Adobeキャッシュとは
Adobeアプリケーション(Photoshop、Premiere Pro、Illustratorなど)を使用すると、作業効率を向上させるために「キャッシュ」が自動的に作成されます。
キャッシュとは、よく使うデータを一時的に保存しておく仕組みのことです。
キャッシュの役割
ファイルの読み込みを高速化します。
レンダリング済みのプレビューを保存して次回の表示を速くします。
作業履歴を記録して「元に戻す」操作を可能にします。
頻繁に使用するフォント情報を素早く呼び出せるようにします。
キャッシュが保存される場所
- Windows:
C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Roaming\Adobe\Common\ - Mac:
/Users/(ユーザー名)/Library/Application Support/Adobe/Common/
キャッシュが溜まることで起こる問題
Adobeアプリケーションのキャッシュは自動で削除されないため、使えば使うほど溜まり続けます。
起こりうる問題
- ハードディスクの空き容量が減少
- アプリケーションの動作が遅くなる
- フリーズやクラッシュが頻発
- ファイルの読み込みに時間がかかる
- 「仮想記憶ディスクの空き容量がありません」エラーが表示される
- レンダリングが遅くなる
特にPremiere ProやAfter Effectsなどの動画編集ソフトは、大量のキャッシュを生成します。
数十GBから100GB以上のキャッシュが溜まることも珍しくありません。
キャッシュクリアが必要なタイミング
以下のような症状が出たら、キャッシュクリアを検討してください。
キャッシュクリアすべき状況
- アプリケーションの動作が以前より明らかに遅い
- ハードディスクの空き容量が不自然に減っている
- プレビュー再生がカクカクする
- ファイルの保存に時間がかかる
- アプリが頻繁にフリーズする
- 「メモリ不足」のエラーが表示される
- Adobeアプリをアップデート後に不具合が出る
定期的なキャッシュクリアの推奨頻度
- Premiere Pro / After Effects:週1回〜月1回
- Photoshop:月1回〜2ヶ月に1回
- Illustrator / InDesign:2ヶ月に1回〜3ヶ月に1回
- Acrobat:3ヶ月に1回
使用頻度や扱うファイルサイズによって調整してください。
Photoshopのキャッシュクリア方法
アプリ内からキャッシュをクリアする
手順
- Photoshopを起動
- 「編集」メニュー→「メモリをクリア」を選択
- クリアしたい項目を選択:
- 元に戻す:最近適用したコマンドの記録
- クリップボード:コピーした内容
- ヒストリー:ヒストリーパネルの履歴
- すべて:上記すべてを一度にクリア
- 選択した項目がクリアされます
注意点
- 「すべて」がグレーアウトしている場合は、既にクリア済みです
- 作業中のファイルを保存してから実行してください
- クリアすると「元に戻す」ができなくなります
仮想記憶ディスクの設定変更
Photoshopが使用する仮想記憶ディスク(スクラッチディスク)を最適化します。
手順
- Photoshopを起動
- 「編集」→「環境設定」→「仮想記憶ディスク」(Windows)
- または「Photoshop」→「設定」→「仮想記憶ディスク」(Mac)
- 空き容量が最も大きい高速なドライブにチェックを入れる
- 「OK」をクリック
- Photoshopを再起動
推奨設定
- 起動ドライブ(Cドライブ)以外のドライブを第1仮想記憶ディスクに設定
- 作業中は50GB以上の空き容量を確保
Premiere Proのキャッシュクリア方法
Premiere Proは、メディアキャッシュが非常に大きくなりやすいアプリです。
環境設定からキャッシュを削除
手順
- すべてのプロジェクトを閉じる
- 「編集」→「環境設定」→「メディアキャッシュ」(Windows)
- または「Premiere Pro」→「設定」→「メディアキャッシュ」(Mac)
- 「メディアキャッシュファイルを削除」の横の「削除」ボタンをクリック
- 削除オプションを選択:
- システムからすべてのメディアキャッシュファイルを削除
- 未使用のメディアキャッシュファイルを削除
- 90日以上前のメディアキャッシュファイルを削除
- 「OK」をクリック
起動時にキャッシュをクリア(Premiere Pro 2020以降)
手順
- Premiere Proを完全に終了
