恵比寿とは?七福神で唯一の日本生まれの神様をわかりやすく解説

神話・歴史・文化

「えびす顔」という言葉、聞いたことがありますよね。
にこにこと満面の笑みを浮かべた、あの幸せそうな表情のこと。

実はこの言葉の由来になった神様こそが、今回紹介する「恵比寿」なんです。
七福神の一柱でありながら、その正体には意外な謎が隠されています。

この記事では、恵比寿の起源から現代への影響まで、わかりやすく解説していきます。


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恵比寿ってどんな神様?

恵比寿は、商売繁盛や大漁をもたらす福の神として親しまれている神様です。
「えべっさん」「えびっさん」「おべっさん」など、地域によってさまざまな愛称で呼ばれています。

七福神のメンバーとして有名ですが、実は七福神の中で唯一、日本生まれの神様なんです。
他の六柱はインドや中国から伝わった神々ですが、恵比寿だけは純粋な日本の神様として信仰されてきました。

表記も「恵比寿」「恵比須」「蛭子」「夷」「戎」など、驚くほど多様です。
これだけバリエーションがあるのは、それだけ広く深く日本人に愛されてきた証拠かもしれません。


恵比寿の正体は誰?2つの有力説

恵比寿の正体については、大きく分けて2つの説があります。
どちらも日本神話に登場する神様ですが、全く違うキャラクターなんです。

説1:蛭子命(ヒルコ)

最初の説は、イザナギとイザナミの子「蛭子命(ひるこのみこと)」だというもの。

『古事記』によると、ヒルコは日本の国を作った神々の最初の子として生まれました。
ところが体が不自由だったため、葦の船に乗せられて海に流されてしまいます。

その後、神話の中でヒルコの行方は一切語られていません。
しかし、伝説では摂津国(現在の兵庫県あたり)に流れ着き、漁師に拾われて大切に育てられたとされています。

海から来た子が福をもたらす——。
この「寄り神信仰」と結びつき、やがてヒルコは恵比寿として祀られるようになったのです。

親に捨てられた不遇の神が、福の神として復活する。
なんだかドラマチックな逆転劇ですよね。

説2:事代主神(コトシロヌシ)

もう一つの説は、大国主命の息子「事代主神(ことしろぬしのかみ)」だというもの。

事代主神が登場するのは、有名な「国譲り神話」の場面です。
天照大御神が地上の国を譲るよう求めてきたとき、父の大国主命は判断を息子に委ねました。

そのとき事代主神は何をしていたかというと——美保の岬で魚釣りをしていたんです。
使者がやってきて国譲りを迫ると、「天照大御神にお譲りください」とすぐに承諾。

船を踏み傾け、手を打って青い柴垣を作り、その中に身を隠してしまいました。
この「天逆手(あめのむかえで)」を打つ行為が、商談成立時の「手締め」の起源だともいわれています。

釣り好きの神様が、鯛を抱えた恵比寿のイメージと重なったわけですね。


恵比寿の姿と特徴

恵比寿といえば、あのにこやかな姿がすぐに思い浮かびます。

基本的な姿
狩衣(かりぎぬ)に指貫(さしぬき)という衣装を身にまとい、風折烏帽子(かざおりえぼし)をかぶっています。
右手には釣竿、左手には大きな鯛を抱えているのが定番スタイル。

鯛を持っているのは、「めでたい」に通じる縁起物だからです。
釣竿は漁業の神としての象徴であり、「福を釣り上げる」という意味も込められています。

えびす顔
恵比寿の最大の特徴は、なんといってもあの笑顔。
目を細め、口角を上げた満面の笑みは「えびす顔」として、幸せそうな表情の代名詞になりました。

足が不自由?
実は恵比寿は足が不自由だともいわれています。
ヒルコ説では生まれつき、事代主説ではサメに足を噛まれたからと伝えられています。

そのため、恵比寿像は座った姿で描かれることが多いんです。
でも、そんなハンデを感じさせない明るい笑顔こそが、恵比寿の魅力なのかもしれません。


恵比寿のご利益

恵比寿は幅広いご利益をもたらす神様として信仰されています。

大漁満足・漁業の神
もともと漁師たちの間で「海の神」として祀られていたのが始まり。
大漁をもたらし、航海の安全を守ってくれます。

商売繁盛
漁業から商業へと信仰が広がり、商売繁盛の神様としても人気に。
特に関西では「えべっさん」として、商人たちから絶大な支持を集めています。

五穀豊穣
農村では「田の神」としても祀られました。
1月20日に山から現れ、10月20日に山に帰るとされ、稲の成長を見守る神として信仰されたんです。

福徳円満
七福神の一柱として、あらゆる福を授けてくれる存在。
家内安全や開運招福など、幅広いご利益があるとされています。


恵比寿を祀る主な神社

恵比寿を祀る神社は全国に約3,500社あるといわれています。
中でも有名な神社を紹介しましょう。

西宮神社(兵庫県西宮市)

