Firefoxには、ウェブサイトの開発やデバッグに役立つ「開発者ツール」が標準で搭載されています。
HTMLやCSS、JavaScriptのコードを確認・編集したり、ネットワークの通信状況を調べたりと、ウェブ開発に欠かせない機能が揃っています。
この記事では、Firefoxの開発者ツールの基本的な使い方から、各機能の詳しい説明、実践的な活用方法まで、初心者にもわかりやすく解説します。
ChromeやEdgeなど他のブラウザから乗り換えを検討している方にも役立つ内容です。
Firefoxの開発者ツールとは

Firefoxの開発者ツール(Firefox Developer Tools)は、ウェブページの構造や動作を分析・デバッグするための機能群です。
Mozilla Foundationが開発しており、Firefoxブラウザに標準で組み込まれています。
開発者ツールでできること
Firefoxの開発者ツールを使うと、以下のようなことができます。
- HTMLの構造を確認・編集する
- CSSのスタイルを確認・変更する
- JavaScriptのコードをデバッグする
- ネットワーク通信の内容を監視する
- ページの読み込み速度を測定する
- メモリ使用量を確認する
- レスポンシブデザインをテストする
- アクセシビリティをチェックする
これらの機能により、ウェブサイトの問題を素早く特定し、効率的に修正できます。
他のブラウザとの違い
FirefoxとChromeの開発者ツールは、基本的な機能がよく似ています。
しかし、Firefoxには以下のような特徴があります。
Firefoxの利点:
- 標準で完全に日本語化されている
- インターフェースが見やすく整理されている
- CSS GridやFlexboxの可視化機能が充実
- 動作が軽快で反応が速い
- プライバシーに配慮した設計
Chromeと比較した場合:
Chromeは一部のパフォーマンス測定機能やネットワーク調整機能で優位性があります。
一方、Firefoxは初心者にも使いやすいインターフェースと、モダンなCSS機能のサポートで評価されています。
開発者ツールの開き方
Firefoxで開発者ツールを開く方法はいくつかあります。
方法1: キーボードショートカット
最も簡単な方法は、キーボードショートカットを使うことです。
Windows・Linux:
- F12キー
- Ctrl + Shift + I
macOS:
- Command + Option + I
これらのキーを押すと、画面下部に開発者ツールが表示されます。
方法2: 右クリックメニュー
ページ上の要素を直接調べたい場合は、右クリックメニューが便利です。
- 調べたい要素の上で右クリック
- 「要素を調査」を選択
この方法では、選択した要素が自動的にインスペクターで選択された状態で開発者ツールが開きます。
方法3: メニューから開く
メニューバーから開くこともできます。
- 画面右上の「≡」(ハンバーガーメニュー)をクリック
- 「その他のツール」を選択
- 「ウェブ開発ツール」をクリック
開発者ツールの配置を変更する
開発者ツールは、デフォルトでは画面下部に表示されます。
しかし、作業しやすいように位置を変更できます。
開発者ツール右上の「…」メニューから、以下の配置が選択できます。
- 下側にドッキング(デフォルト)
- 右側にドッキング
- 左側にドッキング
- 別ウィンドウで開く
大きなモニターを使っている場合は、右側や左側にドッキングすると作業領域を広く使えます。
主要な機能とタブ
Firefoxの開発者ツールには、複数のタブがあり、それぞれ異なる機能を提供しています。
インスペクター(Inspector)
インスペクターは、最もよく使う機能の一つです。
HTMLの構造とCSSのスタイルを確認・編集できます。
主な機能:
- DOMツリーの表示と編集
- 適用されているCSSスタイルの確認
- スタイルのリアルタイム編集
- ボックスモデルの可視化
- フォント情報の確認
- CSS GridとFlexboxのレイアウト確認
使い方:
- インスペクタータブを開く
- 左上の要素選択アイコンをクリック
- ページ上の要素をクリックすると、その要素がインスペクターで選択される
- 右側のパネルでCSSスタイルを確認・編集できる
ボックスモデルの表示:
インスペクターの右側パネルにある「ボックスモデル」セクションでは、選択した要素のサイズ情報を視覚的に確認できます。
- コンテンツ領域(青)
- パディング(紫)
- ボーダー(黄)
- マージン(オレンジ)
ページ上にもオーバーレイ表示されるため、実際のレイアウトと照らし合わせながら確認できます。
CSSの編集:
スタイルパネルで直接CSSを編集すると、変更が即座にページに反映されます。
プロパティ名や値をクリックして編集したり、チェックボックスで有効・無効を切り替えたりできます。
新しいスタイルを追加するには、要素セレクタの右側にある「+」ボタンをクリックします。
