Thunderbird(サンダーバード)でメールを開こうとしたら、「証明書が正しくありません」「セキュリティ例外の追加」といったメッセージが表示されることがあります。
このエラーは、メールサーバーの証明書に問題があるときに表示される警告です。証明書とは、インターネット上で安全に通信するための「身分証明書」のようなもの。これに問題があると、Thunderbirdが「このサーバー、本当に信頼できる?」と不安になって警告を出すんです。
「難しそう…」と思うかもしれませんが、解決方法は意外とシンプルです。この記事では、エラーの原因と具体的な対処法をわかりやすく解説します。
証明書エラーが出る原因
原因1:証明書の有効期限切れ
証明書には有効期限があります。メールサービス提供者が更新を忘れていたり、手続き中だったりすると、期限切れの証明書が原因でエラーが出ます。
原因2:ドメイン名の不一致
証明書に記載されているドメイン名(サーバーのアドレス)と、実際に接続しているサーバーの名前が一致しない場合です。
例えば、証明書には「mail.example.com」と書いてあるのに、設定では「smtp.example.com」に接続しようとしている、といったケースですね。
原因3:信頼できない認証局の証明書
証明書は、信頼できる機関(認証局)が発行する必要があります。
自己署名証明書(自分で作った証明書)や、マイナーな認証局の証明書だと、Thunderbirdが「この証明書、信頼していいのかな?」と警告を出します。
原因4:パソコンの日付・時刻のズレ
パソコンの日付や時刻が大きくズレていると、正常な証明書でも「有効期限外」と判断されてエラーになります。
原因5:メールサーバーの設定変更
メールサービス提供者がサーバーを移転したり、設定を変更したりした場合、古い設定のままだとエラーが出ることがあります。
原因6:中間証明書の不足
証明書の信頼性を証明するための「中間証明書」が正しくインストールされていない場合もエラーになります。これはサーバー側の問題です。
エラーメッセージの種類
Thunderbirdでは、いくつかのパターンのエラーメッセージが表示されます。
「証明書が正しくありません」
一般的なエラーメッセージです。証明書に何らかの問題があることを示しています。
「セキュリティ例外の追加」
Thunderbirdが「このサーバーの証明書に問題があるけど、それでも接続しますか?」と確認してきます。
「証明書の検証に失敗しました」
証明書の内容を確認できなかった、または信頼できないと判断されたときのメッセージです。
「証明書が期限切れです」
文字通り、証明書の有効期限が過ぎている場合です。
基本的な解決方法
方法1:日付と時刻を確認
まず、パソコンの日付と時刻が正しいか確認しましょう。
Windowsの場合
- タスクバーの時計を右クリック
- 「日付と時刻の調整」を選択
- 「時刻を自動的に設定する」をオン
- 正しい日時が表示されているか確認
Macの場合
- システム設定(またはシステム環境設定)を開く
- 「日付と時刻」をクリック
- 「日付と時刻を自動的に設定」にチェック
- 正しい日時が表示されているか確認
