「iPadを買うなら、リフレッシュレート120Hzのモデルを選ぶべき?それとも60Hzで十分?」
iPad選びで意外と見落としがちなのが、ディスプレイの「リフレッシュレート」です。特にiPad ProとiPad Airで迷っている方にとって、この違いは大きな判断材料になります。
この記事では、iPadのリフレッシュレートについて、基本から設定方法まで分かりやすく解説していきます!
リフレッシュレートとは?基本を理解しよう

まずは、リフレッシュレートの基本から押さえていきましょう。
リフレッシュレートの仕組み
リフレッシュレート とは、ディスプレイが1秒間に画面を書き換える(更新する)回数のことです。
単位は「Hz(ヘルツ)」で表されます。
分かりやすく例えると
パラパラ漫画を想像してください。
- 60Hz = 1秒間に60ページめくる
- 120Hz = 1秒間に120ページめくる
当然、120ページめくる方が、動きが滑らかに見えますよね。これがリフレッシュレートの違いです。
60Hzと120Hzの違い
60Hz(標準)
- 1秒間に60回画面を更新
- 一般的なスマホやタブレットの標準仕様
- 普通に使う分には十分快適
120Hz(高リフレッシュレート)
- 1秒間に120回画面を更新
- 60Hzの2倍の更新頻度
- より滑らかで快適な表示
数字だけ見ると「2倍も違う!」と驚きますが、実際の体感差は人によって感じ方が異なります。これについては後ほど詳しく説明しますね。
ProMotionテクノロジーとは?
iPadの120Hzディスプレイを語る上で欠かせないのが、ProMotion(プロモーション)テクノロジー です。
ProMotionの特徴
ProMotionは、Appleが開発した可変リフレッシュレート技術です。
通常の120Hzディスプレイとの違い
一般的な120Hz対応デバイス:
- 常に120Hzで動作
- バッテリー消費が多い
ProMotionテクノロジー:
- 状況に応じて自動で10Hz〜120Hzの間で変化
- 必要なときだけ高リフレッシュレート
- バッテリーを節約
どんな風に変化するの?
ProMotionは、画面に表示されているコンテンツに合わせて、自動的にリフレッシュレートを調整します。
状況別のリフレッシュレート
| 状況 | リフレッシュレート |
|---|---|
| 静止画を見ている | 10〜24Hz |
| テキストを読んでいる | 24〜30Hz |
| ウェブページをスクロール | 60〜120Hz |
| Apple Pencilで描画 | 120Hz |
| 動画視聴(24fps) | 24Hz |
| 動画視聴(30fps) | 30Hz |
| 動画視聴(60fps) | 60Hz |
| ゲームプレイ(高fps) | 120Hz |
動画の場合、コンテンツのフレームレートに合わせて自動調整されるので、映像がカクついたり、不自然に見えたりすることがありません。
iPadのモデル別リフレッシュレート一覧
どのiPadモデルが何Hzに対応しているのか、一覧で確認しましょう。
120Hz対応モデル(ProMotion搭載)
iPad Pro 11インチ
- 第1世代(2018年)
- 第2世代(2020年)
- 第3世代(2021年)
- 第4世代(2022年)
- 第5世代(M4、2024年)
iPad Pro 12.9インチ
- 第2世代(2017年)
- 第3世代(2018年)
- 第4世代(2020年)
- 第5世代(2021年)
- 第6世代(2022年)
- 第7世代(M4、2024年)
iPad Pro 10.5インチ
- 第1世代(2017年)
重要ポイント
iPad Proシリーズは、2017年以降のモデルすべてが120Hz(ProMotion)に対応しています。
60Hzモデル
iPad Air
- すべてのモデル(第1世代〜第5世代)
- 最新のiPad Air(M2、2024年)も60Hz
iPad mini
- すべてのモデル(第1世代〜第6世代)
iPad(無印)
- すべてのモデル(第1世代〜第10世代)
残念なお知らせ
2024年12月現在、iPad Pro以外のすべてのiPadは60Hzです。iPad AirもiPad miniも、最新モデルでさえ120Hzには対応していません。
120Hzのメリット:どんな場面で違いを感じる?
