「SlackのDM(ダイレクトメッセージ)って、上司や管理者に見られてるの?」そんな不安を感じたことはありませんか?
プライベートな会話だと思って送ったメッセージが、もし管理者に筒抜けだとしたら…考えただけでもゾッとしますよね。
この記事では、SlackのDMが管理者に見られる可能性について、プランごとの違いや確認方法まで、すべてを正確に解説します。
結論:基本的にDMは見られないが、条件次第では見られる可能性がある
まず最初に、多くの方が気になっている結論からお伝えします。
通常の状況では、管理者はDMやプライベートチャンネルの内容を見ることはできません。
ただし、特定の条件を満たした場合に限り、管理者がDMを含むすべてのメッセージを閲覧できる仕組みが存在します。
つまり、「絶対に見られない」とは言い切れませんが、「簡単には見られない」というのが正確な答えです。
管理者が「普通に」見られるもの
管理者が通常の管理画面から見られるのは、以下のような情報です。
- パブリックチャンネルのメッセージ
- ワークスペースの統計データ(メンバー数、チャンネル数など)
- メンバーのオンライン状態(アクティブかどうか)
- プライベートチャンネルやDMの「存在」(中身は見られない)
つまり、「誰が誰とDMをしているか」は分かっても、「何を話しているか」までは通常の方法では見られません。
管理者が「特別な手続き」で見られる場合
管理者がDMの内容を見るには、以下のすべての条件をクリアする必要があります。
条件1:有料プラン(Plus以上)を利用している
無料プランやStandardプランでは、基本的にDMの閲覧はできません。
条件2:Slack社に申請して承認を得る
Plusプラン以上でも、管理者が勝手にDMを見ることはできません。Slack社に「コーポレートエクスポート」という機能の利用申請を行い、承認される必要があります。
条件3:正当な理由がある
Slack社は、単なる監視目的での申請は認めません。法的に必要な場合や、重大なコンプライアンス違反の調査など、正当な理由が必要です。
プラン別:管理者が閲覧できる範囲
Slackのプランによって、管理者が閲覧・エクスポートできるデータの範囲が異なります。詳しく見ていきましょう。
無料プラン(Free)
管理者が閲覧できるもの:
- パブリックチャンネルのメッセージ
管理者が閲覧できないもの:
- プライベートチャンネルのメッセージ
- DM(ダイレクトメッセージ)
エクスポート機能:
- パブリックチャンネルのみエクスポート可能
- ファイルへのリンクは含まれるが、ファイル本体は含まれない
まとめ:
無料プランでは、DMやプライベートチャンネルの内容を管理者が見ることはほぼ不可能です。Slack社に申請すれば見られる可能性はありますが、承認されるケースは極めて限定的です。
Proプラン(旧Standardプラン)
管理者が閲覧できるもの:
- パブリックチャンネルのメッセージ
管理者が閲覧できないもの:
- プライベートチャンネルのメッセージ
- DM(ダイレクトメッセージ)
エクスポート機能:
- パブリックチャンネルのみエクスポート可能(無料プランと同様)
- Slack社に申請すれば、限定的な状況でプライベートデータのエクスポートが可能
まとめ:
Proプランでも、通常はDMやプライベートチャンネルは見られません。ただし、無料プランよりは申請が通りやすい可能性があります。
Business+プラン(旧Plusプラン)
管理者が閲覧できるもの:
- パブリックチャンネルのメッセージ
- (Slack社の承認があれば)プライベートチャンネルのメッセージ
- (Slack社の承認があれば)DM
エクスポート機能:
- スタンダードエクスポート:パブリックチャンネルのみ
- コーポレートエクスポート:Slack社の承認を得れば、すべてのメッセージ(DM含む)をエクスポート可能
まとめ:
Business+プランでは、コーポレートエクスポートが承認されれば、管理者はすべてのDMやプライベートチャンネルのメッセージをエクスポートして閲覧できます。ただし、承認には正当な理由が必要です。
Enterprise Gridプラン
管理者が閲覧できるもの:
- パブリックチャンネルのメッセージ
- (承認があれば)プライベートチャンネルのメッセージ
- (承認があれば)DM
エクスポート機能:
- Discovery API:第三者のeDiscoveryツール(電子証拠開示ツール)と連携可能
- より高度なデータエクスポート機能
まとめ:
大企業向けの最上位プランです。コンプライアンスや法的対応のため、より強力なデータ管理機能が提供されています。
「コーポレートエクスポート」が承認される条件
管理者がDMを閲覧するには、Slack社に「コーポレートエクスポート」の利用を申請し、承認される必要があります。
Slack社は、以下のような場合に限り、申請を承認します。
1. ハラスメントや企業秘密の盗難調査