- Command キー(Mac)またはCtrl キー(Windows)を押しながらPremiere Proを起動
- 「リセットオプション」ダイアログが表示される
- 「メディアキャッシュファイルをクリア」にチェックを入れる
- 「OK」をクリック
メディアキャッシュの自動削除設定
手順
- 「編集」→「環境設定」→「メディアキャッシュ」を開く
- 「メディアキャッシュ管理」セクションで設定:
- キャッシュファイルを自動的に削除:チェックを入れる
- 次の日数が経過したキャッシュを削除:90日(推奨)
- キャッシュサイズが次の容量を超えた場合に削除:100GB(推奨)
- 「OK」をクリック
After Effectsのキャッシュクリア方法
ディスクキャッシュをクリア
手順
- After Effectsを起動
- 「編集」→「環境設定」→「メディア&ディスクキャッシュ」(Windows)
- または「After Effects」→「環境設定」→「メディア&ディスクキャッシュ」(Mac)
- 「ディスクキャッシュを空にする」ボタンをクリック
- 確認ダイアログで「OK」をクリック
自動削除の設定
手順
- 「編集」→「環境設定」→「メディア&ディスクキャッシュ」を開く
- 「最大ディスクキャッシュサイズを有効にする」にチェック
- サイズを設定(50GB〜100GB推奨)
- 「ディスクキャッシュを削除」で古いキャッシュを自動削除する日数を設定
- 「OK」をクリック
Illustratorのキャッシュクリア方法
Illustratorは他のアプリに比べてキャッシュが少ないですが、定期的なクリアは有効です。
環境設定のリセット
手順
- Illustratorを完全に終了
- 以下のキーを押しながらIllustratorを起動:
- Windows:Ctrl + Alt + Shift
- Mac:Command + Option + Shift
- 「Adobe Illustrator設定ファイルを削除しますか?」というダイアログが表示される
- 「はい」をクリック
- Illustratorが新しい環境設定で起動
注意点
- カスタマイズした設定がリセットされます
- ワークスペースの配置も初期状態に戻ります
- プラグインは再度有効化が必要
InDesignのキャッシュクリア方法
環境設定のリセット
手順
- InDesignを完全に終了
- 以下のキーを押しながらInDesignを起動:
- Windows:Ctrl + Alt + Shift
- Mac:Command + Control + Option + Shift
- 「InDesign環境設定ファイルを削除しますか?」と表示される
- 「はい」をクリック
- InDesignが起動
Acrobatのキャッシュクリア方法
キャッシュを削除
手順
- Acrobatを起動
- 「編集」→「環境設定」(Windows)
- または「Acrobat」→「環境設定」(Mac)
- 左側のリストから「文書」を選択
- 「キャッシュを削除」ボタンをクリック
- 「OK」をクリック
手動でキャッシュファイルを削除する方法(上級者向け)
アプリ内からの削除で解決しない場合、手動で削除できます。
Windows
手順
- すべてのAdobeアプリを終了
- エクスプローラーを開く
- アドレスバーに以下を入力してEnter:
%AppData%\Adobe\Common - 以下のフォルダー内のファイルを削除:
- Media Cache Files
- Media Cache
- Peak Files
- PTX
- メディアキャッシュ
- Windows Tempフォルダーも確認:
C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Local\Temp - Adobe関連の一時ファイルを削除
- パソコンを再起動
注意点
AppDataフォルダーは隠しフォルダーなので、表示設定が必要- 間違ったファイルを削除しないよう注意
Mac
手順
- すべてのAdobeアプリを終了
- Finderを開く
- 「移動」メニュー→「フォルダへ移動」
- 以下を入力:
~/Library/Application Support/Adobe/Common/ - 以下のフォルダー内のファイルを削除:
- Media Cache Files
- Media Cache
- Peak Files
- Macを再起動
隠しフォルダーの表示方法
- Finderで「Command + Shift + .(ピリオド)」を押す
