MacとiPhoneを両方使っているなら、データを同期させると驚くほど便利になります。
iPhoneで撮った写真がMacに自動で表示されたり、Macで見ていたウェブページをiPhoneで続きから読めたり、連絡先やカレンダーがどちらでも最新の状態になったり。一度設定すれば、意識することなくデータが共有されるんです。
「同期ってなんだか難しそう…」と思うかもしれませんが、実は設定はとても簡単です。
この記事では、MacとiPhoneの同期方法を基本から詳しく解説します。トラブルシューティングも紹介するので、うまくいかない時も安心ですよ。
「同期」って何?

データを複数のデバイスで共有すること
同期(シンクロナイゼーション)とは、複数のデバイスのデータを同じ状態に保つことです。
例えば、iPhoneの連絡先に新しい友達の電話番号を追加したら、自動的にMacの連絡先アプリにも追加される。これが同期です。
自動と手動の2種類
自動同期
インターネット経由(iCloud)で自動的にデータが共有されます。何もしなくても常に最新の状態になります。
手動同期
ケーブルでMacとiPhoneを接続して、Finderから手動でデータを転送します。
基本的には、自動同期(iCloud)を使うのがおすすめです。
iCloudを使った自動同期
MacとiPhoneを同期する一番簡単な方法は、iCloudを使うことです。
iCloudは、Appleが提供するクラウドサービス(インターネット上のデータ保管場所)です。無料で5GBまで使えます。
iPhone側の設定
手順1:iCloudにサインイン
- iPhoneの「設定」を開く
- 一番上の自分の名前をタップ
- すでにサインイン済みなら、Apple IDが表示されます
サインインしていない場合は、Apple IDとパスワードを入力してサインインします。
手順2:同期したい項目をオン
- 「設定」→自分の名前→「iCloud」をタップ
- 同期したい項目をオンにする
主な項目:
- 写真:iCloud写真をオンにすると、撮った写真が自動でMacに同期されます
- 連絡先:電話帳が同期されます
- カレンダー:予定が同期されます
- リマインダー:ToDoリストが同期されます
- メモ:メモアプリの内容が同期されます
- Safari:ブックマークや閲覧履歴が同期されます
- メール:iCloudメールが同期されます
手順3:Wi-Fi接続を確認
iCloudの同期には、インターネット接続が必要です。Wi-Fiに接続しているか確認しましょう。
Mac側の設定
手順1:iCloudにサインイン
- Macの画面左上のAppleメニュー()をクリック
- 「システム設定」(macOS Ventura以降)または「システム環境設定」(それ以前)を選択
- 「Apple ID」をクリック
- 左側のメニューで「iCloud」を選択
すでにサインイン済みなら、Apple IDが表示されます。
手順2:同期したい項目をオン
iPhoneと同じ項目をオンにします。
- iCloud写真
- 連絡先
- カレンダー
- リマインダー
- メモ
- Safari
- 「Macを探す」もオンにしておくと、紛失時に便利です
手順3:同期を確認
数分待つと、iPhoneのデータがMacに表示され始めます。
- 写真アプリを開くと、iPhoneで撮った写真が見られます
- 連絡先アプリにiPhoneの電話帳が表示されます
同期できる主なデータ
写真とビデオ
iCloud写真をオンにすると、撮影した写真やビデオが自動でMacと同期されます。
メリット
- iPhoneの容量を節約できる(オリジナルはiCloudに保存、デバイスには軽量版)
- Macで編集した写真がiPhoneにも反映される
- 削除もすべてのデバイスで同期される
注意点
- 5GBの無料容量では足りなくなる可能性あり
- 有料プランは50GB:月額130円、200GB:月額400円、2TB:月額1,300円
連絡先
電話番号、メールアドレス、住所などが同期されます。
iPhoneで追加・編集した連絡先が、Macの連絡先アプリにも自動で反映されます。逆も同じです。
カレンダーと予定
MacのカレンダーアプリとiPhoneのカレンダーアプリが同期されます。
どちらで予定を追加しても、両方に表示されます。仕事の予定をMacで入力して、外出先でiPhoneで確認する、といった使い方ができますね。
リマインダー(ToDoリスト)
買い物リストやタスクが同期されます。
Macでリマインダーを追加すると、iPhoneでも確認できます。iPhoneで完了にすれば、Macでも完了として表示されます。
メモ
メモアプリの内容が同期されます。
思いついたアイデアをiPhoneでメモして、後でMacで詳しく書く、という使い方が便利です。
Safariのデータ
- ブックマーク(お気に入り)
- 閲覧履歴
- 開いているタブ
- パスワード(キーチェーン)
Macで見ていたウェブページを、iPhoneで続きから見られます。
メッセージ(iMessage)
iMessageとSMSの会話履歴が同期されます。
ただし、SMSの送受信には設定が必要です(後述)。
ファイル(iCloud Drive)
書類やファイルをiCloud Driveに保存すると、MacとiPhoneの両方からアクセスできます。
例えば、MacでPDFファイルをiCloud Driveに保存すれば、外出先でiPhoneから確認できます。
有線接続での同期(Finder)
インターネット接続が不安定な場合や、大量のデータを素早く転送したい場合は、ケーブルで直接接続する方法もあります。
必要なもの
- USB-CケーブルまたはLightningケーブル
- Mac(macOS Catalina 10.15以降)
注意:macOS Mojave以前の場合は、iTunesを使います。
接続手順
手順1:iPhoneをMacに接続
ケーブルでiPhoneとMacを接続します。
手順2:Finderを開く
- Macでアプリケーション「Finder」を開く
- 左側のサイドバーで「場所」セクションにiPhoneが表示される
- iPhoneの名前をクリック
手順3:信頼する
初めて接続する場合、iPhone側に「このコンピュータを信頼しますか?」と表示されます。「信頼」をタップして、パスコードを入力します。
手順4:同期設定を選択
Finderの画面で、同期したい項目にチェックを入れます。
- 音楽
- 映画
- テレビ番組
- ポッドキャスト
- オーディオブック
- 写真
- ファイル
手順5:同期を実行
右下の「適用」または「同期」ボタンをクリックします。
同期が完了するまで、ケーブルを抜かないでください。
いつ有線同期を使う?
