「お使いの端末は32ビット版のため、このアプリは利用できません」──こんなメッセージを目にしたことはありませんか?
2020年代に入り、多くのアプリが32ビット版Android端末のサポートを終了しています。この記事では、32ビット端末とは何か、どの機種が該当するのか、そして今後どうすればいいのかを詳しく解説します。
32ビット版Android端末とは?

まず、32ビットと64ビットの違いから理解しましょう。
ビット数とは
「ビット」とは、スマートフォンに搭載されているCPU(プロセッサ)が一度に処理できるデータの大きさを示す単位です。
32ビットCPU
一度に32ビット分のデータを処理できます。扱えるメモリ(RAM)の上限は、理論上4GBまでです。
64ビットCPU
一度に64ビット分のデータを処理できます。扱えるメモリの上限は、はるかに大きく(理論上16エクサバイトまで)、実用上は制限がないと言えます。
32ビット端末の特徴
発売時期
32ビット版Android端末は、主に2015年以前に発売された機種です。2014~2015年頃から64ビット端末への移行が始まり、2018年以降に発売された端末は、ほぼすべて64ビットです。
搭載メモリ
32ビット端末のRAMは、最大でも3GB程度です。もし手持ちのスマホのRAMが4GB以上なら、64ビット端末である可能性が非常に高いです。
プロセッサ
主に以下のようなプロセッサが搭載されています。
- Qualcomm Snapdragon 400シリーズ(410、425など)
- ARM Cortex-A7
- ARM Cortex-A53の初期モデル(一部)
- 古いMediaTekプロセッサ
代表的な32ビット端末一覧
ここでは、主要メーカーの32ビット端末を紹介します。
Sony Xperia(ソニー エクスペリア)
32ビット端末
- Xperia Z2(2014年)
- Xperia Z3(2014年)
- Xperia Z3 Compact(2014年)
- Xperia Z4(2015年)
- Xperia Z5シリーズ以前の多くのモデル
XperiaシリーズでZ5以前の機種は、基本的に32ビットと考えて良いでしょう。
Samsung Galaxy(サムスン ギャラクシー)
32ビット端末
- Galaxy S4(2013年)
- Galaxy S5(2014年)
- Galaxy Note 3(2013年)
- Galaxy J3(2016年)
- Galaxy Feel(2017年)
- Galaxy Tab A(初期モデル)
64ビット端末(参考)
- Galaxy S6以降(2015年~)
- Galaxy Note 5以降(2015年~)
LG
32ビット端末
- LG G3(2014年)
- LG style L-03K(2018年)※
- Qua tab PX
- Qua tab PZ
※LG style L-03Kは2018年発売ですが、32ビットOSが搭載されています。
ASUS ZenFone(エイスース ゼンフォン)
32ビット端末
- ZenFone 5(初代、2014年)
- ZenFone 2以前の多くのモデル
64ビット端末(参考)
- ZenFone 2以降(一部モデル)
Motorola
32ビット端末
- Moto G(第1世代、2013年)
- Moto G5(2017年)※
※Moto G5はSnapdragon 430(64ビット対応)を搭載していますが、OSが32ビット版で動作しているため、32ビット端末として扱われます。
Google Nexus
32ビット端末
- Nexus 5(2013年)
- Nexus 6(2014年)
64ビット端末(参考)
- Nexus 5X(2015年)
- Nexus 6P(2015年)
- すべてのGoogle Pixelシリーズ
その他の主要メーカー
SHARP AQUOS
2015年以前のAQUOSシリーズの多くが32ビットです。
富士通 arrows
2015年以前のarrowsシリーズの多くが32ビットです。
OPPO
初期モデル(2015年以前に日本で発売されたもの)は32ビットです。
Xiaomi(シャオミ)
Mi 5(2016年)以前のモデルは32ビット端末が多いです。
自分の端末が32ビットか確認する方法
手持ちの端末が32ビットなのか64ビットなのか、確認する方法をご紹介します。
方法1:発売年とRAMで推測
最も簡単な判別方法です。
発売年による判別
- 2014年以前に発売:ほぼ確実に32ビット
- 2015~2017年:32ビットと64ビットが混在
- 2018年以降:ほぼ確実に64ビット
RAMによる判別
- RAM 2GB以下:32ビットの可能性が高い
- RAM 3GB:どちらの可能性もある
- RAM 4GB以上:ほぼ確実に64ビット
方法2:専用アプリで確認【最も確実】
正確に調べるには、専用アプリを使うのが確実です。
おすすめアプリ1:NTTドコモ「端末仕様確認ツール」
ドコモが提供していますが、他社の端末やSIMフリー端末でも使用できます。
使い方
