万有引力の法則って何?
リンゴが木から落ちるのも、月が地球の周りを回っているのも、実は同じ力が働いているって知っていますか?
それが「万有引力の法則」です。
万有引力とは、質量を持つすべての物体が互いに引き合う力のこと。
地球とリンゴ、地球と月、太陽と惑星、さらには宇宙の果てにある星同士まで。
この宇宙に存在するあらゆる物体が、互いに引き寄せ合っているんですね。
この法則を発見したのは、17世紀イギリスの科学者アイザック・ニュートンです。
1687年に出版された『プリンキピア』という本の中で、ニュートンは地上の物体と天体の運動を同じ数式で説明できることを示しました。
「地球上の法則」と「宇宙の法則」が別々だと考えられていた時代に、これはまさに革命的な発見だったんです。
万有引力の法則の公式
万有引力の法則は、次の式で表されます。
F = G × (m₁ × m₂) / r²
- F:2つの物体の間に働く引力の大きさ
- m₁、m₂:それぞれの物体の質量
- r:2つの物体の中心間の距離
- G:万有引力定数(約6.674×10⁻¹¹ m³kg⁻¹s⁻²)
この式が意味するのは、こういうことです。
質量が大きいほど引力は強くなる
重いものほど、引き寄せる力が大きい。
距離が離れるほど引力は弱くなる
しかも「距離の2乗」に反比例するので、距離が2倍になると引力は4分の1に、3倍になると9分の1になります。
つまり、近くにある重いものほど、強く引き寄せられるというわけです。
ニュートンはどうやって発見した?
万有引力の法則が生まれたのは、1665年から1666年にかけてのこと。
当時、ヨーロッパではペストが大流行していました。
ケンブリッジ大学も閉鎖され、若き学生だったニュートンは故郷のウールスソープに戻ります。
この「やむを得ない休暇」の間に、彼は驚くべき発見をいくつもしていくのです。
その一つが、万有引力の法則でした。
リンゴの逸話は本当?
「リンゴが木から落ちるのを見て、ニュートンは万有引力を発見した」
この有名な逸話、実は完全な作り話ではありません。
フランスの思想家ヴォルテールが1734年に出版した『哲学書簡』で紹介したのが始まりですが、ニュートン自身も晩年の1726年に知人に語った記録が残っているんです。
ただし、よくある誤解があります。
ニュートンは「リンゴが落ちる理由」を発見したわけではありません。
当時の人々は、物が下に落ちることはすでに知っていましたからね。
ニュートンが気づいたのは、こういうことです。
「リンゴを地面に引き寄せる力と、月を地球の周りに留めておく力は、同じものなんじゃないか?」
月は落ちてこない——そう思われていました。
でもニュートンは考えます。
「いや、月は落ち続けているんだ。ただ、ものすごい速さで横に進んでいるから、地球に衝突せずに回り続けている」
この発想の転換が、すべてを変えました。
ケプラーの法則との関係
ニュートンがゼロから万有引力の法則を思いついたわけではありません。
彼の前に、ドイツの天文学者ヨハネス・ケプラーという人物がいました。
ケプラーは観測データから、惑星の動きに関する3つの法則を見つけ出していたんです。
でも、それは「どう動くか」を示すだけで、「なぜそう動くのか」は説明できませんでした。
ニュートンは、ケプラーの法則を数学的に分析しました。
そして気づいたんです。
「この動きは、距離の2乗に反比例する力で説明できる!」
つまり、ケプラーが発見した惑星の動きは、万有引力の法則から必然的に導かれるものだったのです。
ニュートンは微積分法という新しい数学の道具を生み出しながら、これを証明していきました。
万有引力は身近なところにも
万有引力は、宇宙の話だけではありません。
私たちの日常にも、実はたくさん関係しているんです。
地球上の重力
私たちが地面に立っていられるのは、地球の万有引力のおかげ。
「重力」として感じている力は、まさに万有引力そのものです。
潮の満ち引き
海の潮が満ちたり引いたりするのも、月と太陽の万有引力が原因。
月が地球に近い側の海は引き寄せられ、反対側の海は地球が引っ張られることで膨らみます。
人工衛星の軌道
気象衛星やGPS衛星が地球の周りを回っていられるのも、万有引力のおかげ。
ニュートンの法則を使って、正確な軌道計算が行われています。
惑星探査機の航路
火星探査機や小惑星探査機「はやぶさ」も、万有引力の法則に基づいて航路が設計されています。
各惑星の重力を利用して加速する「スイングバイ」という技術も、この法則があってこそ。
面白いことに、万有引力は「私」と「あなた」の間にも働いています。
ただし、人間くらいの質量だとあまりにも力が小さすぎて、全く感じられないだけなんです。
アインシュタインの登場
ニュートンの万有引力の法則は、200年以上にわたって物理学の中心にありました。
でも、20世紀になって新しい理論が登場します。
1916年、ドイツ出身の物理学者アルベルト・アインシュタインが「一般相対性理論」を発表したんです。
アインシュタインの理論では、重力は「力」ではなく「時空の歪み」として説明されます。
質量を持つ物体が周囲の時空を曲げ、その曲がった時空に沿って他の物体が動く——そんなイメージです。
一般相対性理論は、ニュートンの法則では説明できなかったいくつかの現象を正確に予測しました。
例えば、水星の軌道のズレや、光が重力で曲がる現象などです。
じゃあ、ニュートンの法則は間違っていたの?
そんなことはありません。
日常的な速度や重力の範囲では、ニュートンの法則で十分に正確なんです。
人工衛星の軌道計算やロケットの航路設計は、今でもニュートンの法則を使って行われています。
一般相対性理論が必要になるのは、光速に近い速度や、ブラックホールのような極端に強い重力場を扱うときだけ。
普通に生活する分には、ニュートンの法則で何の問題もないんですね。
まとめ
最後に、万有引力の法則のポイントをおさらいしておきましょう。
- 質量を持つすべての物体は、互いに引き合っている
- 引力の大きさは、質量の積に比例し、距離の2乗に反比例する
- ニュートンが1687年に『プリンキピア』で発表
- 地上の物体と天体の運動を、同じ法則で統一的に説明した
- 現代でも人工衛星や惑星探査機の設計に使われている
- 極端な状況では一般相対性理論が必要だが、通常はニュートンの法則で十分
300年以上前に発見された法則が、今も宇宙開発の最前線で活躍している。
それだけニュートンの発見が画期的だったということですね。
次にリンゴを見かけたら、ちょっと立ち止まって考えてみてください。
「このリンゴも、月も、宇宙の果ての星も、同じ法則に従っているんだな」って。
そう思うと、世界の見え方が少し変わってくるかもしれませんよ。


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