「1TBの外付けハードディスクを買ったのに、931GBしか表示されない…」
「フォーマットしたら、USBメモリの容量が半分以下になってしまった」
こんな経験、ありませんか?
ドライブをフォーマットした後、表示される容量が期待と違うことがあります。これには様々な原因があり、中には正常な場合もあれば、トラブルの場合もあります。この記事では、フォーマット後の容量問題について、原因から解決方法まで詳しく解説します。
大切なデータを守るためにも、正しい知識を身につけましょう。
容量が少なく表示される主な原因

まず、なぜ容量がおかしく見えるのか、主な原因を理解しましょう。
単位の違い(これは正常)
最も一般的な「容量が少ない」理由は、実は正常なものです。
メーカーが表記する容量と、OSが表示する容量では、計算方法が異なります。
メーカーの計算方法(10進法)
- 1KB = 1,000バイト
- 1MB = 1,000KB = 1,000,000バイト
- 1GB = 1,000MB = 1,000,000,000バイト
- 1TB = 1,000GB = 1,000,000,000,000バイト
OSの計算方法(2進法)
- 1KB = 1,024バイト
- 1MB = 1,024KB = 1,048,576バイト
- 1GB = 1,024MB = 1,073,741,824バイト
- 1TB = 1,024GB = 1,099,511,627,776バイト
具体例:1TBドライブの場合
メーカー表記:1TB = 1,000,000,000,000バイト
OSでの表示:1,000,000,000,000 ÷ 1,073,741,824 ≒ 931GB
つまり、1TBのドライブが931GBと表示されるのは正常なのです。約7%の差が生じます。
ファイルシステムの管理領域
フォーマットすると、ファイルシステムが管理のために一部の領域を使います。
この管理領域には以下のものが含まれます:
- ファイル配置表(どこに何があるかの地図)
- システム予約領域
- バックアップ領域
通常、全体の1~5%程度が管理領域として使われますが、これは正常な動作です。
パーティション分割の問題
ドライブが複数のパーティションに分かれている場合、1つのパーティションだけが表示されている可能性があります。
例えば、1TBのドライブが500GBずつ2つのパーティションに分かれていたら、1つだけ見ると500GBにしか見えません。
未割り当て領域の存在
フォーマットが正しく完了していない場合、ドライブの一部が「未割り当て」の状態で残っていることがあります。
この未割り当て領域は、エクスプローラーやFinderからは見えません。
不良セクタの存在
ドライブに物理的な問題があると、不良セクタ(壊れた部分)が検出され、使用できない領域として除外されます。
大量の不良セクタがあると、使える容量が大幅に減ります。
隠しパーティションや回復パーティション
一部のドライブ(特にメーカー製パソコンの内蔵ドライブ)には、隠しパーティションが存在します。
- 回復パーティション(リカバリー用)
- システム予約パーティション
- OEMパーティション
これらは通常見えませんが、実際には容量を使っています。
容量の確認方法
実際にどれくらいの容量が使えるのか、正しく確認する方法を説明します。
Windowsでの確認方法
方法1:エクスプローラーで確認
- エクスプローラーを開く
- 「PC」または「このPC」を表示
- 対象のドライブを右クリック
- 「プロパティ」を選択
ここで表示される「容量」と「使用領域」「空き領域」を確認します。
方法2:ディスクの管理で詳細確認
- スタートボタンを右クリック
- 「ディスクの管理」を選択
- 対象のドライブを確認
この画面では:
- 全体の容量
- パーティションの状態
- 未割り当て領域
- 各パーティションのファイルシステム
などが詳しく表示されます。グラフィカルに表示されるので、パーティション構成が一目で分かります。
Macでの確認方法
方法1:Finderで確認
- Finderを開く
- サイドバーでドライブを選択
- Command + I(情報を見る)
容量と使用可能な容量が表示されます。
方法2:ディスクユーティリティで詳細確認
- 「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「ディスクユーティリティ」を開く
- 左側のサイドバーで対象のドライブを選択
- 上部の「情報」ボタンをクリック
詳細な容量情報とパーティション構成が確認できます。
問題別の解決方法

容量がおかしい時の、具体的な対処法を紹介します。
ケース1:メーカー表記より少ない(正常な場合)
症状
- 1TBのドライブが931GB程度と表示される