- Google Playストアから「端末仕様確認ツール」をインストール
- アプリを起動
- CPU情報を確認
表示される情報
- 「ARMv7」や「armeabi-v7a」→ 32ビット
- 「ARMv8」や「arm64-v8a」→ 64ビット
おすすめアプリ2:CPU-Z
シンプルで使いやすいアプリです。
使い方
- Google Playストアから「CPU-Z」をインストール
- アプリを起動
- 「SOC」タブを開く
- 「Architecture」欄を確認
表示される情報
- 「ARMv7」→ 32ビット
- 「ARMv8」または「ARM64」→ 64ビット
おすすめアプリ3:AIDA64
より詳細な情報が確認できるアプリです。
使い方
- Google Playストアから「AIDA64」をインストール
- アプリを起動
- 「CPU」をタップ
- 「Instruction set」欄を確認
表示される情報
- 32ビットの命令セット(ARMv7など)→ 32ビット
- 64ビットの命令セット(ARMv8など)→ 64ビット
方法3:メーカーの公式サイトで確認
確実性を求めるなら、メーカーの公式サイトで製品仕様を確認するのが最も正確です。
製品名や型番で検索し、「プロセッサ」や「CPU」の項目を確認してください。
32ビット端末のサポート終了状況

多くのアプリやサービスが、32ビット端末のサポートを終了しています。
主要アプリのサポート終了時期
Pokémon GO(ポケモンGO)
- 当初:2020年8月にサポート終了予定
- 延期を経て、最終的にサポート終了
パズル&ドラゴンズ(パズドラ)
- 2024年8月30日にサポート終了
LINE:ディズニー ツムツム
- Google Playでの64ビット対応が必須化された2021年8月以降、32ビット端末では新規インストールやアップデートが困難に
アヴァベルライト
- 2023年2月にサポート終了
cluster(メタバースプラットフォーム)
- 2025年6月末をめどにサポート終了予定
Ingress(イングレス)
- 2025年6月にサポート終了予定
Google Playの64ビット対応義務化
Googleは、2019年8月以降、Google Playに新規公開・アップデートされるアプリに対して、64ビット版の提供を義務付けました。
さらに、2021年8月1日以降、64ビット対応端末では、32ビット版のみのアプリは配信されなくなりました。
これにより、32ビット端末では、新しいアプリのインストールや既存アプリのアップデートができなくなる事態が増えています。
32ビット端末を使い続けるリスク
現在も32ビット端末を使っている方は、以下のリスクを理解しておく必要があります。
1. アプリのサポート終了
前述のとおり、多くのアプリが32ビット端末のサポートを終了しています。
今後も、この流れは加速すると予想されます。愛用しているアプリが突然使えなくなる可能性があります。
2. セキュリティアップデートの終了
2015年以前の端末は、メーカーからのセキュリティアップデートが既に終了しているものがほとんどです。
これにより、以下のリスクが高まります。
- ウイルス感染
- 不正アクセス
- データ流出
- フィッシング詐欺
3. OSバージョンが古い
32ビット端末の多くは、Android 6.0以前の古いOSで動作しています。
新しいアプリは、最新のOSを前提に開発されているため、動作保証がありません。
4. パフォーマンスの問題
RAMが2~3GBしかない32ビット端末では、現代のアプリを快適に動かすのは困難です。
動作が遅い、アプリが強制終了する、といった問題が頻発します。
32ビット端末から乗り換える方法
そろそろ新しい端末への買い替えを検討すべきタイミングです。
おすすめの乗り換え先
予算重視なら
- Androidのエントリーモデル(2~3万円台)
- 2~3年前の型落ちミドルレンジモデル(中古)
性能重視なら
- 現行のミドルレンジモデル(5~7万円台)
- フラッグシップモデル(10万円~)
データ移行の手順
ステップ1:データのバックアップ
Googleアカウントを使って、以下をバックアップします。
- 連絡先
- カレンダー
- 写真(Googleフォト)
- アプリデータ(一部)
ステップ2:ゲームアプリの引き継ぎ設定
ポケモンGO、パズドラなど、ゲームアプリごとにデータ引き継ぎ設定を行います。
各アプリの引き継ぎ方法を事前に確認してください。
ステップ3:LINEの引き継ぎ
LINEは、引き継ぎに失敗するとトーク履歴が消えるので、特に注意が必要です。
- メールアドレスとパスワードを登録
- トーク履歴のバックアップ
- 引き継ぎ設定を有効化
ステップ4:新端末でのセットアップ
新しい端末で、Googleアカウントにログインすれば、自動的にバックアップしたデータが復元されます。
ステップ5:個別アプリの復元
ゲームアプリやLINEなど、個別に引き継ぎ作業が必要なアプリを復元します。
よくある質問(FAQ)
Q1: 64ビット対応のCPUを搭載していても、32ビット端末になることはありますか?
