Dependency Walkerとは?DLLの依存関係を調べる便利ツールを徹底解説

Windows

作ったプログラムを別のパソコンで実行しようとしたら、「DLLファイルが見つかりません」というエラーが出て動かない……。

そんな経験、ありませんか?

Windowsのプログラム(exeファイル)は、たいてい他のファイル(DLLファイルなど)に依存して動いています。この依存関係を調べるのに便利なのが「Dependency Walker(デペンデンシー・ウォーカー)」というツールです。

この記事では、Dependency Walkerの基本的な使い方から、最新のWindows 10での問題点、そして代替ツールまで詳しく説明します。

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Dependency Walkerって何?

Dependency Walkerは、Windowsのプログラムファイルがどんなファイルに依存しているかを調べる無料ツールです。実行ファイル名は「depends.exe」といいます。

簡単に言うと、プログラムを動かすために必要な部品のリストを作ってくれるソフトです。

DLLファイルって何?

DLL(Dynamic Link Library)は、Windowsプログラムが共通して使う機能をまとめたファイルのこと。

たとえば、画面に文字を表示する機能や、ファイルを開く機能などが入っています。複数のプログラムで同じDLLを共有することで、パソコンの容量を節約できるわけです。

Dependency Walkerで何ができるの?

Dependency Walkerには、主に3つの便利な機能があります。

1. 依存関係をツリー形式で表示

プログラムが必要とするDLLファイルを、階層構造(木の枝のような形)で見やすく表示してくれます。

どのDLLがどのDLLを必要としているか、一目で分かるんです。

2. 不足しているファイルを発見

プログラムに必要なDLLファイルが見つからない場合、赤いマークやクエスチョンマークで教えてくれます。

「なぜプログラムが起動しないのか?」という疑問を解決する手がかりになるでしょう。

3. 詳細情報の確認

各ファイルについて、以下のような情報を確認できます:

  • ファイルの完全なパス(どこに保存されているか)
  • バージョン番号
  • 32ビット版か64ビット版か
  • エクスポートされている関数(他のプログラムから使える機能)

どんな時に使うの?実際の活用場面

Dependency Walkerは、こんな場面で活躍します。

開発したソフトを配布する時

自分のパソコンでは動くのに、他の人のパソコンでは動かない……そんな時、どのDLLファイルを一緒に配布すればいいか確認できます。

インストーラーを作る際、必要最小限のファイルを特定するのに役立つでしょう。

プログラムが起動しない原因を調べる時

「○○.dllが見つかりません」というエラーメッセージが出た時、実際にどのファイルが不足しているのか詳しく調べられます。

システムエラーのトラブルシューティング

プログラムの読み込みや実行に関するシステムエラーを診断するのにも便利です。

Dependency Walkerの基本的な使い方

使い方はとてもシンプルです。

ダウンロードとインストール

公式サイト(http://www.dependencywalker.com/)から、zipファイルをダウンロードします。

圧縮ファイルを解凍すると、「depends.exe」という実行ファイルが入っています。インストール作業は不要で、このファイルをダブルクリックすれば起動します。

ファイルを開く方法

起動後、調べたいプログラムファイル(exeやdll)を開く方法は2つあります:

方法1:ドラッグ&ドロップ
調べたいファイルを、Dependency Walkerの画面にドラッグして放り込むだけ。これが一番簡単です。

方法2:メニューから開く
「File」→「Open」を選んで、ファイルを選択します。

画面の見方

ファイルを開くと、画面には依存しているDLLのリストが表示されます。

左側にツリー構造が表示され、各DLLの下にさらに依存しているDLLが階層的に並びます。

赤いマークやクエスチョンマークが付いているファイルは、システムで見つからなかったファイルです。これが原因でプログラムが動かない可能性が高いでしょう。

フルパスの表示

各ファイルの完全なパス(保存場所)を見たい場合は、リスト上で右クリックして「Full Paths」を選択すると便利です。

これで、古いバージョンのDLLを読み込んでいないか確認できます。

Visual Studioとの関係

Dependency WalkerはMicrosoft製品に含まれていることが多く、特にVisual Studio(プログラム開発ツール)には標準で付属しています。

