メルカリやヤフオクなどのフリマアプリで本を探していると、「裁断済み」という表記の商品を見かけることがあります。
通常の中古本よりも安く出品されていることが多いですが、この「裁断済み」とは一体どういう状態の本なのでしょうか。
裁断済みの本とは、電子書籍化(自炊)を目的として、背表紙部分を切り落としてページをバラバラにした状態の本を指します。
この記事では、裁断済みの本の基本知識、なぜ売られているのか、購入時の注意点、そして誤って購入した場合の対処法まで詳しく解説します。
裁断済みとは
裁断済みの本とは、本の綴じ部分(背表紙)を裁断機などで切り落とし、ページが1枚1枚バラバラになった状態の本を指します。
通常、書店で販売されている本は、すべてのページが片側で綴じられた状態で販売されています。
しかし、裁断済みの本は、この綴じられている側(背表紙部分)が断ち切られています。
そのため、ページはバラバラになり、通常の本のようにページをめくって読むことはできません。
裁断の目的
本を裁断する主な目的は、「自炊」と呼ばれる電子書籍化です。
本をスキャナーで読み取ってデジタルデータ(PDFなど)に変換するためには、ページがバラバラになっている必要があります。
綴じられたままの本では、スキャナーの自動給紙機能が使えず、効率的にスキャンできないためです。
自炊とは
「自炊」とは、自分が所有する書籍・漫画・雑誌などをスキャナーで読み取り、デジタルデータに変換する行為を指す俗称です。
この言葉は、「自分で炊く(自分で作る)」という意味から転じて、「自分で電子書籍を作る」という意味で使われるようになりました。
家で食事を作る「自炊」とは異なる意味ですので、注意が必要です。
自炊の流れ
自炊の基本的な流れは、以下の通りです。
ステップ1: 本の裁断
裁断機を使って、本の背表紙部分を切り落とします。
これにより、ページが1枚1枚バラバラになります。
ステップ2: スキャン
ドキュメントスキャナーを使って、バラバラになったページを読み取ります。
スキャナーの自動給紙機能を使うことで、大量のページを効率的にスキャンできます。
ステップ3: PDF化
スキャンしたデータをPDFファイルなどのデジタルフォーマットに変換します。
ステップ4: 保存
PDFファイルをパソコン、タブレット、スマートフォンなどに保存します。
ステップ5: 読書
電子書籍リーダーアプリなどを使って、デジタル化した本を読みます。
自炊に必要な機器
自炊を行うには、以下の機器が必要です。
裁断機:
本の背表紙を切り落とすための専用の裁断機です。
価格は1万円〜数万円程度です。
代表的な製品として、DURODEX自炊裁断機などがあります。
ドキュメントスキャナー:
ページを読み取るためのスキャナーです。
自動給紙機能(ADF: Automatic Document Feeder)付きのスキャナーが必要です。
価格は4万円〜5万円程度です。
代表的な製品として、富士通のScanSnapシリーズがあります。
パソコン・タブレット・スマートフォン:
スキャンしたデータを保存し、閲覧するためのデバイスです。
なぜメルカリで裁断済みの本が売られているのか
メルカリやヤフオクなどのフリマアプリで裁断済みの本が売られている理由は、以下の通りです。
理由1: 自炊後の本が不要になる
自炊を行った人にとって、スキャン後の紙の本は不要になります。
デジタルデータがあれば、紙の本がなくても読書できるためです。
そのため、自炊後の裁断済みの本をメルカリなどで出品し、少しでもお金を回収しようとする人が多く存在します。
理由2: 自炊をする人への需要がある
自炊をしたいが、裁断作業が面倒だと感じる人がいます。
裁断済みの本を購入すれば、裁断の手間を省くことができ、すぐにスキャン作業に取り掛かれます。
また、裁断機を持っていない人にとっても、裁断済みの本は便利です。
理由3: コストを抑えられる
裁断済みの本は、通常の中古本よりも安く販売されることが一般的です。
自炊をする人にとっては、安く本を入手できるメリットがあります。
また、出品者側も、スキャン後の本を売ることで、実質的な本の購入コストを下げることができます。
例:
- 新品の本を2,000円で購入
- 自炊後、裁断済みの本を1,000円で販売
- 実質的な本の購入コストは1,000円
このように、出品者と購入者の双方にメリットがあるため、裁断済みの本の売買が成立しています。
自炊のメリット
自炊には、以下のようなメリットがあります。
メリット1: 大量の本をコンパクトに保管できる
紙の本は、場所を取ります。
特に、大量の本を所有している場合、本棚のスペースが不足することがあります。
自炊を行えば、数千冊の本をスマートフォンやタブレット1台に保存できます。
これにより、本棚のスペースを大幅に節約できます。