蛭子系恵比寿神社の総本社です。
主祭神は「蛭児大神(えびすのおおかみ)」。

毎年1月10日の「十日えびす」では100万人以上の参拝者で賑わいます。
開門と同時に本殿目指して走る「福男選び」はニュースでもおなじみですよね。

美保神社(島根県松江市)

事代主系恵比寿神社の総本社です。
国譲り神話の舞台となった美保関に鎮座しています。

出雲大社と合わせて参拝すると「大黒様と恵比寿様の両参り」となり、ご利益が高まるともいわれています。

今宮戎神社(大阪市浪速区)

「ミナミのえべっさん」として親しまれる神社。
十日えびすの3日間で約100万人が訪れ、「商売繁盛で笹持ってこい!」の掛け声が響き渡ります。


えびす講と十日えびす

恵比寿を祀る代表的な行事が「えびす講」と「十日えびす」です。

えびす講

主に10月20日(または11月20日)と1月20日に行われる行事。
旧暦10月は「神無月」で、日本中の神様が出雲に集まるとされています。

でも恵比寿は耳が遠いので、出雲への呼び出しが聞こえないんです。
だから「留守神」として、この時期も人々の願いを聞いてくれる——というわけ。

1年の無事を感謝し、来年の豊作や商売繁盛を祈願します。

十日えびす

毎年1月9日〜11日に行われる、えびす様の大祭。
9日が「宵戎(よいえびす)」、10日が「本戎(ほんえびす)」、11日が「残り福(のこりふく)」と呼ばれます。

関西では正月以上に盛り上がる地域もあるほど。
「福笹」と呼ばれる縁起物を授かり、1年の商売繁盛を祈願するのが習わしです。


恵比寿と大黒様の関係

恵比寿といえば、大黒様とセットで祀られることが多いですよね。

実はこの二柱には、親子関係があるとされています。

事代主神が恵比寿、その父・大国主命が大黒天——。
大国主命の「大国(おおくに)」が「大黒(だいこく)」と読めることから、同一視されるようになりました。

「えびす・だいこく福の神」という言葉もあるように、この二柱は最強の福の神コンビ。
商家や飲食店では、今でも並べて祀られているのをよく見かけます。


現代に生きる恵比寿

恵比寿信仰は、現代の日本にもしっかり根付いています。

エビスビール
サッポロビールの「ヱビスビール」は、恵比寿の名前とイメージをそのまま使った商品。
あの笑顔のラベルでおなじみですよね。

東京・恵比寿の地名
JR山手線の恵比寿駅は、1901年にビールの積み下ろしのために作られた駅が起源。
今では街全体が「恵比寿」と呼ばれ、オシャレなエリアとして人気です。

ふぐ料理店のシンボル
ふぐ料理店では恵比寿を看板に掲げることが多いんです。
漁業の神様であることに加え、クラゲとも関係が深いことから(ヒルコが骨のない体だったため)、ふぐとの縁が生まれました。

アニメ・ゲーム
アニメ『ノラガミ』では、七福神の一柱としてハンサムな青年の姿で登場。
現代的にアレンジされた恵比寿も、若い世代に親しまれています。


まとめ

恵比寿は、七福神で唯一日本生まれの福の神です。

ポイントをおさらい

  • 正体は「蛭子命(ヒルコ)」または「事代主神(コトシロヌシ)」の2説がある
  • 右手に釣竿、左手に鯛を持った笑顔の姿が特徴
  • 大漁、商売繁盛、五穀豊穣など幅広いご利益がある
  • 西宮神社(蛭子系)と美保神社(事代主系)が総本社
  • 十日えびすやえびす講で今も盛大に祀られている
  • 大黒様とは親子関係とされ、セットで祀られることが多い

海に流された不遇の神が、福の神として復活する——。
恵比寿の物語は、困難を乗り越えた先に幸せがあることを教えてくれているのかもしれませんね。


恵比寿 基本情報一覧

項目内容
読み方えびす
別名・愛称えべっさん、えびっさん、おべっさん、蛭子、夷、戎
正体(有力説)蛭子命(ヒルコ)または事代主神(コトシロヌシ)
所属七福神(唯一の日本由来)
姿狩衣・指貫・風折烏帽子姿、右手に釣竿、左手に鯛
主なご利益大漁満足、商売繁盛、航海安全、五穀豊穣、福徳円満
総本社(蛭子系)西宮神社(兵庫県西宮市)
総本社(事代主系)美保神社(島根県松江市)
主な祭り十日えびす(1月9日〜11日)、えびす講(10月20日・1月20日など)
関連する神大黒天(大国主命)=親子関係
現代の影響ヱビスビール、東京・恵比寿の地名、ふぐ料理店のシンボルなど

参考情報

本記事は以下の情報源を参考に作成しました。

  • 西宮神社 公式サイト
  • 美保神社 公式サイト
  • Wikipedia「えびす」「七福神」「ヒルコ」「事代主」
  • 各神社・寺院の公式情報

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