日時を修正したら、Thunderbirdを再起動して再度試してみましょう。
方法2:サーバー設定を確認
メール設定が正しいか確認します。
手順
- Thunderbirdを開く
- メニューバーの「ツール」→「アカウント設定」(または右上の「≡」→「アカウント設定」)
- 左側でエラーが出ているアカウントを選択
- 「サーバー設定」をクリック
確認ポイント
- サーバー名:メールサービス提供者が指定したものと一致しているか
- ポート番号:正しい番号か(受信:993または995、送信:465または587が一般的)
- 接続の保護:「SSL/TLS」または「STARTTLS」になっているか
メールサービス提供者の公式サイトで、正しい設定を確認しましょう。
方法3:セキュリティ例外を追加(慎重に)
証明書に問題があっても、信頼できるメールサーバーだとわかっている場合は、例外として許可できます。
重要な注意:これは本当に信頼できるサーバーの場合のみ行ってください。
手順
- エラーメッセージで「セキュリティ例外を承認」または「例外を追加」をクリック
- 「セキュリティ例外を追加」ウィンドウが開く
- 「証明書を取得」をクリック
- 証明書の情報を確認
- 信頼できると判断したら「セキュリティ例外を承認」をクリック
警告:不明なサーバーや怪しいと感じた場合は、例外を追加しないでください。個人情報が盗まれるリスクがあります。
方法4:Thunderbirdを最新版にアップデート
古いバージョンのThunderbirdでは、新しい証明書形式に対応していないことがあります。
アップデート手順
- Thunderbirdを開く
- メニューバーの「ヘルプ」→「Thunderbirdについて」
- 自動的に更新チェックが始まる
- 更新があればインストール
- Thunderbirdを再起動
方法5:プロバイダに問い合わせ
証明書エラーが突然出始めた場合、メールサーバー側に問題がある可能性が高いです。
メールサービス提供者のサポートに連絡して、以下を確認しましょう。
- サーバーの証明書は正常か
- サーバー設定に変更があったか
- 推奨されるサーバー設定は何か
エラー別の詳しい対処法
「ドメイン名が一致しません」
このエラーは、設定しているサーバー名と証明書のドメイン名が違う場合に出ます。
対処法
- メールプロバイダの公式サイトで正しいサーバー名を確認
- Thunderbirdのアカウント設定でサーバー名を修正
- 受信サーバーと送信サーバーの両方を確認
例:
- 誤:mail.example.jp
- 正:imap.example.jp
「証明書の発行者が不明です」
証明書を発行した機関が信頼できない、または認識できない場合です。
対処法
- メールプロバイダが正規の証明書を使用しているか確認
- 無料メールサービスなど、独自の証明書を使っている場合は例外として追加
- 企業や学校のメールサーバーの場合は、IT管理者に相談
「証明書の検証エラー」
証明書の信頼チェーンに問題がある場合です。
対処法
- Thunderbirdを最新版にアップデート
- パソコンのルート証明書を更新(Windowsの場合はWindows Updateを実行)
