「iPadをMacのサブディスプレイとして使えたらいいのに…」と思ったことはありませんか?
実は、iPadを外部ディスプレイとして活用できる機能があるんです。追加のモニターを買わなくても、手持ちのiPadで作業スペースを広げられます。
この記事では、MacでiPadをディスプレイとして使う「Sidecar(サイドカー)」機能と、Windows PCで使う方法まで、設定手順からトラブル対処法まで徹底解説します。
テレワークや外出先での作業がもっと快適になるので、ぜひ最後まで読んでください。
iPadをディスプレイとして使うとは?

まず、どんな機能なのか基本から確認しましょう。
2つのモードが選べる
iPadをディスプレイとして使う場合、2つのモードがあります:
1. 拡張デスクトップモード
- iPadが2台目のディスプレイになる
- 作業スペースが広がる
- 異なるアプリを同時に表示できる
2. ミラーリングモード
- Macと同じ画面をiPadに表示
- プレゼンテーションに便利
- 画面を共有したいときに使う
できること
iPadをディスプレイとして使うと、こんなことができます:
- 作業効率アップ:複数のウィンドウを同時に開ける
- マルチタスク:メイン画面で作業、iPadで資料表示
- Apple Pencil活用:iPadをペンタブレット代わりに使える
- Touch Bar表示:MacにTouch Barがなくても使える
- タッチ操作:iPadのタッチ機能も利用可能
具体的な活用例
どんな場面で便利なのか、例を見てみましょう:
デザイン作業
- メイン画面にキャンバス
- iPad側にツールパレット
- Apple Pencilで直接描画
プログラミング
- メイン画面にコードエディタ
- iPad側にドキュメントやブラウザ
- 資料を見ながら開発
オンライン会議
- メイン画面でプレゼン資料
- iPad側でZoomの参加者表示
- ノートを取りながら会議
動画編集
- メイン画面にタイムライン
- iPad側にプレビューウィンドウ
- 効率的な編集作業
ライティング
- メイン画面で執筆
- iPad側で資料や参考文献
- 調べながら書ける
Mac:Sidecar機能を使う方法
MacでiPadをディスプレイとして使うのは、とても簡単です。
対応機種を確認
まず、お使いのデバイスが対応しているか確認しましょう。
対応Mac:
- MacBook Pro(2016年以降)
- MacBook Air(2018年以降)
- MacBook(2016年以降)
- iMac(2017年以降、または5K 27インチ Late 2015)
- iMac Pro(全モデル)
- Mac mini(2018年以降)
- Mac Pro(2019年以降)
- Mac Studio(全モデル)
必要なOS:
- macOS Catalina(10.15)以降
対応iPad:
- iPad Pro(全モデル)
- iPad(第6世代以降)
- iPad Air(第3世代以降)
- iPad mini(第5世代以降)
必要なOS:
- iPadOS 13以降
事前準備
Sidecarを使う前に、以下を確認してください:
1. 同じApple IDでサインイン
- MacとiPadで同じApple IDを使う
- 2ファクタ認証を有効にする
2. 必要な機能をオンにする
無線接続の場合:
- Wi-Fi:オン(同じネットワークに接続)
- Bluetooth:オン
- Handoff:オン
有線接続の場合:
- iPadでMacを「信頼する」設定
3. Handoffの設定確認
Macで:
- 「システム設定」を開く
- 「一般」→「AirDropとHandoff」
- 「このMacとiCloudデバイス間でのHandoffを許可」をオン
iPadで:
- 「設定」を開く
- 「一般」→「AirPlayと連係」
- 「Handoff」をオン
接続方法①:無線接続(おすすめ)
ケーブル不要で簡単に接続できます。
手順1:コントロールセンターから接続
- Macのメニューバー右上のコントロールセンターアイコンをクリック
- 「画面ミラーリング」をクリック
- 接続したいiPadを選択
- iPadの画面にMacのデスクトップが表示される
これで接続完了です!