- 500GBのドライブが465GB程度と表示される
原因
前述の単位の違いによるもので、これは正常です。
対処法
対処は不要です。これは故障ではなく、計算方法の違いによるものです。
どのメーカーのドライブでも、どのOSでも同じ現象が起きます。
ケース2:未割り当て領域がある
症状
表示される容量が、本来の容量よりかなり少ない。ディスクの管理で見ると、灰色の「未割り当て」領域がある。
原因
パーティションが全体に作成されていない、または誤って削除してしまった。
対処法(Windows)
- 「ディスクの管理」を開く
- 未割り当て領域を右クリック
- 「新しいシンプルボリューム」を選択
- ウィザードに従って進める
- サイズは最大値のままでOK
- ドライブレターを割り当てる
- ファイルシステムを選択(exFAT推奨)
- 「完了」をクリック
対処法(Mac)
- ディスクユーティリティを開く
- 対象のドライブを選択
- 「パーティション」をクリック
- 「+」ボタンでパーティションを追加
- サイズを調整して全体を使うようにする
- 「適用」をクリック
ケース3:複数のパーティションに分かれている
症状
ディスクの管理で見ると、1つのドライブが複数のパーティションに分かれている。
原因
過去に意図的または誤って、複数のパーティションを作成してしまった。
対処法(Windows)
注意:この作業を行うと、ドライブ内のすべてのデータが消えます。必ず事前にバックアップを取ってください。
- 「ディスクの管理」を開く
- 不要なパーティションを右クリック
- 「ボリュームの削除」を選択
- 警告を確認して「はい」をクリック
- すべてのパーティションを削除すると、全体が「未割り当て」になる
- その領域を右クリックして「新しいシンプルボリューム」を作成
- ウィザードに従って、全体を1つのパーティションとして作成
対処法(Mac)
- ディスクユーティリティを開く
- 対象のドライブを選択(個別のパーティションではなく、物理ドライブを選択)
- 「消去」をクリック
- フォーマットとスキームを選択
- 「消去」を実行
これで、ドライブ全体が1つのパーティションになります。
ケース4:RAWフォーマットになっている
症状
Windowsで「フォーマットする必要があります」と表示される。プロパティを見ると、ファイルシステムが「RAW」と表示される。
原因
- フォーマットが正しく完了していない
- ファイルシステムが破損している
- 互換性のないフォーマットになっている
対処法
この場合は、フォーマットし直す必要があります。
Windowsの場合
- エクスプローラーでドライブを右クリック
- 「フォーマット」を選択
- ファイルシステムを選択(通常はexFAT)
- 「クイックフォーマット」にチェック
- 「開始」をクリック
Macの場合
- ディスクユーティリティを開く
- ドライブを選択
- 「消去」をクリック
- フォーマットを選択(APFSまたはexFAT)
- 「消去」を実行
ケース5:32GB以上のドライブがFAT32になっている
症状
大容量のドライブなのに、32GB程度しか表示されない。
原因
WindowsのGUIツールでFAT32フォーマットすると、32GBまでしか認識されないという制限があります。
対処法
exFATまたはNTFSで再フォーマットします。
- ディスクの管理を開く
- 対象のドライブを右クリック
- 「フォーマット」を選択
- ファイルシステムで「exFAT」を選択
- 実行
ケース6:物理的な故障
症状
- 容量が極端に少ない(例:1TBが10GBなど)
- フォーマットしても容量が変わらない
- エラーメッセージが頻繁に出る
原因
ドライブに物理的な問題がある可能性が高いです。
対処法
- まず、ドライブのエラーチェックを実行
Windowsの場合
- ドライブを右クリック→プロパティ
- 「ツール」タブ
- 「チェック」をクリック
Macの場合
- ディスクユーティリティで「First Aid」を実行
- エラーが多数検出される場合は、ドライブの寿命の可能性があります
- 重要なデータがある場合は、すぐにバックアップを取ってください
- 新しいドライブへの交換を検討しましょう
フォーマット時の注意点

容量問題を避けるために、フォーマット時に注意すべきポイントを紹介します。
適切なファイルシステムを選ぶ
両方のOSで使う外付けドライブ
- exFATを選択
- MacとWindows両方で読み書きできる
- 大容量ファイルに対応
Mac専用ドライブ
- APFSを選択(macOS 10.13以降)
- 高速で効率的
Windows専用ドライブ
- NTFSを選択
- 安定性が高い
パーティション方式の選択
GUIDパーティションテーブル(GPT)