- 大量の音楽ファイルを転送したい
- ビデオを直接転送したい
- インターネット接続がない環境
- iCloudの容量が足りない
便利な連携機能
MacとiPhoneには、同期以外にも便利な連携機能がたくさんあります。
AirDrop
写真やファイルを無線で簡単に送受信できます。
使い方
- MacとiPhoneの両方でBluetoothとWi-Fiをオン
- iPhoneで共有したいファイルを開く
- 共有ボタン(□に↑)をタップ
- AirDropのセクションでMacを選択
- Mac側で「受け入れる」をクリック
ケーブル不要で、数秒で転送完了します。
ユニバーサルクリップボード
iPhoneでコピーした文字を、Macで貼り付けられます。逆も可能です。
使い方
- 両方のデバイスで同じApple IDにサインイン
- BluetoothとWi-Fiをオン
- Handoffをオン(設定→一般→AirPlayとHandoff)
- iPhoneでテキストをコピー
- Macで「Command + V」で貼り付け
特別な操作は不要です。普通にコピー&ペーストするだけで、デバイスをまたいで使えます。
Handoff
あるデバイスで始めた作業を、別のデバイスで続けられます。
対応アプリ例
- Safari
- メール
- メモ
- Pages、Numbers、Keynote
- マップ
使い方
- iPhoneでSafariを開いてウェブサイトを見ている
- Macのアプリ切り替え画面(Command + Tab)または Dockの右端に、iPhoneで開いているページのアイコンが表示される
- それをクリックすると、Macで続きから見られる
逆にMacからiPhoneへの引き継ぎも可能です。
iPhoneからMacに電話
iPhoneにかかってきた電話を、Macで受けることができます。
設定方法
iPhone側
- 設定→電話→「ほかのデバイスでの通話」
- 「ほかのデバイスでの通話を許可」をオン
- Macにチェックを入れる
Mac側
- FaceTimeアプリを開く
- メニューバーの「FaceTime」→「設定」
- 「iPhoneから通話」にチェック
電話がかかってくると、Mac画面に通知が表示され、そのまま応答できます。
SMSの送受信
iMessageだけでなく、通常のSMS(携帯電話のショートメッセージ)もMacで送受信できます。
設定方法
iPhone側
- 設定→メッセージ
- 「SMS/MMS転送」をタップ
- Macにチェックを入れる
- Macに表示される確認コードを入力
これで、Macのメッセージアプリから、Androidユーザーにもメッセージを送れます。
同期がうまくいかない時の対処法

写真が同期されない
原因1:iCloud写真がオフ
iPhoneとMacの両方で、iCloud写真がオンになっているか確認しましょう。
原因2:容量不足
iCloudの容量が足りないと同期が止まります。
確認方法:
- iPhone:設定→自分の名前→iCloud→ストレージを管理
- Mac:システム設定→Apple ID→iCloud
容量が足りない場合は、不要な写真を削除するか、有料プランにアップグレードします。
原因3:モバイルデータ通信がオフ
Wi-Fiがない場所で同期したい場合、設定を変更する必要があります。
iPhone:設定→写真→「モバイルデータ通信」をオン
ただし、データ通信量が多くなるので注意してください。
原因4:同期に時間がかかっている
大量の写真がある場合、数時間から数日かかることもあります。充電しながらWi-Fiに接続して、しばらく待ちましょう。
連絡先やカレンダーが同期されない
原因1:iCloud設定がオフ
該当する項目がオンになっているか、もう一度確認してください。
原因2:デフォルトアカウントが違う
複数のアカウント(iCloud、Gmail、Exchangeなど)を使っている場合、データが別のアカウントに保存されている可能性があります。
iPhone:設定→連絡先(またはカレンダー)→デフォルトアカウント
iCloudに設定されているか確認しましょう。
原因3:同期が一時停止している
一度オフにして、再度オンにすると解決することがあります。
- 設定→自分の名前→iCloud
- 該当項目をオフ
- 「iPhoneに残す」を選択
- 数秒待ってから再度オン
Safariのタブが同期されない
原因1:Safariの同期がオフ
設定→自分の名前→iCloud→「Safariを使用しているApp」がオンか確認
原因2:プライベートブラウズモード
プライベートブラウズ(シークレットモード)で開いたタブは同期されません。
