都道府県別 苗字ランキング|47都道府県の多い名字を一覧で紹介

雑学

「佐藤」「鈴木」「田中」──日本で最も多い苗字として知られるこれらの名前ですが、実は都道府県ごとに見ると順位がまったく違うことをご存知でしょうか?
東日本では「佐藤」や「鈴木」が圧倒的に多い一方、西日本では「田中」や「山本」がトップに立つなど、地域ごとに興味深い違いがあります。
この記事では、47都道府県別の苗字ランキングを一覧表とともに詳しく紹介し、地域ごとの特徴や苗字の歴史的背景まで解説します。

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概要

日本人の苗字は10万種類以上あるとされていますが、その分布には大きな地域差があります。
明治安田生命が2018年に実施した「全国同姓調査」(契約者約655万人対象)によると、全国1位の「佐藤」さんは占率1.53%で、2位の「鈴木」さん(1.44%)、3位の「高橋」さん(1.14%)と続きます。
上位10位までの苗字が全体の約10%を、上位100位までが約33%を占めており、特定の苗字に集中する傾向が見られます。
しかし都道府県別に見ると、全国順位とはまったく異なる結果が現れるのが面白いところです。

全国の苗字ランキング トップ10

まず、全国的に多い苗字のトップ10を確認しておきましょう。

順位苗字占率
1位佐藤1.53%
2位鈴木1.44%
3位高橋1.14%
4位田中1.06%
5位渡辺0.94%
6位伊藤0.90%
7位中村0.85%
8位小林0.83%
9位山本0.82%
10位加藤0.71%

出典:明治安田生命 全国同姓調査(2018年)

10人に1人がトップ10の苗字を持ち、3人に1人がトップ100に入るという、かなりの集中度です。
ただしこのランキングは全国の平均値であり、地域に目を向けると様相が一変します。

東日本と西日本で苗字が違う理由

都道府県別ランキングを見る前に、東西の大きな違いを把握しておきましょう。

明治安田生命の調査によると、東日本で最も多い苗字は「鈴木」で、2位が「佐藤」、3位が「高橋」です。
一方、西日本では1位「田中」、2位「山本」、3位「中村」と、全国ランキングとはまったく異なる顔ぶれが並びます。

この東西差には、苗字の由来が深く関わっています。
「佐藤」は平安時代に栃木県佐野で活躍した藤原秀郷の末裔が「佐野の藤原」を略して名乗ったとする説があり、東北地方を中心に広まりました。
「鈴木」は熊野信仰に由来するとされ、紀伊半島(現在の和歌山県)の熊野の鈴木氏が全国に熊野信仰を広める過程で東日本を中心に定着したと考えられています。
「田中」は文字通り「田んぼの中」に由来する地形姓で、水田農業が盛んな西日本に広く分布しています。
「山本」も「山のふもと」を意味する地形姓で、北陸から近畿、中国・四国地方にかけて広く見られます。

このように、苗字の起源と歴史的な人口移動が、現在の地域分布に色濃く反映されているのです。

「佐藤」が1位の都道府県

全国1位の「佐藤」さんですが、都道府県別で1位になっているのは以下の9都道府県です。

北海道、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県、新潟県──いずれも北海道・東北地方に集中しています。

特に秋田県(占率約7.88%)と山形県(約7.36%)では、実に13人に1人が佐藤さんという驚異的な集中度を示しています。
東北地方で佐藤姓が圧倒的に多い理由としては、藤原秀郷の子孫が奥州藤原氏として東北に勢力を広げたことが背景にあるとされています。

「鈴木」が1位の都道府県

全国2位の「鈴木」さんが1位となる都道府県は、茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県の8都県です。

関東地方から東海地方にかけて帯状に分布しているのが特徴的です。
特に静岡県では占率約5.34%と、全国で最も鈴木さんの比率が高くなっています。
前述のとおり、鈴木氏の発祥の地は紀伊半島とされ、熊野の鈴木氏一族が全国に広がる中で関東・東海に多く定着したと考えられています。