メリット2: どこでも持ち運べる
紙の本を外出先に持ち運ぶのは、重くてかさばります。
特に、分厚い専門書や複数の本を持ち運ぶ場合、カバンが重くなります。
自炊を行えば、スマートフォンやタブレットだけで、何冊もの本を持ち運べます。
メリット3: 本が劣化しない
紙の本は、時間の経過とともに劣化します。
日焼けや湿気により、ページが黄ばんだり、破れたりすることがあります。
デジタルデータであれば、劣化の心配がありません。
メリット4: 検索ができる
OCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)機能を使えば、スキャンした本の中から特定のキーワードを検索できます。
これにより、必要な情報を素早く見つけることができます。
メリット5: 拡大して読める
スマートフォンやタブレットで読む場合、文字を拡大して読むことができます。
視力が弱い人や、細かい文字が読みづらい人にとって便利です。
メリット6: 中古本でも問題ない
自炊は、中古本でも行えます。
そのため、新品を買うよりも安く本を入手し、自炊することで、コストを抑えられます。
自炊のデメリット
自炊には、以下のようなデメリットもあります。
デメリット1: 時間と手間がかかる
本を裁断し、スキャンし、PDFに変換する作業には、時間と手間がかかります。
特に、ページ数が多い本や複数の本を自炊する場合、かなりの時間を要します。
デメリット2: 初期コストが高い
裁断機とスキャナーを購入するには、合計で5万円〜6万円程度の初期投資が必要です。
少数の本しか自炊しない場合、コストに見合わない可能性があります。
デメリット3: 消耗品の交換が必要
裁断機の刃は、使用回数が増えるにつれて摩耗します。
定期的に刃を交換する必要があり、消耗品費がかかります。
デメリット4: 紙の本が失われる
裁断を行うと、元の本の状態には戻せません。
本のコレクションとして保管したい場合や、紙の本特有の質感を楽しみたい場合には、自炊は向いていません。
デメリット5: 目が疲れる
スマートフォンやタブレットの画面を長時間見続けると、目が疲れます。
紙の本よりも目への負担が大きい場合があります。
裁断済みの本を購入する際の注意点
メルカリなどで裁断済みの本を購入する際には、以下の点に注意が必要です。
注意点1: 商品説明をよく読む
裁断済みの本は、通常の本とは異なり、ページがバラバラになっています。
そのまま読むことはできません。
購入前に、商品説明欄に「裁断済み」「自炊用」「電子書籍化用」「バラバラになっています」などの表記があるかを必ず確認しましょう。
注意点2: 商品写真を確認する
多くの出品者は、商品写真に「裁断済み」とテキストを入れています。
写真を見て、裁断済みであることが明確に分かるようにしている出品者がほとんどです。
写真を確認し、裁断済みの本であることを理解した上で購入しましょう。
注意点3: 不明な点は質問する
商品説明や写真を見ても、裁断済みかどうかが分からない場合は、出品者に質問しましょう。
購入後にトラブルになることを避けるため、事前の確認が重要です。
注意点4: 価格が安すぎる場合は注意
通常の中古本よりも大幅に安い場合、裁断済みの可能性があります。
価格だけで判断せず、必ず商品説明と写真を確認しましょう。
誤って裁断済みの本を購入してしまった場合の対処法
「裁断済み」と知らずに本を購入してしまった場合、以下の対処法があります。
対処法1: 返品を試みる
商品説明や写真に「裁断済み」と明記されていなかった場合、出品者に非があります。
この場合、返品を要求することができます。
手順:
- 商品説明と写真を再確認し、「裁断済み」と明記されていないことを確認する
- 出品者にメッセージを送り、返品を希望する旨を伝える
- 出品者が応じない場合、メルカリなどのプラットフォームのカスタマーサポートに相談する
- 証拠として、商品の写真を保存しておく
ただし、商品説明に「裁断済み」と明記されていた場合、返品は難しい可能性があります。
対処法2: 自分で自炊する
裁断済みの本を入手してしまった場合、自分で自炊してデジタル化することも一つの方法です。
スキャナーを持っていない場合、以下の方法があります。
コンビニのマルチコピー機を利用:
コンビニのマルチコピー機にはスキャン機能があります。
ページ数が少ない場合(10枚程度)であれば、コンビニでスキャンすることも可能です。
スキャナーをレンタル:
スキャナーのレンタルサービスを利用することもできます。
スキャン代行サービスを利用:
裁断済みの本をスキャン代行業者に送り、スキャンしてもらうサービスもあります。
対処法3: 再販売する
返品が難しく、自炊もしない場合は、再度メルカリなどで「裁断済み」として出品することもできます。