それでは、120Hzリフレッシュレートの具体的なメリットを見ていきましょう。
1. スクロールが超滑らか
Safariやアプリでのスクロール
これが最も違いを感じやすい場面です。
60Hzの場合:
- 文字がわずかにブレる
- 画像が流れるとき少しカクつく
- スクロール中の文字が読みづらい
120Hzの場合:
- 文字がくっきりしたままスクロール
- ヌルヌルと滑らかな動き
- スクロール中でも文字が読める
長いウェブページや電子書籍を読むとき、この違いは意外と大きいです。
2. Apple Pencilの描画が快適
イラストやメモ書きの遅延が少ない
Apple Pencilを使う人にとって、120Hzは大きなメリットです。
60Hzの場合:
- ペン先と描画の間に微妙な遅延
- 素早く描くと線が追いつかない感じ
120Hzの場合:
- ペン先と画面の描画がほぼ同時
- まるで紙に書いているような感覚
- 細かい描写もスムーズ
特にプロのイラストレーターや、手書きメモを頻繁に取る人には、この差は非常に重要です。
3. ゲームプレイが快適
対応ゲームでのプレイ体験が向上
ただし、ここには重要な注意点があります。
注意:ゲームが120fpsに対応している必要がある
120Hzディスプレイの恩恵を受けるには、ゲーム側も120fpsに対応していなければなりません。
120fps対応ゲーム例:
- PUBG Mobile
- Call of Duty Mobile
- Asphalt 9
- Genshin Impact(一部設定)
多くのゲームはまだ60fps止まりなので、その場合は120Hzでも体感差はありません。
4. アプリの切り替えやジェスチャーが気持ちいい
iPadOSの操作全般が滑らか
- アプリを開く・閉じる動作
- マルチタスキングのジェスチャー
- コントロールセンターの表示
- ウィジェットのスクロール
こうした細かい動作すべてが、60Hzより滑らかに感じられます。
5. 目の疲れが軽減される(人による)
ちらつきが減って目に優しい
リフレッシュレートが高いと、画面のちらつき(フリッカー)が減少します。
眼科医によると:
- 人の目は50〜100Hzのフリッカーを検知できる
- 多くの人は60Hz程度で処理している
- 120Hzはその処理速度を超えているため、より快適
長時間iPadを使う人にとって、これは見逃せないメリットです。
ただし、この効果は個人差が大きく、全員が同じように感じるわけではありません。
120Hzのデメリット

メリットばかりではありません。デメリットも正直にお伝えします。
1. バッテリー消費が増える
高リフレッシュレートは電力を多く消費
ProMotionテクノロジーで可変になっているとはいえ、120Hzで動作している時間が長ければ、その分バッテリーは減ります。
実測では:
- 通常使用で5〜10%程度バッテリー持続時間が短くなる
- ゲームや動画視聴など、常に120Hzで動作する使い方だと差が大きい
気になる場合は、後述する設定で60Hzに制限することもできます。
2. 価格が高い
120Hz = iPad Proのみ = 高価格
これが一番のネックかもしれません。
- iPad Air(60Hz):92,800円〜
- iPad Pro 11インチ(120Hz):128,800円〜
その差、36,000円。120Hzのためだけに払うには大きな金額ですよね。
3. 慣れると60Hzに戻れなくなる
これは逆説的なデメリット
一度120Hzの快適さを体験すると、60Hzが物足りなく感じてしまいます。
「目が肥えてしまう」というやつですね。
リフレッシュレートの確認方法
自分のiPadが今何Hzで動作しているか、確認したい場合があります。
設定画面で確認する方法
残念ながら、iPadには「現在のリフレッシュレート」を直接表示する機能はありません。
ただし、iPad Proであれば、以下の方法で制限がかかっているかどうかを確認できます。
手順
- 設定アプリを開く
ホーム画面から「設定」をタップします。
- 「アクセシビリティ」をタップ
設定の一覧から「アクセシビリティ」を選択します。
- 「動作」をタップ
アクセシビリティの中から「動作」を選びます。
- 「フレームレートを制限」を確認
このスイッチがOFFなら、120Hz動作が有効です。