「田中」が1位の都道府県

全国4位ながら、都道府県別で1位になっている数が最も多いのが「田中」さんです。
その数は11府県にのぼります。

福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、鳥取県、島根県、熊本県、大分県、佐賀県、長崎県がこれに該当します。
近畿地方と九州北部に集中しており、西日本の代表的な苗字といえるでしょう。

「田中」は地形に由来する苗字であるため特定の氏族に限定されず、水田農業が盛んだった地域で独立的に多数発生したと考えられています。

「山本」が1位の都道府県

全国9位の「山本」さんですが、都道府県別では実に9県で1位を獲得しています。
全国順位の割にトップを取る県が多いのが特徴的です。

富山県、石川県、和歌山県、奈良県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県、高知県──北陸から近畿、中国・四国にかけて広く分布しています。

特に高知県と和歌山県では占率が約1.9%台と、山本さんの比率が全国で最も高くなっています。
「山のふもと」を意味する地形姓であり、山がちな地形が多い西日本の各地で自然発生的に広まったと考えられています。

「高橋」が1位の都道府県

全国3位の「高橋」さんが都道府県別で1位となるのは、群馬県ただ1県です。
全国的には非常にメジャーな苗字ですが、各地域で1位を取るほどの集中度は見られない、いわば「広く浅く」分布している苗字といえます。

ただし東北地方では2〜3位に頻繁に登場し、北海道・東北を中心に東日本全域で上位を占めています。

地域独特の苗字が光る都道府県

全国ランキングでは上位に入らないものの、特定の都道府県では圧倒的な存在感を示す苗字があります。
こうした「ご当地苗字」こそ、都道府県別ランキングの醍醐味です。

青森県:「工藤」が1位

青森県では全国73位の「工藤」さんが堂々の1位です。
全国1位の「佐藤」さんを押さえてトップに立つのは、東北地方の中でも青森県だけの特徴です。
工藤氏は鎌倉時代に藤原南家の流れを汲む一族が陸奥国に移り住んだことに由来するとされています。

山梨県:「渡辺」が1位

山梨県では「渡辺」さんが1位を占めています。
全国5位の苗字ですが、都道府県別で1位になるのは山梨県のみです。
2位に「小林」、3位に「望月」と、独特の顔ぶれが並びます。

長野県:「小林」が1位

長野県では全国8位の「小林」さんが1位です。
2位には全国的には珍しい「丸山」さんが入り、「宮沢」「柳沢」「滝沢」「西沢」など「沢」のつく苗字が上位に多く見られるのも長野県の特徴です。

宮崎県:「黒木」が1位

宮崎県では全国300位台の「黒木」さんがトップという、全国的にはかなり珍しい結果が出ています。
2位には全国381位の「日高」さんが入り、上位に全国ランキング100位以内の苗字がほとんど見られない、極めて独自色の強い県です。

沖縄県:「比嘉」が1位

沖縄県は最も独自性が高い苗字分布を持つ都道府県です。
1位「比嘉」、2位「金城」、3位「大城」、4位「宮城」、5位「新垣」と、本土ではほとんど見かけない苗字が上位を独占しています。

これは琉球王国時代の歴史と深く関わっています。
明治以前まで独立国であった琉球では、王族・士族が「姓」と「家名」を持ち、その家名が現在の苗字に相当しました。
「金城」は琉球語で「かなぐすく」とも読み、城(グスク)に由来する苗字です。
本土との交流が限られていたため、沖縄独自の苗字が今日まで色濃く残っているのです。

漫画・アニメ『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』では、比嘉さんが多いという話が出てきます。

岐阜県:「加藤」が1位

岐阜県では全国10位の「加藤」さんが1位です。
2位に「伊藤」、3位に「山田」と続き、「藤」のつく苗字が目立ちます。

三重県:「伊藤」が1位

三重県では全国6位の「伊藤」さんがトップです。
「伊藤」は「伊勢の藤原」に由来するとされ、まさに伊勢国(現在の三重県)がルーツの苗字がその土地で1位になっているという、わかりやすい例です。

47都道府県別 苗字ランキング一覧(トップ10)

