「なぜTeamsが別売りになったの?」
「新規契約するときに何か追加で買わないといけないの?」
「今使っているプランはどうなるの?」
こうした疑問を持つ方に向けて、2024年4月から始まったTeamsのライセンス分離について、背景から実務の対応方法まで詳しく解説します。
そもそも何が変わったのか?

これまでMicrosoft 365やOffice 365の法人向けプランには、Teamsが最初から同梱(バンドル)されていました。
2024年4月より、この仕組みが大きく変わり、一部のプランではTeamsが別売りとなりました。
具体的には次の2点が変更されています。
- 「no Teams(Teamsなし)」プランが新たにラインナップに追加された
- Teams単体の法人向けライセンス「Microsoft Teams Enterprise」が新規提供開始された
簡単に言うと、「Microsoft 365を契約すれば自動的にTeamsも使える」という仕組みが、プランによっては終わったということです(Impress Watch「MicrosoftがTeamsのバンドル販売を停止」より)。
なぜ分離されたのか?背景と経緯
ライセンス分離に至った経緯は、EUの独占禁止法(競争法)をめぐる問題に端を発します。
Slackによる提訴(2020年)
2020年7月、ビジネスチャットツール「Slack」を運営するSlack Technologies社が、MicrosoftをEU(欧州委員会)に提訴しました。
「Teamsをoffice 365にバンドルするのは独禁法違反だ」という主張です。
「Slackは企業のソフトウェア予算の2%程度しか必要としないが、MicrosoftのOffice製品は100%要求する。その中にTeamsを無料で同梱すれば、公正な競争ができない」というのがSlackの言い分でした(株式会社ハイパー公式noteより)。
EU欧州委員会が正式調査開始(2023年7月)
Slackの提訴を受け、欧州委員会は2023年7月に独占禁止法違反の可能性について正式な調査を開始しました。
Microsoftは少なくとも2019年4月からTeamsを抱き合わせ販売していたと指摘されます(ITmedia NEWSより)。
EEA・スイスで先行分離(2023年10月)
欧州委員会の調査を受けたMicrosoftは、2023年10月より欧州経済領域(EEA)とスイスでTeamsの分離を先行実施します。
欧州では「Teamsなしのプランを安価に提供し、競合サービスとの相互運用をしやすくすべきだ」という考え方のもとで変更が行われました(ITmedia NEWSより)。
グローバル展開で日本にも適用(2024年4月)
2024年4月1日、Microsoftは欧州での変更をグローバルに拡大すると発表しました。
「世界的に一貫したライセンス体系は、顧客にとっての明確性を確保し、意思決定を合理化するのに役立つ」というのがMicrosoftの説明です。
これにより日本でも同年4月以降、ライセンス体系が変更されました(窓の杜「Microsoft 365からTeamsを分離」より)。
変更の全体像:プラン別の整理
分離の対象は法人向けプランのみで、一般消費者向けや教育機関向けには影響がありません。
法人向けプランは「大企業向け(Enterprise)」と「中小企業向け(Business)」で扱いが異なります。
大企業向けプラン(Enterprise系)の変更
Office 365 E1/E3/E5、Microsoft 365 E3/E5 などのEnterpriseプランでは、Teamsが含まれる新規サブスクリプションの販売が終了しました。
今後これらのプランを新規契約する場合、Teamsを使いたければ「Microsoft Teams Enterprise」を別途、利用ユーザー数分だけ追加購入する必要があります。
プラン名は既存のものに「(no Teams)」が付くようになっています(例:「Microsoft 365 E3 (no Teams)」)。
中小企業向けプラン(Business系)の変更
Microsoft 365 Business Basic/Standard/Premiumなどのビジネスプランは、Teams付きと「(no Teams)」の両方が引き続き提供されています。
Teamsが不要な企業は「(no Teams)」プランを選択してコストを下げることができ、反対にTeamsも必要な企業はこれまで通りのTeams付きプランを選べます。
つまりBusinessプランは、選択肢が増えた形です(Microsoft 365相談センター「No Teamsプランの全体像」より)。
まとめ:プラン別の変更対応表
| プランの種類 | 変更内容 | Teamsを使うには |
|---|---|---|
| Enterprise(E1/E3/E5など) | Teamsあり新規販売終了 | Teams Enterprise を別途購入 |
| Business(Basic/Standard/Premium) | Teams付き・なし両方選択可 | Teams付きプランを選ぶ、またはTeams Enterpriseを追加 |
| F3(フロントラインワーカー向け) | Teams付き・なし両方選択可 | Teams付きプランを選ぶ |
(JBCC株式会社の公式お知らせ・Microsoft 365相談センターの情報をもとに作成)
新設された「Microsoft Teams Enterprise」とは
Teams Enterpriseは、分離にともない新たに提供開始されたTeams単体の法人向けライセンスです。
主な特徴は以下のとおりです。
- 料金:787円/ユーザー/月(税抜)(年契約の場合)
- 対象:法人向けのEnterpriseプランに追加して使う形式