Premiere Pro / After Effectsのプレビューファイル削除
プロジェクトごとのプレビューファイル
Windows
- プロジェクトファイル(.prproj または .aep)があるフォルダーを開く
- 以下のフォルダーを探す:
- Adobe Premiere Pro Video Previews
- Adobe Premiere Pro Audio Previews
- フォルダー内のファイルを削除
Mac
同様の手順でプレビューフォルダーを探して削除
注意点
- 作業中のプロジェクトのプレビューファイルは削除しない
- 完了したプロジェクトのみ削除する
キャッシュ削除時の注意点
削除前に確認すべきこと
必ず実行すること
- すべての作業ファイルを保存
- すべてのAdobeアプリを終了
- 重要なプロジェクトはバックアップを取る
- 作業中のプロジェクトがないことを確認
削除してはいけないもの
- アプリケーション本体のフォルダー
- プロジェクトファイル(.psd、.ai、.prproj など)
- 書き出した完成ファイル
- 素材ファイル
削除後の影響
起こりうること
- 初回プレビュー生成に時間がかかる
- フォントキャッシュが再構築される
- 環境設定がリセットされる(設定をリセットした場合)
- プラグインの再読み込みが必要になる
正常な動作
キャッシュ削除後、アプリの起動や初回プレビューに通常より時間がかかるのは正常です。
2回目以降は新しいキャッシュが作成されて高速になります。
トラブルシューティング
キャッシュ削除後も動作が重い
対処方法
- パソコンを再起動
- Adobeアプリを最新版に更新
- OSを最新版に更新
- ウイルス対策ソフトを一時的に無効化してテスト
- 仮想記憶ディスクの設定を見直す
- RAM(メモリ)の使用量を確認
- グラフィックドライバーを更新
「削除」ボタンがグレーアウトして押せない
原因
既にキャッシュが削除されているか、削除するキャッシュがありません。
対処方法
手動でキャッシュフォルダーを確認して、ファイルが存在するか確認してください。
キャッシュ削除後にアプリが起動しない
対処方法
- パソコンを再起動
- アプリを再インストール
- 環境設定ファイルを削除して初期化
- Adobe Creative Cloudデスクトップアプリから修復を実行
「仮想記憶ディスクの空き容量がありません」エラーが消えない
対処方法
- Photoshopのキャッシュを削除
- 仮想記憶ディスクを空き容量の多いドライブに変更
- 不要なファイルを削除してハードディスクの空き容量を増やす
- 50GB以上の空き容量を確保
- 外付けドライブを仮想記憶ディスクに設定(高速なSSD推奨)
よくある質問
Q1. キャッシュを削除すると作業データも消えますか?
A. いいえ、消えません。
キャッシュはあくまで一時的なデータです。
プロジェクトファイルや書き出した完成ファイルは削除されません。
ただし、以下の作業履歴は消えます:
- 「元に戻す」のヒストリー
- クリップボードにコピーした内容
- 未保存の編集内容
必ず作業ファイルを保存してからキャッシュを削除してください。
Q2. キャッシュはどのくらいの頻度で削除すべきですか?
A. 使用頻度とアプリによって異なります。
推奨頻度
- Premiere Pro / After Effects:週1回〜月1回
- Photoshop:月1回〜2ヶ月に1回
- Illustrator / InDesign:2ヶ月に1回
または以下の状況で削除:
- ハードディスクの空き容量が50GB以下になった
- アプリの動作が明らかに遅くなった
- 大規模プロジェクトが完了した
Q3. キャッシュを削除するとアプリが遅くなりませんか?
A. 一時的に遅くなりますが、すぐに改善します。
削除直後
- 初回プレビュー生成に時間がかかる
- フォント読み込みに時間がかかる
- ファイルオープンが遅い
2回目以降
新しいキャッシュが作成されて通常の速度に戻ります。
溜まりすぎたキャッシュよりも、新しいキャッシュの方がパフォーマンスが良いです。
Q4. 手動削除とアプリ内削除、どちらが良いですか?
A. 基本的にはアプリ内削除を推奨します。
アプリ内削除のメリット
- 安全で簡単
- 必要なファイルを誤って削除するリスクが低い
- 設定が不要
手動削除が必要な場合
- アプリ内削除で解決しない
- アプリが起動しない
- より徹底的にクリアしたい
手動削除する場合は、削除するフォルダーを慎重に確認してください。
Q5. キャッシュの保存場所を変更できますか?