同じくらいの価格で売れば、送料と手数料程度の損失で済む場合があります。
対処法4: 復元する
裁断済みの本を、元の本のような形に復元することも可能です。
復元方法:
- 製本テープや製本カバーを用意する
- バラバラになったページを順番に揃える
- クランプなどでページを固定する
- 背表紙部分に製本テープや接着剤を塗る
- 製本カバーを取り付ける
製本に使える製品:
- とじ太くん(製本カバー)
- 製本テープ
- ホットメルト接着剤
復元した本は、元の本と同じようにページをめくって読むことができます。
ただし、背表紙部分が分厚くなり、見た目が変わる点に注意が必要です。
裁断済みの本の売買は違法ではないか
裁断済みの本の売買が違法ではないかという疑問を持つ人もいますが、結論から言うと、違法ではありません。
著作権法上の扱い
ITコンサルタントで弁理士の栗原潔氏によると、以下の理由から裁断済みの本の売買は合法とされています。
自炊自体は合法:
著作権法では、個人が自分で購入した本を自分で電子化することは、私的複製として認められています。
紙の本の処分は自由:
本を電子化した後、元の紙の本をどう処分するかは、所有者の自由です。
裁断しようが、バラバラにしようが、著作権者はコントロールできません。
違法となるケース:
- 電子化したデータを第三者に譲渡・販売する
- 電子化したデータをインターネット上にアップロードする
- 自炊代行業者に本を送って電子化してもらい、そのデータを受け取る
これらの行為は、著作権法違反となります。
裁断済みの本を専門に扱う業者
通常の古本屋では、裁断済みの本は買い取ってもらえません。
ゴミとして扱われることがほとんどです。
しかし、裁断済みの本を専門に買い取る業者も存在します。
裁断本買取センター:
裁断済みの本を買い取ってくれる専門業者です。
特に、医学書や法学書などの専門書は、高く買い取ってもらえる場合があります。
英語圏での裁断済み本
英語圏でも、本を裁断してスキャンする行為は行われています。
英語での呼称
Destructive Book Scanning:
本を破壊してスキャンする方法を指します。
背表紙を切り落とし、ページをバラバラにしてスキャンします。
Non-Destructive Book Scanning:
本を破壊せずにスキャンする方法を指します。
V字型のクレードル(書見台)などを使い、本を開いた状態でスキャンします。
英語圏での裁断方法
英語圏でも、以下のような方法で本を裁断しています。
Office DepotやKinko’s(現FedEx Office):
オフィス用品店や印刷店で、本の背表紙を切断してもらうサービスがあります。
1回のカットで25〜75セント程度の料金がかかります。
自分で裁断機を購入:
ギロチン式の裁断機を購入し、自分で裁断する方法もあります。
テーブルソーを使用:
一部の人は、テーブルソー(卓上丸鋸)を使って背表紙を切り落とす方法を取っています。
まとめ
裁断済みの本とは、電子書籍化(自炊)を目的として、背表紙部分を切り落としてページをバラバラにした状態の本を指します。
裁断済みの本の特徴:
- 背表紙が切り落とされている
- ページが1枚1枚バラバラになっている
- そのまま読むことはできない
メルカリで売られている理由:
- 自炊後の本が不要になる
- 自炊をする人への需要がある
- 出品者・購入者双方がコストを抑えられる
自炊のメリット:
- 大量の本をコンパクトに保管できる
- どこでも持ち運べる
- 本が劣化しない
- 検索ができる
- 拡大して読める
- 中古本でも問題ない
自炊のデメリット:
- 時間と手間がかかる
- 初期コストが高い(5万円〜6万円程度)
- 消耗品の交換が必要
- 紙の本が失われる
- 目が疲れる
購入時の注意点:
- 商品説明をよく読む
- 商品写真を確認する
- 不明な点は質問する
- 価格が安すぎる場合は注意
誤って購入した場合の対処法:
- 返品を試みる
- 自分で自炊する
- 再販売する
- 復元する(製本テープなどを使用)
法的問題:
- 裁断済みの本の売買は合法
- 個人が自分で購入した本を自炊することは私的複製として認められている
- 電子化したデータを第三者に譲渡・販売することは違法
裁断済みの本は、自炊をする人にとっては便利な選択肢ですが、通常の本として読みたい人には向いていません。
メルカリなどで本を購入する際には、商品説明と写真をしっかり確認し、裁断済みでないことを確認してから購入しましょう。
もし誤って裁断済みの本を購入してしまった場合でも、返品や復元などの対処法があります。
慌てずに、適切な対応を取ることが重要です。


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