原因3:別のApple IDでサインイン
MacとiPhoneで異なるApple IDを使っていないか確認しましょう。
メッセージが同期されない
原因1:iCloudにメッセージが保存されていない
設定→自分の名前→iCloud→「メッセージ」がオンか確認
原因2:SMS転送が設定されていない
通常のSMSを同期するには、前述の「SMS/MMS転送」設定が必要です。
AirDropが使えない
原因1:BluetoothまたはWi-Fiがオフ
両方のデバイスで、BluetoothとWi-Fiがオンになっているか確認します。
原因2:AirDropの受信設定
iPhoneのコントロールセンターでAirDropをタップして、「すべての人」または「連絡先のみ」を選びます。
「受信しない」になっていると、何も送られてきません。
原因3:デバイスが近くにない
AirDropは約9メートル以内で動作します。近づいて試してみましょう。
よくある質問
Q. 無料で使える容量は?
A. iCloudは無料で5GBまで使えます。ただし、写真や動画をたくさん保存すると、すぐに足りなくなります。有料プランへのアップグレードを検討しましょう。
Q. 同期を止めたい項目がある
A. 設定→Apple ID→iCloudで、個別にオン・オフを切り替えられます。例えば写真だけ同期を止めて、連絡先は同期し続けることが可能です。
Q. iPhoneで削除したら、Macからも消える?
A. はい、同期している項目は、どちらか一方で削除すると両方から削除されます。重要なデータは削除前に確認しましょう。
Q. パソコンを買い替えたらデータは?
A. iCloudで同期していれば、新しいMacで同じApple IDにサインインするだけで、すべてのデータが表示されます。
Q. 家族のiPhoneと同期してしまう?
A. 同じApple IDを使わない限り、勝手に同期されることはありません。家族それぞれが自分のApple IDを使いましょう。
Q. 同期を一時停止できる?
A. はい、該当項目をオフにすれば一時停止できます。再度オンにすれば、同期が再開されます。
データ通信量と電池消費への配慮
Wi-Fi接続を優先
iCloudの同期は、できるだけWi-Fi環境で行いましょう。
モバイルデータ通信で大量の写真を同期すると、あっという間に通信制限にかかります。
充電中に同期
バッテリー消費が気になる場合は、充電中に同期するよう設定できます。
iPhoneを充電器に接続してWi-Fiに繋いでおけば、夜間に自動的に同期されます。
自動ダウンロードの設定
設定→自分の名前→iCloud→写真で、以下のオプションがあります。
- iPhoneのストレージを最適化:iPhoneには軽量版を保存、オリジナルはiCloudに
- オリジナルをダウンロード:すべてのオリジナル写真をiPhoneに保存
容量に余裕がないなら、「最適化」を選びましょう。
セキュリティとプライバシー
2ファクタ認証を有効に
Apple IDのセキュリティを高めるため、2ファクタ認証(2段階認証)を有効にしましょう。
設定→自分の名前→パスワードとセキュリティ→「2ファクタ認証」
これで、パスワードだけでなく確認コードも必要になり、不正アクセスを防げます。
iCloudキーチェーン
パスワードを安全に同期できる機能です。
SafariやアプリのパスワードをiCloudキーチェーンに保存すると、MacとiPhoneで共有されます。毎回パスワードを入力する手間が省けます。
設定→自分の名前→iCloud→パスワードとキーチェーン
公共のWi-Fiでは注意
カフェや空港の公共Wi-Fiでは、データが盗まれるリスクがあります。
重要なデータの同期は、自宅やオフィスの安全なWi-Fiで行いましょう。
まとめ:設定は一度だけ、あとは自動
MacとiPhoneの同期は、最初の設定さえ済ませれば、あとは意識せずに使えます。
基本の設定手順
- MacとiPhoneで同じApple IDにサインイン
- iCloudで同期したい項目をオン
- Wi-Fiに接続して同期を待つ
これだけで、写真、連絡先、カレンダー、メモなど、すべてのデータが自動で共有されます。
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同期がうまくいかない時は、設定の確認、デバイスの再起動、iCloudの容量チェックを順番に試してみましょう。
Appleのエコシステムをフルに活用して、もっと快適なデジタルライフを楽しんでくださいね。


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