手順2:システム設定から接続
- 「システム設定」を開く
- 「ディスプレイ」をクリック
- 画面右上の「+」ボタンをクリック
- 「ミラーリングまたは拡張」からiPadを選択
こちらの方法でも接続できます。
メリット:
- ケーブル不要で自由な配置
- セットアップが簡単
- 距離は10メートル以内
接続方法②:有線接続
より安定した接続が必要な場合に使います。
手順:
- USB-CケーブルまたはLightningケーブルでMacとiPadを接続
- iPadに「このコンピュータを信頼しますか?」と表示されたら「信頼」をタップ
- 自動的にSidecarが起動
これで有線接続完了です。
メリット:
- より安定した接続
- 充電しながら使える
- Wi-Fi環境が不安定でもOK
ウィンドウを移動する方法
MacとiPad間でウィンドウを移動させる方法を紹介します。
方法1:フルスクリーンボタンから移動
- 移動したいウィンドウのフルスクリーンボタン(緑色)にポインタを合わせる
- 「iPadに移動」を選択
- ウィンドウがiPadに移動
戻すときも同じ操作で「Macに戻す」を選べます。
方法2:ドラッグ&ドロップ
- ウィンドウのタイトルバーをドラッグ
- 画面の端まで持っていく
- ポインタがもう一方の画面に移動
- そのままドロップ
通常の外部ディスプレイと同じように使えます。
ディスプレイの配置を調整
物理的な配置に合わせて設定しましょう。
手順:
- 「システム設定」→「ディスプレイ」
- 「配置」をクリック
- ディスプレイのアイコンをドラッグして配置
- iPadが右側なら右に配置
- iPadが左側なら左に配置
- iPadが上側なら上に配置
- 「完了」をクリック
これで画面の端を越えたときに自然に移動できます。
拡張とミラーリングを切り替える
用途に応じてモードを変更できます。
拡張モード→ミラーリングに変更:
- 「システム設定」→「ディスプレイ」
- iPadを選択
- 「使用方法」メニューから「ミラーリング」を選択
ミラーリング→拡張モードに変更:
- 同じく「使用方法」メニュー
- 「拡張ディスプレイ」を選択
iPad画面の機能
Sidecar使用中、iPad画面には特別な機能が表示されます。
サイドバー(左端)
上から順に:
- コマンドキー:Commandキーとして機能
- オプションキー:Optionキーとして機能
- コントロールキー:Controlキーとして機能
- シフトキー:Shiftキーとして機能
- 元に戻す:作業を取り消し
- キーボード:オンスクリーンキーボード表示
- 接続解除:Sidecarを終了
Touch Bar(下部)
- MacアプリのTouch Barコントロールが表示
- 指やApple Pencilでタップ可能
- MacにTouch Barがなくても使える
サイドバーとTouch Barの表示設定:
- 「システム設定」→「ディスプレイ」
- iPadを選択
- 「詳細」をクリック
- 以下を設定:
- サイドバーを表示:オン/オフ、左/右
- Touch Barを表示:オン/オフ、上/下
Apple Pencilを活用する
iPadをペンタブレット代わりに使えます。
できること:
- 描画:イラストアプリで絵を描く
- 写真編集:細かい調整作業
- 手書きメモ:PDFへの書き込み
- 選択操作:ボタンやメニューのタップ
対応アプリ例:
- Adobe Photoshop
- Adobe Illustrator
- Affinity Designer
- Procreate(iPad版)
- プレビュー(macOS標準)
Apple Pencil(第2世代)のダブルタップ:
- 「システム設定」→「ディスプレイ」→iPad
- 「Apple Pencilでダブルタップを有効にする」をオン
- 対応アプリでApple Pencilの側面をダブルタップ
- ツールが切り替わる
Sidecarを終了する方法
使い終わったら接続を解除しましょう。
Macから終了:
- メニューバーのコントロールセンターをクリック
- 「画面ミラーリング」をクリック
- iPadの選択を解除
iPadから終了:
- サイドバーの下部にある「接続解除」アイコンをタップ
どちらの方法でも終了できます。
ユニバーサルコントロールとの違い

似た機能に「ユニバーサルコントロール」があります。
機能の違い
| 項目 | Sidecar | ユニバーサルコントロール |
|---|---|---|
| 画面表示 | MacのデスクトップをiPadに表示 | iPadは独自の画面を表示 |
| 用途 | 作業スペースの拡張 | 複数デバイスの操作 |
| ファイル移動 | 通常のドラッグ&ドロップ | デバイス間でドラッグ&ドロップ |
| キーボード | Macのキーボードで操作 | 1つのキーボードで両方操作 |
| マウス | Macのマウスで操作 | 1つのマウスで両方操作 |
どちらを使うべき?