他にも以下の製品に含まれています:

  • Visual C++
  • Windows SDK(ソフトウェア開発キット)
  • Platform SDK
  • Windows DDK(デバイスドライバー開発キット)

日本語パスに関する注意点

Dependency Walkerには1つ弱点があります。それは日本語のパスに対応していないこと。

「デスクトップ」や「マイドキュメント」など、日本語の含まれるフォルダにあるファイルは、ドラッグ&ドロップでは開けません。

対処法

  1. ファイルを英語名のフォルダに移動してから開く
  2. 日本語化パッチを使う(有志が公開している)

Windows 10での問題点と注意事項

ここが重要なポイントです。

Dependency Walkerの開発は2006年頃に停止しており、最新のWindowsには完全対応していません。

Windows 10での具体的な問題

UIがフリーズする
Windows 10(特にビルド10.0.19043以降)では、依存関係を列挙する際にUIが数分間フリーズすることがあります。メモ帳のような単純なプログラムでさえ、分析に時間がかかる場合があるんです。

API-setsに対応していない
Windows 7以降、Microsoftは「API-sets」という新しい仕組みを導入しました。これは、関数呼び出しに間接的な層を追加するもの。

Dependency Walkerはこの仕組みに対応していないため、実際には問題ないのに「依存関係が見つかりません」というエラー(偽陽性)を表示することがあります。

対応OS

公式には以下のOSで動作するとされています:

  • Windows 95、98、Me
  • Windows NT、2000、XP、2003
  • Windows Vista、7、8

Windows 10や11は公式サポート外であることを覚えておきましょう。

現代的な代替ツール:Dependencies

Windows 10以降で快適に使いたいなら、Dependencies(デペンデンシーズ)という代替ツールがおすすめです。

Dependenciesとは

DependenciesはオープンソースのC#で書かれた、Dependency Walkerの現代版リライトです。

2017年10月にGitHub上で公開され、現在も開発が続いています。

Dependenciesの特徴

Windows 10/11に完全対応
API-setsやWinSxS(サイドバイサイドアセンブリ)などの新しい仕組みに対応しています。

2つの実行形式

  • DependenciesGui.exe(グラフィカル版)
  • Dependencies.exe(コマンドライン版)

コマンドライン版はJSON出力もできるので、自動化にも便利です。

インストール不要
zipファイルを解凍するだけで使えます。デジタル署名がないため、初回起動時にSmartScreen警告が出る可能性がありますが、問題ありません。

ダウンロード方法

GitHubのリリースページ(https://github.com/lucasg/Dependencies)から、最新版をダウンロードできます。

Dependenciesの制限事項

完璧なツールではなく、いくつか制限があります:

  • LoadLibraryによる動的読み込みには非対応
  • デフォルトでは子のインポートのみ解析(メモリ消費を抑えるため)
  • 再帰的な完全解析も可能だが、メモリを大量に使う

それでも、日常的な依存関係チェックには十分な機能を持っています。

まとめ:用途に応じて使い分けよう

Dependency Walkerは、Windowsプログラムの依存関係を調べる便利なツールです。

DLLファイルの不足が原因でプログラムが動かない時、配布用にどのファイルが必要か確認したい時などに活躍します。

ただし、開発が2006年で止まっているため、Windows 10以降では問題が発生することがあります。

最新のWindows環境で使うなら、オープンソースのDependenciesをおすすめします。新しい仕組みに対応していて、より快適に使えるでしょう。

どちらのツールも無料で使えるので、まずは試してみてください。プログラム開発やトラブルシューティングの強い味方になってくれるはずです。

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