- 2TB以上のドライブで必須
- 最新のパソコンに適している
- 推奨される方式
マスターブートレコード(MBR)
- 2TB以下のドライブで使用可能
- 古いシステムとの互換性が必要な場合のみ選択
クイックフォーマットと通常フォーマット
クイックフォーマット
- 高速(数秒~数分)
- ファイル管理情報のみを削除
- 通常はこちらでOK
通常フォーマット(完全フォーマット)
- 時間がかかる(数時間の場合も)
- ドライブ全体をチェックしながらフォーマット
- 不良セクタを検出できる
- 新品ドライブや調子が悪い時に実行
容量を最大限に使うためのヒント
ドライブの容量を効率的に使うためのコツを紹介します。
不要なパーティションの統合
複数のパーティションに分かれている場合、1つに統合することで管理が簡単になります。
ただし、システムドライブ(Cドライブなど)の場合は注意が必要です。回復パーティションやシステム予約パーティションは、削除しない方が安全です。
定期的なメンテナンス
Windowsの場合
- ディスクのクリーンアップを定期的に実行
- 一時ファイルの削除
- 不要なソフトウェアのアンインストール
Macの場合
- 「このMacについて」→「ストレージ」で容量を確認
- 「管理」から不要なファイルを削除
- システムキャッシュのクリア
圧縮機能の活用
Windowsの圧縮
- ドライブを右クリック→プロパティ
- 「このドライブを圧縮してディスク領域を空ける」にチェック
注意:圧縮すると、アクセス速度が少し低下する可能性があります。
予防策と日常の注意点
容量問題を未然に防ぐために、日頃から気をつけることを紹介します。
購入時の確認
ドライブを購入する際は、実際に使える容量を理解しておきましょう。
実際の使用可能容量の目安
- 1TB → 約931GB
- 500GB → 約465GB
- 256GB → 約238GB
- 128GB → 約119GB
正しい取り外し方
Windows
タスクバーの「ハードウェアの安全な取り外し」から取り外します。
Mac
ドライブを右クリックして「取り出す」、またはゴミ箱にドラッグします。
適切に取り外さないと、ファイルシステムが破損して容量問題の原因になることがあります。
定期的なバックアップ
ドライブの故障は予告なく起きることがあります。
重要なデータは、必ず別のドライブやクラウドにバックアップを取っておきましょう。
エラーチェックの習慣化
月に1回程度、ドライブのエラーチェックを実行すると、問題の早期発見につながります。
よくある質問と答え
新品のドライブなのに容量が少ないのは故障?
いいえ、単位の違いによるものなので正常です。
1TBのドライブが約931GBと表示されるのは、すべてのメーカー、すべてのOSで共通です。
フォーマットしたらデータは完全に消える?
クイックフォーマットの場合、データ復旧ソフトで復元できる可能性があります。
完全に消去したい場合は、専用の消去ソフトを使う必要があります。
容量を回復する方法はある?
未割り当て領域がある場合は、パーティションを拡張することで回復できます。
しかし、単位の違いによる容量差は、回復する方法はありません。これは正常な状態です。
SSDとHDDで容量の見え方は違う?
同じ容量なら、表示される容量は同じです。
ただし、SSDの場合、メーカーが「オーバープロビジョニング」として一部の容量を予備領域として確保していることがあります。
ドライブの寿命はどう判断する?
以下のような症状が出たら、寿命が近い可能性があります:
- 頻繁なエラーメッセージ
- 異常に遅い読み書き速度
- 異音(カタカタ、カチカチ音)
- 認識されたりされなかったりする
このような症状が出たら、すぐにバックアップを取って、新しいドライブへの交換を検討してください。
まとめ:容量問題の理解と対処
フォーマット後の容量がおかしく見える問題について解説してきました。
この記事のポイント
- 容量がメーカー表記より少ないのは、単位の違いで正常
- 1TBが931GB程度になるのは、すべてのドライブで共通
- 未割り当て領域がある場合は、パーティション作成で解決
- 複数パーティションは、必要に応じて統合できる
- RAWフォーマットは、再フォーマットで対処
- 物理的な故障の場合は、ドライブの交換を検討
- 定期的なメンテナンスで問題を予防
多くの場合、「容量がおかしい」と感じるのは、単位の違いによる正常な現象です。しかし、本当に問題がある場合もあるので、この記事の内容を参考に、適切に対処してください。
ドライブの容量を正しく理解して、快適にストレージを活用しましょう。大切なデータは、必ず定期的にバックアップを取ることをお忘れなく。

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