Sidecarが向いている人:
- 作業スペースを広げたい
- Macの画面を拡張したい
- Apple Pencilを使いたい
- ペンタブレットとして使いたい
ユニバーサルコントロールが向いている人:
- MacとiPadで別々のアプリを使いたい
- ファイルをデバイス間で移動したい
- 1つのキーボード/マウスで両方操作したい
両方とも便利な機能なので、用途に応じて使い分けましょう。
Windows PC:サードパーティアプリを使う方法
WindowsではSidecarが使えませんが、サードパーティアプリで実現できます。
おすすめアプリ3選
1. Duet Display(最も人気)
特徴:
- 元Apple社員が開発
- 遅延がほぼゼロ
- 有線/無線の両方対応
- WindowsとMac両対応
価格:
- 買い切り:約1,500円〜
- サブスクリプション:月額プランあり
使い方:
- iPadとPCにアプリをインストール
- 同じWi-Fiに接続(無線の場合)
- アプリを起動すると自動接続
2. Spacedesk(無料)
特徴:
- 完全無料
- Windows専用
- 無線接続のみ
- 設定が簡単
使い方:
- PCにSpacedeskサーバーをインストール
- iPadにSpacedeskアプリをインストール
- 同じネットワークで自動検出
3. Splashtop Wired XDisplay
特徴:
- 有線接続専用
- 低遅延
- 安定した接続
価格:
- 買い切り:約1,200円
注意点
サードパーティアプリの制限:
- 純正Sidecarより遅延がある場合も
- 有料のものが多い
- 設定が複雑な場合も
- バッテリー消費が多い
トラブルシューティング
うまく接続できない場合の対処法です。
iPadが表示されない
原因と対処法:
1. 同じApple IDでサインインしていない
- Mac、iPad双方で確認
- 設定→Apple IDで確認
2. 2ファクタ認証が無効
- Apple IDの設定で有効化
3. Wi-Fi/Bluetoothがオフ
- 両方ともオンにする
- 同じWi-Fiネットワークに接続
4. Handoffがオフ
- 前述の手順でオンにする
5. デバイスが離れすぎている
- 10メートル以内に近づける
接続が不安定・遅延がある
原因と対処法:
1. Wi-Fi電波が弱い
- ルーターに近づく
- 有線接続に切り替える
2. 他の機器が電波干渉している
- 電子レンジなど干渉源から離す
- 有線接続に切り替える
3. バックグラウンドアプリが多い
- 不要なアプリを終了
- Macを再起動
ウィンドウが移動できない
原因と対処法:
1. ディスプレイの配置が間違っている
- 「システム設定」→「ディスプレイ」→「配置」
- 物理的な配置と合わせる
2. フルスクリーンモードになっている
- フルスクリーンを解除
- 通常のウィンドウモードで移動
Touch Barが表示されない
原因と対処法:
1. Touch Bar表示がオフ
- 「システム設定」→「ディスプレイ」→iPad
- 「Touch Barを表示」をオン
2. 「ディスプレイごとに個別の操作スペース」がオフ
- 「システム設定」→「デスクトップとDock」
- 「ディスプレイごとに個別の操作スペース」をオン
iPadがスリープする
原因と対処法:
自動ロックの設定を確認:
- iPadの「設定」を開く
- 「画面表示と明るさ」をタップ
- 「自動ロック」をタップ
- 「なし」を選択
これでSidecar使用中にスリープしなくなります。
有線接続できない
原因と対処法:
1. ケーブルが対応していない
- データ転送対応ケーブルを使う
- 充電専用ケーブルはNG
2. 信頼設定していない
- iPadに「このコンピュータを信頼しますか?」
- 「信頼」をタップ
3. ポートの問題
- 別のUSBポートを試す
- ケーブルを変える
便利な活用テクニック
Sidecarをもっと便利に使うコツを紹介します。
テクニック1:専用ワークスペースを作る
アプリごとにウィンドウ配置を保存できます。
Photoshopの例:
- ツールパレットをiPadに配置
- メイン画面にキャンバス
- ワークスペースを保存
次回起動時、同じ配置で開けます。
テクニック2:スタンドを活用
iPadの角度や位置を調整すると使いやすくなります。
おすすめの配置:
- 横配置:作業スペース拡張に最適
- 縦配置:コードやドキュメント表示に便利
- 角度調整:Apple Pencil使用時は傾ける
テクニック3:ショートカットキーを覚える
効率的な操作のためにショートカットを活用しましょう。
便利なショートカット:
- Command + F1:ミラーリング切り替え(機種により異なる)
- Control + ↑:Mission Control
- Control + ←/→:デスクトップ間移動
テクニック4:用途別プロファイル
作業内容によって使い分けましょう。
デザイン作業:
- 拡張モード
- サイドバーオン
- Apple Pencil有効
プレゼン:
- ミラーリングモード
- Touch Barオフ
- サイドバーオフ
テクニック5:バッテリー管理
長時間使う場合は充電しながら使いましょう。
省電力のコツ:
- 有線接続で充電
- 画面の明るさを下げる
- 不要なアプリを終了
よくある質問

Q1:SidecarでiPadのバッテリーは減る?