A: はい、あります。CPUが64ビットに対応していても、OSが32ビット版の場合、その端末は32ビット端末として扱われます。例えば、Moto G5やLG style L-03Kなどがこれに該当します。重要なのは、ハードウェアではなく、実際に動作しているOSのビット数です。
Q2: 32ビット端末を64ビット化することはできますか?
A: いいえ、できません。OSをアップデートしても、32ビットから64ビットに変更することはできません。64ビット端末に買い替える必要があります。
Q3: RAM 4GBの端末なら、確実に64ビットですか?
A: ほぼ確実に64ビットです。32ビットアーキテクチャは、理論上4GBまでのRAMしか扱えないため、4GB以上のRAMを搭載している端末は64ビットである必要があります。ただし、念のためアプリで確認することをおすすめします。
Q4: 2016年に発売された端末は、32ビットと64ビットのどちらですか?
A: 2016年は、32ビットと64ビットが混在していた時期です。機種によって異なるため、アプリで確認する必要があります。一般的に、ハイエンドモデルは64ビット、エントリーモデルは32ビットの傾向がありました。
Q5: 32ビット端末でも、普通の用途(ブラウジング、SNS、動画視聴)なら問題ないですか?
A: 現時点では、基本的な用途なら使えるかもしれませんが、セキュリティリスクが非常に高いです。また、アプリのサポート終了により、突然使えなくなる可能性があります。早めの買い替えを強くおすすめします。
Q6: 中古で32ビット端末を買うのは避けるべきですか?
A: はい、避けるべきです。2015年以前の中古端末は、ほぼすべて32ビットです。サポート終了やセキュリティリスクを考えると、コストパフォーマンスは非常に悪いです。
Q7: Google Pixelシリーズに32ビット端末はありますか?
A: いいえ、ありません。すべてのGoogle Pixelシリーズ(Pixel、Pixel 2、Pixel 3以降)は64ビット端末です。
Q8: 32ビット端末が使えなくなるのは、いつ頃ですか?
A: 既に多くのアプリでサポートが終了しており、使えないアプリが増え続けています。明確な「使えなくなる日」はありませんが、2025年以降は、ほとんどのアプリが32ビット端末に対応しなくなると予想されます。
Q9: ArrowsやAQUOSの古い機種は、32ビットですか?
A: はい、2015年以前に発売されたArrowsやAQUOSシリーズの多くは32ビット端末です。具体的な機種については、アプリで確認するか、メーカーの公式サイトで仕様を確認してください。
Q10: 32ビット端末で使えなくなった後、データは取り出せますか?
A: アプリが動作しなくなっても、端末自体は動作するため、写真や動画などのファイルは取り出せます。ただし、アプリ内のデータ(ゲームのセーブデータなど)は、そのアプリが起動できなくなると取り出しが困難になります。早めのバックアップが重要です。
まとめ:32ビット端末は早めに買い替えを
32ビット版Android端末は、主に2015年以前に発売された機種で、Xperia Z3、Galaxy S5、Nexus 5などが代表例です。
2020年代に入り、多くのアプリが32ビット端末のサポートを終了しており、今後もこの流れは加速します。
セキュリティリスクも高く、新しいアプリのインストールやアップデートもできなくなっているため、32ビット端末を使い続けるメリットはほとんどありません。
まずは、NTTドコモの「端末仕様確認ツール」やCPU-Zなどのアプリで、手持ちの端末が32ビットかどうかを確認してください。
もし32ビット端末だった場合は、大切なデータをバックアップして、早めに64ビット端末への買い替えを検討しましょう。
予算に応じて、エントリーモデルから最新のフラッグシップモデルまで、幅広い選択肢がありますので、自分に合った端末を見つけてください。
時代の流れとともに、スマートフォンも進化しています。より快適で安全なスマホライフを送るために、今が買い替えのタイミングかもしれませんよ!


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