問

Q1: PSTファイルを開くにはどうすればいい?
A: Outlookで直接開けます。
方法1: ファイルメニューから
- 「ファイル」→「開く/エクスポート」→「Outlook データ ファイルを開く」
- PSTファイルを選択→「OK」
方法2: ダブルクリック
- PSTファイルをダブルクリックするだけでOutlookで開きます
開いたPSTファイルは、左側のフォルダーウィンドウに表示されます。
Q2: PSTファイルが破損した場合はどうする?
A: 「受信トレイ修復ツール」を使います。
Outlookには「ScanPST.exe」という修復ツールが付属しています。
ツールの場所:
Outlook 2019/2016:
C:\Program Files\Microsoft Office\root\Office16\SCANPST.EXE
Outlook 2013:
C:\Program Files\Microsoft Office\Office15\SCANPST.EXE
使い方:
- Outlookを終了
- ScanPST.exeを起動
- 修復したいPSTファイルを選択
- 「開始」をクリック
- エラーが見つかったら「修復」をクリック
Q3: 複数のPSTファイルを同時に開ける?
A: はい、開けます。
Outlookでは、複数のPSTファイルを同時に開くことができます。
それぞれのPSTファイルが、左側のフォルダーウィンドウに別々に表示されます。
フォルダー間でメールをドラッグ&ドロップで移動することも可能です。
Q4: PSTファイルを閉じるにはどうする?
A: データファイルを右クリックして閉じます。
手順:
- 左側のフォルダーウィンドウで、閉じたいPSTファイルを右クリック
- 「[ファイル名]を閉じる」をクリック
これで、そのPSTファイルがOutlookから取り除かれます(削除されるわけではありません)。
Q5: PSTファイルをメールで送れる?
A: 技術的には可能ですが、おすすめしません。
理由:
- ファイルサイズが大きすぎて送信できないことが多い
- セキュリティリスク(メールの内容が第三者に見られる可能性)
- 送信中にファイルが破損する可能性
代わりの方法:
- USBメモリなどで直接渡す
- 暗号化したファイル転送サービスを使う
- セキュアなクラウドストレージで共有
Q6: OSTファイルをPSTファイルに変換できる?
A: 直接変換はできませんが、エクスポートで対応できます。
OSTファイルのデータをPSTファイルにエクスポートすることで、実質的に変換できます。
「方法3:エクスポート機能を使ってPSTファイルを作成」の手順を参照してください。
Q7: 新しいOutlookでPSTファイルは使える?
A: 制限付きで使えます。
新しいOutlook for Windowsでは、PSTファイルのサポートが限定的です。
- メールの閲覧、移動は可能
- カレンダーと連絡先のデータはアクセス不可
- PSTファイルの新規作成はできない(従来のOutlookが必要)
完全な機能を使いたい場合は、従来のOutlook(classic)を使用してください。
PSTファイル管理のベストプラクティス
PSTファイルを安全に、効率的に管理するためのコツをご紹介します。
1. 定期的なバックアップ
おすすめ:
- 毎週または毎月、PSTファイルをバックアップ
- 外付けハードディスクに保存
- クラウドストレージにも保存(ただし、大きなファイルは同期が遅い)
2. ファイル名の工夫
分かりやすいファイル名を付けましょう。
良い例:
- 「バックアップ_2024年12月.pst」
- 「プロジェクトA_メール.pst」
- 「アーカイブ_2023年度.pst」
悪い例:
- 「backup.pst」
- 「new.pst」
- 「1.pst」
3. サイズの管理
PSTファイルが大きくなりすぎないよう注意しましょう。
目安:
- 10GB以下に抑える(理想)
- 30GBを超えたら分割を検討
4. パスワードの記録
パスワードを設定した場合は、必ず安全な場所に記録してください。
パスワードマネージャーアプリの使用をおすすめします。
5. ネットワークドライブに置かない
前述の通り、ネットワーク上の場所にPSTファイルを保存すると破損しやすくなります。
必ずローカルディスク(パソコン本体)に保存しましょう。
まとめ
OutlookのPSTファイルの作成方法と活用法をご紹介しました。
重要ポイント(おさらい):
PSTファイルとは:
- Personal Storage Tableの略
- メール、連絡先、カレンダーなどを保存するファイル
- 拡張子は「.pst」
作成方法:
- 新しいアイテムから作成(最も簡単)
- アカウント設定から作成
- エクスポート機能で作成(バックアップに最適)
- 自動アーカイブ機能を使う
活用方法:
- データのバックアップ
- プロジェクト別の整理
- 年度別のアーカイブ
- パソコン間のデータ移行
注意点:
- サイズが大きくなりすぎないよう管理する
- ネットワークドライブには保存しない
- パスワードは必ず記録する
- 定期的にバックアップを取る
保存場所:
- デフォルト:ドキュメント\Outlook ファイル
- 推奨:ローカルディスク上
PSTファイルを適切に管理することで、大切なメールデータを安全に保管できます。
特に、定期的なバックアップは非常に重要です。
パソコンが壊れてからでは遅いので、今すぐバックアップPSTファイルを作成することをおすすめします!
この記事の手順を参考に、ぜひPSTファイルを活用してくださいね。

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