A: はい、通常より早く減ります。
理由:
- 画面表示に電力を使う
- 無線通信で電力消費
- 処理負荷がかかる
対策:
- 有線接続で充電しながら使う
- 画面の明るさを下げる
- 長時間使用時は充電必須
Q2:複数のiPadを同時に使える?
A: いいえ、Sidecarは1台のiPadのみです。
ただし:
- 通常の外部ディスプレイとの併用は可能
- iPad + 外部モニター = 3画面構成も可能
Q3:iPadで動画を見ながらSidecarは使える?
A: はい、一時的にiPadアプリに切り替えられます。
方法:
- iPadで下から上にスワイプ
- ホーム画面が表示される
- 動画アプリを起動
- 終わったらSidecarアプリをタップして戻る
Q4:Windows PCでも使える?
A: Sidecarは使えませんが、サードパーティアプリで可能です。
おすすめアプリ:
- Duet Display(有料)
- Spacedesk(無料)
- Splashtop Wired XDisplay(有料)
Q5:遅延はどのくらい?
A: Sidecarはほとんど遅延がありません。
実測値:
- 無線:10〜30ms程度
- 有線:5〜15ms程度
通常作業では気にならないレベルです。
Q6:Android タブレットでも使える?
A: いいえ、Sidecarは使えません。
代替案:
- Duet Display(Android版あり)
- Spacedesk(Windows+Android)
- その他サードパーティアプリ
Q7:Sidecar使用中にiPadを単独で使える?
A: はい、一時的に切り替え可能です。
方法:
- 下から上にスワイプでホーム画面
- iPadアプリを通常通り使用
- Sidecarアプリをタップして戻る
ただし、Sidecarセッションは一時中断されます。
Q8:解像度はどうなる?
A: iPadの解像度に自動調整されます。
主なiPadの解像度:
- iPad Pro 12.9インチ:2732 × 2048
- iPad Pro 11インチ:2388 × 1668
- iPad Air:2360 × 1640
- iPad(第10世代):2360 × 1640
- iPad mini:2266 × 1488
Sidecar使用時:
- iPad Pro 12.9:1366 × 1024
- iPad mini 5:1024 × 768
まとめ:iPadを活用して作業効率アップ
最後に、この記事の重要ポイントをまとめます。
iPadをディスプレイとして使う方法
- Mac:純正のSidecar機能を使う
- Windows:Duet DisplayなどのアプリをCatalinaで追加された機能
- macOS Catalina(10.15)以降とiPadOS 13以降が必要
2つのモード
- 拡張デスクトップ:作業スペースを広げる
- ミラーリング:同じ画面を表示する
対応機種
- Mac:2016年以降のMacBook Pro、2018年以降のMacBook Airなど
- iPad:第6世代以降のiPad、第3世代以降のiPad Air、全モデルのiPad Pro
接続方法
- 無線接続:Wi-Fi+Bluetoothで手軽に
- 有線接続:ケーブルで安定した接続&充電
便利な機能
- Apple Pencilでペンタブレットとして使える
- Touch Barが表示される
- サイドバーで各種キーを操作
- タッチ操作も可能
活用シーン
- デザイン作業:ツールパレットをiPadに
- プログラミング:資料を見ながら開発
- 動画編集:プレビューとタイムラインを分離
- オンライン会議:資料と参加者を同時表示
トラブル対処
- 同じApple IDでサインイン必須
- Wi-Fi、Bluetooth、Handoffをオン
- 10メートル以内の距離を保つ
- 有線接続でより安定
ユニバーサルコントロールとの違い
- Sidecar:Macの画面を拡張
- ユニバーサルコントロール:別々のデバイスを1つのキーボード/マウスで操作
Windows PCでの利用
- Duet Display(有料・最も人気)
- Spacedesk(無料)
- Splashtop Wired XDisplay(有料)
iPadをディスプレイとして活用すれば、追加のモニターを購入しなくても作業環境を大幅に改善できます。
特にMacユーザーなら、純正のSidecar機能で簡単に設定できて、遅延もほとんどありません。Apple Pencilと組み合わせれば、高価な液晶タブレットの代わりとしても使えます。
テレワークや外出先での作業、カフェでの作業など、どこでも快適な作業環境を作れるのが最大の魅力です。
すでにiPadを持っているなら、ぜひこの機能を試してみてください。一度使ったら、もう手放せなくなるはずです!

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