「因達羅(いんだら)」という名前を聞いたことはありますか?
薬師如来を守る十二神将の一柱で、巳年生まれの人の守護神として知られています。
実はこの因達羅、インドの最強神「インドラ」と深い関係があるんです。
この記事では、因達羅の正体や由来、ご利益についてわかりやすく解説します。
因達羅の基本情報
因達羅は、仏教における十二神将の一柱です。
薬師如来の眷属(けんぞく:従者)として、仏と信者を守護する役割を担っています。
読み方は「いんだら」。
サンスクリット語では「インドラ(Indra)」と呼ばれ、これを漢字で音写したのが「因達羅」です。
十二神将は、それぞれが7000の眷属夜叉を率いているとされます。
12体の神将を合わせると総勢8万4000——これは人間の持つ煩悩の数と同じなんですね。
因達羅の名前の由来
因達羅の名前の元になった「インドラ」は、古代インドで崇められた雷神・軍神です。
『リグ・ヴェーダ』という古代インドの聖典では、全1200編の讃歌のうち約4分の1がインドラに捧げられているほど。
「神々の帝王」と呼ばれ、最強の神として信仰されていました。
このインドラが仏教に取り入れられたのが「帝釈天」です。
つまり因達羅は、あの帝釈天と同じルーツを持っているんですね。
ただし、十二神将の因達羅と、天部の帝釈天は別の存在として扱われています。
帝釈天は梵天とペアで仏教の最高護法神、因達羅は薬師如来の守護神という違いがあります。
因達羅の姿と特徴
因達羅は、他の十二神将と同じく甲冑を着けた武将の姿で表されます。
主な特徴をまとめると以下のとおりです。
- 姿:鎧兜を身につけた武人
- 持物:三叉戟(さんさげき)または戟(げき)
- 表情:憤怒の相(仏敵や悪に対する怒りを表現)
- 十二支:巳(へび)
平安時代以降の仏像では、頭上に蛇の像をつけた因達羅像が多く見られます。
これは十二神将と十二支を結びつけた信仰によるものです。
興味深いのは、十二神将像の持物やポーズには決まったルールがないこと。
同じ因達羅でも、寺院によって姿が異なる場合があります。
因達羅のご利益と本地仏
因達羅には本地仏(化身前の本来の姿)があるとされています。
それが地蔵菩薩です。
また、薬師如来の十二の大願のうち、第六誓願「諸根具足」を司るとも言われています。
これは「身体の障害を取り除く」という願いのこと。
因達羅に祈ることで期待できるご利益は以下のとおりです。
- 身体の健康・病気平癒
- 災難除去
- 巳年生まれの人の守護
因達羅と十二支の対応
十二神将と十二支の対応については、実は諸説あります。
一般的には因達羅は「巳(へび)」に対応するとされます。
奈良・興福寺の十二神将像では、因達羅大将像の頭上に蛇がつけられています。
ただし、文献や寺院によっては「午」と対応させる説もあります。
これは、十二神将を十二支に当てはめる順番に複数のパターンがあるためです。
いずれにせよ、因達羅が十二支の守護神として広く信仰されてきたことに変わりはありません。
因達羅が見られる寺院
日本で因達羅像を拝観できる主な寺院を紹介します。
新薬師寺(奈良県奈良市)
日本最古・最大の十二神将像として名高い塑像(土で作られた彫刻)があります。
奈良時代(8世紀)の作品で、12体中11体が国宝に指定されています。
塑像は木の骨組みに縄を巻き、藁を混ぜた粘土で形を作ったもの。
眼球にはガラスが使われており、天平時代の高い技術が感じられます。
興福寺 東金堂(奈良県奈良市)
鎌倉時代に制作された木造の十二神将像があります。
各像の頭上に干支の動物がつけられており、因達羅像には蛇が見られます。
建永2年(1207年)に彩色されたことが銘文から判明しています。
その他の寺院
- 広隆寺(京都):平安後期の木像、国宝
- 東寺(京都):台座部分に十二神将を表す珍しい様式
- 室生寺(奈良):頭に動物を乗せた6体の十二神将像
因達羅の一覧情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 読み方 | いんだら(インダラ) |
| サンスクリット名 | インドラ(Indra) |
| 分類 | 十二神将(天部) |
| 所属 | 薬師如来の眷属 |
| 本地仏 | 地蔵菩薩 |
| 十二支 | 巳(へび)※諸説あり |
| 持物 | 三叉戟(三叉槍)、戟 |
| 眷属数 | 7000の夜叉 |
| 関連する誓願 | 薬師如来の第六誓願「諸根具足」 |
| 原典 | 『薬師瑠璃光如来本願功徳経』(薬師経) |
まとめ
この記事では、十二神将の一柱・因達羅について解説しました。
- 因達羅は薬師如来を守護する十二神将の一柱
- 名前の由来はインドの最強神「インドラ」
- 巳年生まれの守護神として信仰されている
- 本地仏は地蔵菩薩
- 身体の健康や病気平癒のご利益がある
新薬師寺や興福寺を訪れた際は、ぜひ因達羅像を探してみてください。
8万4000の大軍団を率いる武将の勇ましい姿が、あなたを迎えてくれるはずです。


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