コンソール(Console)
コンソールは、JavaScriptのエラーメッセージを確認したり、コードを実行したりする機能です。
主な機能:
- JavaScriptのエラーと警告の表示
- console.log()などの出力を表示
- JavaScriptコードの実行
- ページ内のオブジェクトや関数へのアクセス
使い方:
コンソールの下部にある入力欄にJavaScriptコードを入力してEnterキーを押すと、コードが実行されます。
// 例: ページタイトルを確認
document.title
// 例: 要素を取得
document.querySelector('.header')
// 例: 簡単な計算
2 ** 10
便利な機能:
- 上矢印キーで過去に実行したコマンドを呼び出せる
- Tab キーでコード補完が使える
- フィルター機能でメッセージの種類を絞り込める
デバッガー(Debugger)
デバッガーは、JavaScriptのコードをステップ実行してバグを見つける機能です。
主な機能:
- ブレークポイントの設定
- コードのステップ実行
- 変数の値の確認
- コールスタックの表示
- ソースマップのサポート
基本的な使い方:
- デバッガータブを開く
- 左側のファイル一覧から、デバッグしたいJavaScriptファイルを選択
- コードの行番号をクリックしてブレークポイントを設定
- ページを操作してコードを実行すると、ブレークポイントで停止する
- 上部のボタンで実行を制御できる
実行制御ボタン:
- 再開(Resume): 実行を再開
- ステップオーバー(Step Over): 次の行へ進む
- ステップイン(Step In): 関数の中に入る
- ステップアウト(Step Out): 関数から出る
右側のパネルには、現在のスコープ内の変数の値が表示されます。
ネットワーク(Network)
ネットワークタブでは、ページが読み込むすべてのリソースの通信状況を確認できます。
主な機能:
- すべてのHTTPリクエストとレスポンスの記録
- 読み込み時間の測定
- リクエストヘッダーとレスポンスヘッダーの確認
- レスポンスボディの表示
- タイミング情報の詳細表示
使い方:
- ネットワークタブを開く
- ページをリロードすると、リクエストの一覧が表示される
- 各リクエストをクリックすると、詳細情報が表示される
フィルター機能:
上部のボタンで、表示するリソースの種類を絞り込めます。
- すべて
- HTML
- CSS
- JS
- XHR(Ajaxリクエスト)
- フォント
- 画像
- メディア
- WS(WebSocket)
タイミング情報:
各リクエストの詳細画面の「タイミング」タブでは、以下の情報が確認できます。
- DNSルックアップ
- 接続
- TLSセットアップ
- リクエスト送信
- 待機(TTFB)
- コンテンツダウンロード
これらの情報は、ページの読み込みが遅い原因を特定するのに役立ちます。
パフォーマンス(Performance)
パフォーマンスタブでは、ページの動作を記録して分析できます。
主な機能:
- JavaScriptの実行時間の測定
- レイアウトとペイントの記録
- フレームレート(FPS)の表示
- メモリ使用量の記録
使い方:
- パフォーマンスタブを開く
- 記録ボタンをクリック
- ページを操作する
- 停止ボタンをクリック
- 記録結果が表示される
記録結果では、タイムライン上でどの処理に時間がかかっているかが視覚的にわかります。
JavaScriptの実行、レイアウトの計算、ペイントなど、各処理が色分けされて表示されます。
メモリ(Memory)
メモリタブでは、JavaScriptのヒープメモリの使用状況を確認できます。
主な機能:
- メモリスナップショットの取得
- オブジェクトの割り当て状況の確認
- メモリリークの検出
メモリリークとは、不要になったオブジェクトがメモリ上に残り続ける問題です。
メモリツールを使うと、どのオブジェクトがメモリを消費しているかを特定できます。
スタイルエディター(Style Editor)
スタイルエディターは、ページに適用されているすべてのCSSファイルを表示・編集できる機能です。
主な機能:
- すべてのスタイルシートの一覧表示
- CSS の編集と保存
- シンタックスハイライト
- 行番号の表示
- エラーと警告の表示
インスペクターが特定の要素のスタイルを確認するのに対し、スタイルエディターはCSSファイル全体を編集するのに適しています。
編集内容は即座にページに反映されるため、デザインの微調整に便利です。
アクセシビリティ(Accessibility)
アクセシビリティタブでは、ウェブサイトがアクセシビリティ基準を満たしているかを確認できます。
主な機能:
- アクセシビリティツリーの表示
- スクリーンリーダーへの情報表示の確認
- コントラスト比のチェック
- キーボード操作の確認