- 内容:Web会議・チャット・ファイル共有・共同編集・データの暗号化など、Teamsの主要機能が利用可能
Teams Enterpriseは、あくまで「Microsoft 365やOffice 365のベースプランに追加するオプション」という位置づけです。
単体で単独契約できるものではなく、対象のベースプランとセットで使います(JBCC株式会社「ライセンスに関するお知らせ」より)。
なお「Teams Enterprise」とは別に、Teams単独・スタンドアロンで使えるTeams Essentials(430円/ユーザー/月・税抜)も存在します。
こちらはMicrosoft 365を契約していない組織が、Teamsの会議・チャット機能だけを導入したい場合向けのプランです。
詳しくはMicrosoft Teams Essentials 使い方完全ガイドをご覧ください。
既存契約者への影響
「今すでにTeams付きプランを使っているけど、突然使えなくなる?」という心配をされる方も多いと思います。
結論から言うと、既存の契約は自動的に切り替わりません。
2024年6月時点の公式FAQによれば、次のような扱いになっています。
- すでにTeams付きプランを契約している場合、そのまま更新・継続することが可能
- 自動的にno Teamsプランへ切り替わることはない
- ただし、いつまで既存のTeams付きプランで更新できるかは現時点では未定
既存のOffice 365 E1/E3/E5、Microsoft 365 E3については、Teams付きプランの上位プランへのアップグレードも引き続き可能です。
ただし、それ以外のプランからアップグレードする場合は「no Teams版」へのアップグレードとなるため、別途Teams Enterpriseの購入が必要になる点に注意が必要です(Microsoft 365相談センターより)。
コスト面への影響
この変更によって、一部のプランではトータルコストが上昇しています。
例えば大企業向けの「Office 365 E1」を例にとると、以前はTeams込みのプランがありましたが、分離後は「Office 365 E1(no Teams)+Teams Enterprise」という組み合わせになります。
合計の月額は1,948円となり、過去の価格と比較すると大幅な値上がりとなっています(サイバーソリューションズの調査より)。
また、2024年4月の変更と同時に、Microsoft 365の全体的な価格改定(約20%値上げ)も行われています。
Teamsを継続利用する場合は、実質的なコスト増加がどの程度になるか事前に確認することを推奨します。
Microsoft 365の管理全般についてはMicrosoft 365管理センター完全ガイドもあわせてご覧ください。
今後の対応:何をすればいいのか
新規に法人向けプランを契約する場合
Enterpriseプランを新規導入するなら、Teams Enterpriseの追加購入が前提になります。
Businessプランは引き続きTeams付きプランを選択できるので、小規模組織であれば従来通りの契約方法で問題ありません。
既存プランを継続・更新する場合
自動的な切り替えはないため、基本的には現行プランのまま更新することができます。
ただし、プランの変更やアップグレードを検討する場合は、Teams付きプランへのアップグレードができないケースもあるため、契約更新の前にパートナーまたはMicrosoft公式サポートへ確認することをおすすめします。
Teamsなしプランへの切り替えを検討する場合
Teamsを使わない、または別のチャットツール(SlackやGoogle Chatなど)を利用している組織にとっては、no Teamsプランへの切り替えでコストを削減できる可能性があります。
自社のツール利用状況を整理したうえで、プランの見直しを行うとよいでしょう。
Teamsのプラン比較についてはTeams 無料版と有料版の違いを徹底比較もご参考ください。
まとめ
2024年4月のTeamsライセンス分離は、EUの独占禁止法対応を発端にした大きな変更です。
ポイントをまとめると次のとおりです。
- Enterpriseプラン(E1/E3/E5等)はTeams含む新規販売が終了し、Teams Enterpriseを別途購入する必要がある(787円/ユーザー/月・税抜)
- Businessプラン(Basic/Standard/Premium等)はTeams付き・なし両方が引き続き提供されており、選択の幅が広がった
- 既存のTeams付きプランは自動切替されないため、現行契約の継続は可能
- ただしアップグレード先によってはTeams Enterpriseの追加が必要になるケースがある
契約内容の確認や変更を検討する際は、必ず最新の情報をMicrosoft公式ライセンスページでご確認ください。
参考情報源:
- Impress Watch「Microsoft、Teamsのバンドル販売を停止」(2024年4月)
- ITmedia NEWS「Microsoft、企業向け365製品からTeamsを分離」(2024年4月)
- 窓の杜「Microsoft 365からTeamsを分離」(2024年4月)
- Microsoft 365相談センター「No Teamsプランの全体像を解説」(2024年6月)
- JBCC株式会社「Microsoft TeamsライセンスのNo Teamsプランについて」(2024年4月)
- サイバーソリューションズ「Microsoft 365の5年間の価格上昇まとめ」(2024年)
- Microsoft Learn「Partner Center announcements 2024年11月」

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