職場でハラスメントの報告を受けた場合や、企業秘密が盗まれた疑いがある場合など、重大な内部調査が必要な場合です。
2. 金融サービス企業の規制対応
金融業界では、法律により一定期間の通信記録保管が義務付けられています。このような規制に対応するための申請は承認されやすいです。
3. 訴訟や捜査への対応
裁判所命令や捜査機関からの要請により、Slackの情報を開示しなければならない場合です。
4. GDPR(EU一般データ保護規則)への対応
元従業員が自分に関する情報の開示を求めた場合など、データ保護規則に基づく対応が必要な場合です。
承認されない例
以下のような理由では、Slack社は申請を承認しません。
- 単なる従業員の監視目的
- 上司の個人的な興味や疑念
- 業績評価のための会話内容チェック
- 具体的な法的根拠のない調査
つまり、「なんとなく部下の会話を見たい」という理由では、絶対に承認されないということです。
自分のワークスペースが監視可能かを確認する方法
「自分のワークスペースで、管理者がDMを見られる状態になっているのか?」を確認する方法があります。
確認手順
手順1:専用URLにアクセスする
以下のURLにアクセスしてください。[yourworkspace]の部分は、あなたのワークスペース名に置き換えます。
https://[yourworkspace].slack.com/account/workspace-settings
例:会社名が「example」なら、https://example.slack.com/account/workspace-settings
手順2:「保存とエクスポート」タブをクリック
表示された画面で、「保存とエクスポート」または「Retention & Exports」というタブをクリックします。
手順3:エクスポート権限を確認
「管理者はどのようなデータにアクセスできますか?」という項目を確認してください。
確認結果の見方
「公開データのエクスポートが可能」と表示されている場合
→ 管理者はパブリックチャンネルのみエクスポート可能です。あなたのDMやプライベートチャンネルは見られません。
「個人データのエクスポートが可能」と表示されている場合
→ 管理者がコーポレートエクスポートの承認を得ています。あなたのDMやプライベートチャンネルも閲覧可能な状態です。
コーポレートエクスポートが有効化された場合の通知
重要な点として、コーポレートエクスポートが有効化されると、ワークスペース全体に通知が届きます。
つまり、「知らないうちに監視されていた」という事態は基本的に起こりません。
削除したメッセージは見られる?
「送ったメッセージを削除すれば、管理者にも見られないのでは?」と考える方もいるかもしれません。
残念ながら、削除したメッセージでも、エクスポート機能を使えば管理者に見られる可能性があります。
エクスポートのタイミングが重要
- エクスポートが実行される前に削除した場合:削除された状態でエクスポートされるため、内容は見られない
- エクスポート後に削除した場合:すでにエクスポートされたデータには残っている
つまり、削除しても完全に安全とは言えません。
編集したメッセージも見られる
また、一度送信したメッセージを後から編集した場合でも、エクスポートデータには編集前の内容が残っていることがあります。
「まずい内容を送ってしまったから、すぐ編集すれば大丈夫」と思っても、実際には記録に残ってしまうんです。
DMを安全に使うための心構え
SlackのDMは、完全にプライベートとは言えません。では、どのような心構えでDMを使えば良いのでしょうか?
基本原則:「上司が読んでも問題ない内容だけ書く」
最も安全な方法は、上司や管理者に読まれても困らない内容だけを書くことです。
「プライベートだから大丈夫」と油断せず、ビジネスツールであることを常に意識しましょう。
業務に関係ない個人的な会話は避ける
仕事と関係のない雑談や、同僚の悪口、会社への不満などは、Slack以外の完全にプライベートなツール(LINEやプライベートメールなど)で行うのが賢明です。
機密情報や個人情報の扱いに注意
顧客の個人情報や、社外秘の機密情報をDMで気軽にやり取りするのは避けましょう。
万が一、情報漏洩やコンプライアンス違反の調査が必要になった場合、DMの内容が調査対象になる可能性があります。
チャンネルでオープンに話せる内容はチャンネルで
Slackは本来、オープンなコミュニケーションを推奨しています。業務に関する会話は、できるだけパブリックチャンネルで共有することで、情報の透明性が高まり、チーム全体の効率も上がります。
企業によるSlack監視の法的側面
「会社が勝手に従業員のメッセージを見るのは違法じゃないの?」と思う方もいるかもしれません。
基本的に企業には監視の権利がある
多くの国や地域では、企業は業務用ツールでの従業員の活動を監視する権利を持っています。
あなたが入社時にサインした雇用契約書や社内規定には、おそらく「業務用のコミュニケーションツールは会社が監視できる」という内容が含まれているはずです。
日本の法律では?