A. はい、変更できます。
Premiere Pro / After Effects
- 「環境設定」→「メディアキャッシュ」
- 「参照」ボタンで保存場所を変更
- 空き容量が多く高速なドライブを選択
Photoshop
- 「環境設定」→「仮想記憶ディスク」
- 使用するドライブにチェック
- 優先順位を設定
推奨設定
- SSD(ソリッドステートドライブ)に保存
- OSドライブとは別のドライブを使用
- 常に50GB以上の空き容量があるドライブ
Q6. 自動削除の設定をすべきですか?
A. はい、設定を推奨します。
自動削除のメリット
- 手動で削除する手間が省ける
- ディスク容量を常に確保できる
- 古い不要なキャッシュが自動で削除される
推奨設定(Premiere Pro / After Effects)
- 90日以上前のキャッシュを削除
- キャッシュサイズが100GBを超えたら削除
- 未使用のキャッシュを削除
Q7. 複数のAdobeアプリを使っていますが、まとめて削除できますか?
A. 手動削除なら一度に削除できます。
手順
- すべてのAdobeアプリを終了
AppData\Adobe\Common(Windows)または~/Library/Application Support/Adobe/Common/(Mac)を開く- キャッシュフォルダー内のファイルをすべて削除
これで、Photoshop、Premiere Pro、After Effectsなどすべてのアプリのキャッシュが削除されます。
Q8. キャッシュ削除後にエラーが出ました。
A. 以下の対処を試してください。
基本的な対処
- パソコンを再起動
- Adobeアプリを再起動
- Adobe Creative Cloudデスクトップアプリから修復
それでも解決しない場合
- アプリを再インストール
- 環境設定ファイルをリセット
- Adobeサポートに問い合わせ
Q9. プロジェクトファイルとキャッシュファイルの違いは?
A. まったく別のものです。
プロジェクトファイル
- 編集内容や設定を保存したファイル
- .psd、.ai、.prproj、.aep など
- 削除すると作業がなくなる
- バックアップ必須
キャッシュファイル
- 一時的なプレビューや履歴データ
- .cfa、.pek、.ims など
- 削除しても作業は失われない
- いつでも再生成可能
絶対に削除してはいけないもの:プロジェクトファイル
削除してよいもの:キャッシュファイル
Q10. ハードディスクの空き容量はどのくらい必要ですか?
A. 最低50GB、推奨100GB以上です。
必要な空き容量(推奨)
- Photoshop:50GB以上
- Premiere Pro:100GB以上
- After Effects:100GB以上
- Illustrator:30GB以上
- 複数アプリ使用:150GB以上
空き容量が少ない場合の対処
- キャッシュを削除
- 完了したプロジェクトを外付けドライブに移動
- 不要なファイルを削除
- ディスククリーンアップを実行
- より大容量のストレージに交換
まとめ
Adobeアプリケーションのキャッシュは、作業効率を向上させるために自動的に作成されますが、溜まりすぎると逆にパフォーマンスを低下させます。
キャッシュクリアの重要ポイント
- 定期的なキャッシュ削除でアプリを快適に保つ
- アプリ内削除が基本、手動削除は必要な時のみ
- 削除前に必ず作業ファイルを保存
- 自動削除設定を活用する
- 仮想記憶ディスク/メディアキャッシュの保存場所を最適化
アプリ別の削除方法まとめ
- Photoshop:「編集」→「メモリをクリア」→「すべて」
- Premiere Pro:「環境設定」→「メディアキャッシュ」→「削除」
- After Effects:「環境設定」→「メディア&ディスクキャッシュ」→「ディスクキャッシュを空にする」
- Illustrator / InDesign:起動時に環境設定をリセット
- Acrobat:「環境設定」→「文書」→「キャッシュを削除」
定期メンテナンスの推奨
- 週1回:Premiere Pro / After Effectsのキャッシュ削除
- 月1回:Photoshopのキャッシュ削除
- 2〜3ヶ月に1回:Illustrator / InDesignのキャッシュ削除
- プロジェクト完了時:関連するすべてのキャッシュを削除
これらのメンテナンスを習慣化することで、Adobeアプリケーションを常に快適に使用できます。
ディスク容量の節約にもなり、作業効率が大幅に向上します。


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