- プロバイダに中間証明書が正しく設定されているか確認を依頼
Windows・Mac別の追加対処法
Windows固有の対処法
証明書ストアの更新
- スタートメニューで「Windows Update」を検索
- 「更新プログラムのチェック」を実行
- すべての更新をインストール
- 再起動後、Thunderbirdを起動
ウイルス対策ソフトの干渉
セキュリティソフトがメール通信をスキャンしている場合、証明書エラーが出ることがあります。
- セキュリティソフトの設定を開く
- 「メールスキャン」または「SSL/TLSスキャン」を一時的にオフ
- Thunderbirdで接続できるか確認
接続できれば、セキュリティソフトが原因です。メール保護機能を無効化するか、Thunderbirdを除外リストに追加しましょう。
Mac固有の対処法
キーチェーンアクセスの確認
- アプリケーション→ユーティリティ→「キーチェーンアクセス」を開く
- 左側で「システム」を選択
- 上部で「証明書」タブをクリック
- 期限切れや信頼されていない証明書がないか確認
問題がある証明書を見つけたら、右クリックして「削除」または「情報を見る」で信頼設定を変更できます。
ファイアウォールの確認
- システム設定→「ネットワーク」
- 「ファイアウォール」タブ
- 「ファイアウォールオプション」をクリック
- Thunderbirdが許可されているか確認
よくある質問
Q. セキュリティ例外を追加しても大丈夫?
A. 自分が契約しているメールサービスで、プロバイダの公式サイトでもそのサーバー名が案内されているなら、基本的に問題ありません。ただし、身に覚えのないサーバーや怪しいと感じた場合は追加しないでください。
Q. 突然エラーが出始めたのはなぜ?
A. 多くの場合、メールサーバー側で証明書を更新した際に、設定変更が必要になったためです。プロバイダからのお知らせメールを確認しましょう。
Q. 証明書を更新するにはどうすればいい?
A. 証明書の更新はメールサーバーの管理者(メールサービス提供者)が行います。ユーザー側では更新できません。エラーが続く場合はプロバイダに連絡してください。
Q. 古いメールは読める?
A. 証明書エラーが出ても、すでにダウンロード済みのメールは読めます。新しいメールの受信や送信だけができなくなります。
Q. スマホでは問題ないのにパソコンだけエラーが出る
A. パソコンの日付・時刻設定、Thunderbirdのバージョン、セキュリティソフトの設定などが原因の可能性があります。上記の対処法を順番に試してみましょう。
Q. エラーを無視して使い続けるとどうなる?
A. セキュリティリスクがあります。通信内容が第三者に盗み見られる可能性があるため、エラーは放置せず必ず解決してください。
複数アカウントでエラーが出る場合
すべてのアカウントで同じエラー
パソコン側に問題がある可能性が高いです。
- 日付・時刻の確認
- Thunderbirdのアップデート
- セキュリティソフトの設定確認
- パソコンの再起動
特定のアカウントだけエラー
そのメールサーバーに問題がある可能性が高いです。
- サーバー設定の確認
- プロバイダへの問い合わせ
- サーバーステータスの確認(障害情報など)
予防策と日常的なメンテナンス
Thunderbirdを定期的にアップデート
新しいバージョンでは、セキュリティ機能が改善され、最新の証明書形式にも対応しています。
月に1回程度、更新チェックを行いましょう。
プロバイダからのお知らせを確認
メールサーバーの設定変更や証明書更新のお知らせが来ていないか、定期的に確認します。
変更があれば、早めに設定を更新しましょう。
パソコンの日時を自動設定に
手動で日時を設定していると、ズレが生じやすくなります。自動設定にしておけば安心です。
セキュリティソフトを最新に保つ
古いセキュリティソフトが、正常な証明書をブロックすることがあります。常に最新版を使いましょう。
企業・学校のメールアカウントの場合
IT管理者に相談
会社や学校のメールアカウントでエラーが出る場合、まずIT管理者に相談するのが確実です。
組織独自の証明書を使っていたり、特別な設定が必要だったりすることがあります。
VPN接続の影響
社内VPNを使っている場合、VPN接続が証明書の検証に影響することがあります。
VPNを切断した状態で試してみて、問題が解決するか確認しましょう。
組織のポリシー
組織のセキュリティポリシーで、特定の証明書しか許可されていない場合があります。
勝手にセキュリティ例外を追加せず、必ず管理者の指示に従ってください。
トラブルシューティングの順番
エラーが出たときは、以下の順番で試してみましょう。
ステップ1:基本確認
- パソコンの日付・時刻を確認
- インターネット接続を確認
- Thunderbirdを再起動
ステップ2:設定確認
- サーバー設定が正しいか確認
- プロバイダの公式サイトで推奨設定を確認
- 必要に応じて設定を修正
ステップ3:ソフトウェア更新
- Thunderbirdを最新版にアップデート
- パソコンのOSを更新
ステップ4:セキュリティ関連
- セキュリティソフトのメールスキャンを一時的に無効化
- ファイアウォールの設定を確認
ステップ5:例外追加(慎重に)
- 信頼できるサーバーと確認できたら、セキュリティ例外を追加
ステップ6:サポートに連絡
- すべて試してもダメなら、プロバイダに問い合わせ
まとめ:焦らず一つずつ確認しよう
Thunderbirdの「証明書が正しくありません」エラーは、ほとんどの場合解決できます。
主な原因と対処法
- 日付・時刻のズレ → 自動設定にして修正
- サーバー設定の誤り → プロバイダの公式情報で確認
- 古いThunderbird → 最新版にアップデート
- サーバー側の問題 → プロバイダに問い合わせ
エラーメッセージをよく読んで、何が原因なのか特定することが大切です。
焦らず、この記事の対処法を順番に試していけば、必ず解決できますよ。
セキュリティは妥協できない部分なので、不安な場合は無理せずメールサービス提供者のサポートに相談しましょう。安全で快適なメール環境を保ってくださいね。


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