アクセシビリティは、障害のある方を含むすべての人がウェブサイトを利用できるようにするための重要な要素です。
レスポンシブデザインモード
レスポンシブデザインモードは、異なる画面サイズでのウェブサイトの表示をテストする機能です。
開き方
開発者ツール右上のツールバーにある「レスポンシブデザインモード」アイコンをクリックします。
キーボードショートカットは以下の通りです。
Windows・Linux:
Ctrl + Shift + M
macOS:
Command + Option + M
使い方
レスポンシブデザインモードでは、以下の操作ができます。
画面サイズの変更:
- 上部のドロップダウンから、あらかじめ用意されたデバイスを選択
- 幅と高さを数値で直接入力
- ビューポートの端をドラッグしてサイズを変更
プリセットデバイス:
- iPhone SE
- iPhone XR
- iPhone 12 Pro
- iPad
- iPad Pro
- Galaxy S9/S20 Ultra
- Kindle Fire HDX
その他の機能:
- 画面の回転(縦向き・横向きの切り替え)
- デバイスピクセル比(DPR)の設定
- User-Agentの変更
- タッチシミュレーション
レスポンシブデザインモードを使えば、実機がなくても様々な画面サイズでのレイアウトを確認できます。
実践的な使い方

ここでは、開発者ツールを使った具体的な作業例を紹介します。
CSSのレイアウト崩れを直す
ウェブサイトのレイアウトが意図通りに表示されない場合の手順です。
- 問題の要素上で右クリック→「要素を調査」
- インスペクターで要素のHTMLとCSSを確認
- 適用されているCSSプロパティを確認
- 問題のあるプロパティを特定
- 値を変更して、正しい表示になるか確認
- 正しい値が見つかったら、実際のCSSファイルに反映
ボックスモデルの確認:
レイアウト崩れの原因は、多くの場合、マージンやパディングの設定にあります。
ボックスモデルの表示を見て、各値が意図通りになっているか確認しましょう。
JavaScriptのエラーを見つける
ページが正しく動作しない場合、JavaScriptのエラーが原因かもしれません。
- 開発者ツールを開く
- コンソールタブを確認
- 赤いエラーメッセージを探す
- エラーメッセージをクリックすると、該当するコード行に移動
- デバッガーでブレークポイントを設定して詳しく調査
よくあるエラー:
- Uncaught TypeError: エラー(変数が未定義など)
- Uncaught ReferenceError: エラー(変数名のスペルミスなど)
- Uncaught SyntaxError: エラー(構文エラー)
ページの読み込みが遅い原因を調べる
ページの表示が遅い場合は、ネットワークタブで原因を特定できます。
- ネットワークタブを開く
- ページをリロード
- 読み込み時間が長いリソースを探す
- サイズの大きいファイルや、読み込みに時間がかかるリクエストを特定
- 必要に応じて最適化する
チェックポイント:
- 画像のファイルサイズは適切か
- 不要なJavaScriptファイルを読み込んでいないか
- CSSファイルは必要最小限か
- サーバーのレスポンスは速いか
色のコントラスト比をチェックする
アクセシビリティの観点から、テキストと背景のコントラスト比は重要です。
- インスペクターで要素を選択
- 右側のパネルで色のサンプルをクリック
- カラーピッカーが開き、下部にコントラスト比が表示される
- WCAG AAまたはAAAの基準を満たしているか確認
WCAG基準:
- AA: 最低限のコントラスト比(通常テキスト4.5:1、大きいテキスト3:1)
- AAA: より高いコントラスト比(通常テキスト7:1、大きいテキスト4.5:1)
便利なショートカットキー
開発者ツールでよく使うショートカットキーをまとめました。
Windows・Linux
- F12: 開発者ツールを開く・閉じる
- Ctrl + Shift + I: 開発者ツールを開く・閉じる
- Ctrl + Shift + C: 要素選択モードを切り替え
- Ctrl + Shift + M: レスポンシブデザインモードを切り替え
- Ctrl + Shift + K: コンソールを開く
- Ctrl + Shift + E: ネットワークタブを開く
- Ctrl + Shift + J: ブラウザコンソールを開く(アドオン開発用)
macOS
- Command + Option + I: 開発者ツールを開く・閉じる
- Command + Option + C: 要素選択モードを切り替え
- Command + Option + M: レスポンシブデザインモードを切り替え
- Command + Option + K: コンソールを開く
- Command + Option + E: ネットワークタブを開く
- Command + Option + J: ブラウザコンソールを開く(アドオン開発用)