ONになっている場合は、60Hzに制限されています。
視覚的に確認する方法
スクロールして体感する
Safariで長いウェブページを素早くスクロールしてみてください。
- 文字がくっきり見える → 120Hz
- 文字がブレる → 60Hz
リフレッシュレートの設定変更方法
iPad Proユーザー向けに、120Hzと60Hzを切り替える方法を説明します。
120Hzから60Hzに制限する方法
バッテリーを節約したい場合や、特定のアプリで問題が起きる場合に、60Hzに制限できます。
設定手順
- 設定 > アクセシビリティ > 動作
先ほどの確認方法と同じ画面に進みます。
- 「フレームレートを制限」をONにする
このスイッチをONにすると、最大リフレッシュレートが60Hzに制限されます。
実際には10Hz〜60Hzの間で可変になります。
- 設定完了
これだけです。すぐに60Hz動作に切り替わります。
60Hzから120Hzに戻す方法
制限を解除したい場合は、同じ場所で「フレームレートを制限」をOFFにするだけです。
低電力モードでの自動制限
低電力モード = 自動的に60Hz制限
iPadを低電力モードにすると、自動的にリフレッシュレートが60Hzに制限されます。
低電力モードを解除すれば、再び120Hzに戻ります。
60Hzと120Hz、実際の違いはどれくらい?
「数字では2倍の差があるけど、実際どう違うの?」
これが一番気になるポイントですよね。
体感差は人によって大きく異なる
はっきり違いが分かる人
- すぐに違いに気づく
- 60Hzがカクついて見える
- 一度120Hzを使うと戻れない
あまり違いが分からない人
- 並べて比較しても差を感じにくい
- 60Hzで十分快適
- 価格差を考えると60Hzで良い
実際、MacRumorsのフォーラムでも「違いが分からない」という意見は一定数あります。
使用用途によって違いの大きさが変わる
違いを大きく感じる用途
- ウェブブラウジング(頻繁にスクロール)
- Apple Pencilでの描画
- 対応ゲームのプレイ
- テキストエディタでの作業
違いをあまり感じない用途
- 動画視聴(24〜60fpsのコンテンツ)
- 電子書籍をゆっくり読む
- 静止画の閲覧
- メール作成
Apple Storeで実機を触るのが一番
購入前に必ず実機で確認を
人によって感じ方が違うからこそ、実際に触って確認することが大切です。
Apple Storeや家電量販店で:
- iPad Pro(120Hz)とiPad Air(60Hz)を並べて
- 同じウェブページをスクロールして比較
- 自分の目で違いを確認
この体験で「違いが分かる」なら120Hzの価値があります。「よく分からない」なら、無理して高いモデルを買う必要はないでしょう。
どんな人に120Hzが必要?おすすめ判断基準
最後に、120Hzが本当に必要な人とそうでない人を整理しましょう。
120Hz(iPad Pro)がおすすめな人
以下に当てはまる人は、iPad Proの120Hzディスプレイを選ぶ価値があります。
✓ Apple Pencilでイラストを描く
→ 遅延の少なさは絶対的なメリット
✓ 長時間のウェブブラウジングやテキスト作業
→ 目の疲れが軽減される可能性
✓ 対戦型ゲームを本気でプレイ
→ 対応ゲームなら有利に
✓ 60Hzと120Hzの違いがはっきり分かる
→ 体感できるなら投資の価値あり
✓ 予算に余裕がある
→ 迷うなら上位モデルで後悔なし
✓ 最新技術を楽しみたい
→ ガジェット好きなら満足度高い
60Hz(iPad Air / mini)で十分な人
以下に当てはまる人は、60Hzモデルでも快適に使えます。
✓ 主な用途は動画視聴と読書
→ 120Hzの恩恵が少ない
✓ 予算を抑えたい
→ 36,000円の差は大きい
✓ Apple Pencilをあまり使わない
→ 120Hzの最大メリットを活かせない
✓ 60Hzと120Hzの違いがよく分からない
→ 体感できないなら不要
✓ バッテリー持ちを最優先
→ 60Hzの方が長持ち
✓ 小型のiPad miniが欲しい
→ mini は120Hz非対応
よくある質問

iPadのリフレッシュレートについて、よくある疑問にお答えします。
Q1. iPad Proは買った時から120Hzで動いてる?