日本でも、業務上の必要性があり、従業員に事前に通知されていれば、企業が業務用ツールを監視することは違法ではありません。
ただし、プライバシーの権利とのバランスが重要であり、過度な監視は問題となる可能性があります。
従業員のプライバシーとのバランス
企業側も、無制限に監視できるわけではありません。監視には正当な理由が必要で、従業員のプライバシーも尊重されるべきです。
Slack社がコーポレートエクスポートの承認を厳格に行っているのも、このバランスを保つためです。
よくある質問(FAQ)
SlackのDMとプライバシーに関して、よく寄せられる質問をまとめました。
Q1: 管理者は、リアルタイムで私のDMを見ていますか?
いいえ。管理者がSlackの管理画面にログインしても、DMの内容をリアルタイムで見ることはできません。DMを見るには、エクスポート機能を使ってデータをダウンロードする必要があります。
Q2: 自分のDMが読まれたかどうか、確認する方法はありますか?
残念ながら、特定のDMが読まれたかどうかを個別に確認する方法はありません。ただし、コーポレートエクスポートが有効化されると、ワークスペース全体に通知が届くので、その通知で「監視可能な状態になった」ことは分かります。
Q3: 退職した後も、過去のDMを会社に見られる可能性はありますか?
はい、あります。退職後でも、在職中に送信したDMはSlackのサーバーに残っています。会社が正当な理由でエクスポートを申請すれば、過去のDMも含めて閲覧される可能性があります。
Q4: 無料プランを使っているので、絶対に安全ですか?
ほぼ安全ですが、100%とは言い切れません。無料プランでも、Slack社に申請して承認されれば、管理者がDMを閲覧できる可能性はゼロではありません。
Q5: プライベートチャンネルは、DMより安全ですか?
いいえ。プライベートチャンネルもDMと同じ扱いです。コーポレートエクスポートが有効化されていれば、どちらも閲覧可能です。
Q6: 会社のSlackで、友人とプライベートな会話をするのは危険ですか?
推奨しません。会社のSlackは業務用ツールです。プライベートな会話は、個人のLINEやメールなど、完全にプライベートなツールで行いましょう。
Q7: 「監視されている」と感じたら、どうすればいいですか?
まずは、ワークスペースの設定を確認してください。「個人データのエクスポートが可能」になっている場合、監視可能な状態です。不安な場合は、人事部やIT部門に確認するのも良いでしょう。
まとめ
SlackのDMは、「完全にプライベート」ではありませんが、「簡単には見られない」仕組みになっています。
この記事の重要ポイント:
- 通常、管理者はDMやプライベートチャンネルを見ることはできない
- ただし、有料プラン(Business+以上)でSlack社の承認を得れば閲覧可能
- 承認には正当な理由(法的調査、コンプライアンスなど)が必要
- ユーザーは自分のワークスペースが監視可能かを確認できる
- コーポレートエクスポートが有効化されると、ワークスペース全体に通知される
- 削除・編集したメッセージも、エクスポートデータに残る可能性がある
- 基本姿勢:「上司に読まれても問題ない内容だけ書く」
安全にSlackを使うための心得:
- Slackは業務用ツールであることを忘れない
- プライベートな会話は、個人のツールで行う
- 機密情報や個人情報の扱いに注意する
- 定期的にワークスペースの設定を確認する
- 会社のSlack利用規定を確認しておく
SlackのDMは便利な機能ですが、完全にプライベートではないことを理解した上で、賢く使いこなしましょう。
プロフェッショナルなコミュニケーションを心がければ、プライバシーを心配する必要もなく、安心してSlackを活用できますよ!


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