共通
- Esc: コンソールの表示・非表示を切り替え
- Ctrl/Command + F: 現在のタブ内を検索
ショートカットキーを覚えると、作業効率が大きく向上します。
Firefox Developer Editionについて
Mozillaは、開発者向けに特別なバージョンのFirefoxを提供しています。
Firefox Developer Editionとは
Firefox Developer Editionは、ウェブ開発者のために最適化されたFirefoxブラウザです。
特徴:
- 最新の開発者ツールをいち早く利用できる
- 実験的な機能が追加されている
- ダークテーマがデフォルト
- 通常のFirefoxと並行してインストール可能
- ベータ版の機能を12週間先取りできる
通常版との違い
通常のFirefoxと比べて、以下のような違いがあります。
- より新しい開発者ツールの機能
- WebSocket Inspector
- 複数行のコンソールエディター
- 開発者向けの設定がデフォルトで有効
- 独立したプロファイルとパス
インストール方法
Firefox Developer Editionは、Mozilla公式サイトから無料でダウンロードできます。
通常のFirefoxと同時にインストールして使用できるため、開発用と通常のブラウジング用で使い分けることができます。
開発者ツールの設定
開発者ツールは、設定でカスタマイズできます。
設定画面の開き方
開発者ツール右上の「…」メニューから「設定」を選択します。
主な設定項目
デフォルトの開発ツール:
表示するタブを選択できます。
使わない機能を非表示にすることで、インターフェースをすっきりさせられます。
利用可能なツールボックスのボタン:
ツールバーに表示するボタンを選択できます。
テーマ:
開発者ツールの外観を変更できます。
- ライトテーマ
- ダークテーマ
エディター設定:
コードエディターの設定を変更できます。
- タブサイズ(2、4、8スペース)
- 自動インデント
- 括弧の自動閉じ
- キーバインド(標準またはVim風)
詳細設定:
- HTTPキャッシュを無効化(開発中は便利)
- JavaScriptを無効化
- Service Workerを無効化
- ブラウザとアドオンのデバッグを有効化
トラブルシューティング
開発者ツールを使う際によくある問題と解決方法です。
開発者ツールが開かない
原因と対処法:
- Firefoxのバージョンが古い → 最新版にアップデート
- アドオンが干渉している → セーフモードで起動して確認
- プロファイルが破損している → 新しいプロファイルを作成
変更が反映されない
原因と対処法:
- キャッシュが残っている → Shift + リロードでキャッシュをクリア
- スーパーリロード → Ctrl + Shift + R(macOS: Command + Shift + R)
- 開発者ツールの設定で「HTTPキャッシュを無効化」を有効にする
コンソールにエラーが表示されない
原因と対処法:
- フィルターが有効になっている → フィルターボタンを確認
- ログレベルの設定 → 設定でログレベルを調整
- ページの読み込み前にコンソールを開く
パフォーマンスツールで記録できない
原因と対処法:
- メモリ不足 → 他のタブやアプリケーションを閉じる
- プライベートウィンドウモードでは一部機能が制限される
- 記録時間が長すぎる → 短い時間で記録する
まとめ
Firefoxの開発者ツールは、ウェブ開発に必要な機能が豊富に揃った、強力なツールです。
主な特徴をおさらい:
- 完全日本語化されたインターフェース
- HTMLとCSSの確認・編集が可能
- JavaScriptのデバッグ機能
- ネットワーク通信の監視
- パフォーマンスの測定
- レスポンシブデザインのテスト
- アクセシビリティのチェック
初心者におすすめの理由:
- 見やすく整理されたインターフェース
- わかりやすい日本語のメニュー
- 豊富な公式ドキュメント
- Chromeとの互換性が高い
効率的な使い方のポイント:
- ショートカットキーを覚える
- よく使う機能をツールバーに配置
- レスポンシブデザインモードを活用
- 設定をカスタマイズして使いやすく
Firefoxの開発者ツールをマスターすれば、ウェブサイトの制作やデバッグの作業効率が大幅に向上します。
まずは基本的な機能から使い始めて、徐々に高度な機能にも挑戦してみてください。
実際に手を動かしながら学ぶことで、自然と使い方が身についていきます。
より詳しい情報は、Mozilla Developer Network(MDN)の開発者ツールガイドを参照してください。
MDNには、各機能の詳細な説明やチュートリアルが豊富に用意されています。
開発者ツールを活用して、快適なウェブ開発を楽しんでください。

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