A. はい、デフォルトで120Hz(ProMotion)が有効です。
特に設定をいじらなくても、購入時から120Hzで動作しています。
ただし、ProMotionは可変式なので、常に120Hzで動いているわけではなく、必要に応じて10〜120Hzの間で変化します。
Q2. 120Hzに設定すると、すべてのアプリが120fpsになる?
A. いいえ、アプリ側の対応が必要です。
ディスプレイが120Hz対応でも、アプリが60fpsまでしか出力しない場合、実質60Hzでしか動きません。
特にゲームは、アプリ側が120fps対応している必要があります。
Q3. 動画は120Hzで見れる?
A. 動画のフレームレートに合わせて自動調整されます。
ほとんどの動画は24fps、30fps、または60fpsで作られています。
ProMotionは動画のフレームレートに合わせて、24Hz、30Hz、60Hzに自動調整されるので、120Hzで見ているわけではありません。
これにより、カクつきのない滑らかな映像が楽しめます。
Q4. 120Hzに対応したら、バッテリーが急激に減る?
A. 通常使用なら5〜10%程度の違いです。
ProMotionテクノロジーにより、必要ないときは低いリフレッシュレートに下がるため、常に120Hzで動いているわけではありません。
そのため、バッテリー消費の増加は思ったほど大きくありません。
気になる場合は「フレームレートを制限」で60Hzに固定できます。
Q5. iPad Airも将来120Hzに対応する?
A. 現時点では不明ですが、期待はできます。
2024年12月時点では、120HzはiPad Proの差別化ポイントとして残されています。
ただし、スマートフォン市場では低価格帯でも120Hzが一般化しつつあるため、将来的にはiPad Airにも搭載される可能性はあります。
公式発表がない限り、確実なことは言えません。
Q6. 外部ディスプレイに120Hzで出力できる?
A. ディスプレイ次第ですが、制限があります。
iPad Proから外部ディスプレイに出力する場合、120Hz出力できるかどうかは接続するディスプレイ次第です。
ただし、iPadOSの仕様上、外部ディスプレイへの出力には制限があることが多いです。
まとめ:自分に合ったリフレッシュレートを選ぼう
ここまで、iPadのリフレッシュレートについて詳しく見てきました。
この記事のポイント
✓ リフレッシュレートは画面の更新頻度(60Hz vs 120Hz)
✓ 120Hzに対応しているのはiPad Proのみ
✓ ProMotionは状況に応じて10〜120Hzで可変
✓ メリットは滑らかな表示、Apple Pencil、目の疲れ軽減
✓ デメリットはバッテリー消費と価格
✓ 体感差は人によって大きく異なる
✓ 設定で60Hzに制限することも可能
最終的な判断基準
120Hzを選ぶべき人
→ Apple Pencil愛用者、ヘビーユーザー、違いが分かる人
60Hzで十分な人
→ 動画・読書中心、予算重視、違いが分からない人
iPadは決して安い買い物ではありません。自分の使い方をしっかり考えて、後悔のない選択をしてくださいね。
「迷ったらApple Storeで実機を触る」これが一番確実な方法です!

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