以下に、47都道府県ごとの苗字ランキング(上位10位)を一覧表で掲載します。
赤字がないため、全国100位以外のご当地色の強い苗字は太字で表示しています。

北海道・東北地方

都道府県1位2位3位4位5位6位7位8位9位10位
北海道佐藤高橋佐々木鈴木伊藤田中吉田渡辺小林中村
青森県工藤佐藤佐々木木村成田斎藤中村田中三上高橋
秋田県佐藤高橋佐々木伊藤鈴木斎藤三浦加藤菅原工藤
岩手県佐藤佐々木高橋千葉菊池伊藤阿部菅原鈴木及川
山形県佐藤高橋鈴木斎藤伊藤阿部渡辺後藤加藤遠藤
宮城県佐藤高橋鈴木阿部佐々木千葉伊藤斎藤菅原渡辺
福島県佐藤鈴木渡辺斎藤遠藤高橋吉田渡部菅野橋本

関東地方

都道府県1位2位3位4位5位6位7位8位9位10位
茨城県鈴木佐藤小林渡辺高橋斎藤木村根本中村吉田
栃木県鈴木渡辺佐藤斎藤小林高橋福田石川加藤松本
群馬県高橋小林佐藤新井斎藤清水鈴木吉田中島田中
埼玉県鈴木高橋佐藤小林斎藤新井田中渡辺中村加藤
千葉県鈴木高橋佐藤渡辺伊藤斎藤田中中村石井小林
東京都鈴木佐藤高橋田中渡辺小林伊藤中村加藤斎藤
神奈川県鈴木佐藤高橋渡辺小林田中加藤伊藤中村斎藤

中部地方

都道府県1位2位3位4位5位6位7位8位9位10位
山梨県渡辺小林望月清水深沢佐藤古屋佐野鈴木雨宮
新潟県佐藤渡辺小林高橋鈴木斉藤長谷川阿部五十嵐山田
長野県小林丸山田中中村伊藤清水佐藤高橋宮沢山崎
富山県山本吉田中村山崎田中山田清水中川酒井
石川県山本中村田中吉田山田中川松本山下山崎
福井県田中山本吉田山田小林中村加藤佐々木斎藤山口
静岡県鈴木渡辺望月杉山山本佐藤伊藤山田加藤中村
岐阜県加藤伊藤山田渡辺田中高橋後藤鈴木佐藤
愛知県鈴木加藤伊藤山田山本近藤佐藤田中渡辺水野

近畿地方

都道府県1位2位3位4位5位6位7位8位9位10位
三重県伊藤中村山本田中加藤鈴木小林水谷山口
滋賀県田中山本中村西村山田北川中川木村井上
京都府田中山本中村井上吉田山田西村木村松本
大阪府田中山本中村吉田松本井上山田山口高橋小林
兵庫県田中山本井上松本藤原小林中村吉田前田山田
奈良県山本田中吉田中村松本井上上田岡本山田森本
和歌山県山本田中中村松本前田谷口岡本宮本坂本

中国・四国地方

都道府県1位2位3位4位5位6位7位8位9位10位
鳥取県田中山本山根松本前田谷口中村西村山田小林
島根県田中山本佐々木藤原高橋伊藤渡部松本佐藤
岡山県山本三宅藤原佐藤田中藤井渡辺井上小林山田
広島県山本田中中村藤井高橋佐藤山田井上村上藤原
山口県山本田中中村藤井山下藤本松本河村原田
香川県山本大西三好田中高橋多田中村藤原宮本松本
徳島県山本田中佐藤近藤吉田中村松本高橋
愛媛県山本田中村上渡辺高橋越智佐藤中村白石松本
高知県山本山崎小松田中西村中村吉本高橋松本

九州・沖縄地方

都道府県1位2位3位4位5位6位7位8位9位10位
福岡県田中中村井上山本古賀佐藤山下吉田松本
佐賀県田中山口古賀中村江口井上山本吉田松尾
長崎県田中山口中村山本松尾前田吉田井上松本
熊本県田中中村山本松本村上井上吉田坂本山下
大分県佐藤後藤河野安部渡辺甲斐阿部高橋衛藤田中
宮崎県黒木日高甲斐河野田中山下長友児玉中村井上
鹿児島県中村山下田中池田前田上村福留川畑下園
沖縄県比嘉金城大城宮城新垣玉城上原島袋平良山城

※太字は全国100位以外の、その地域に特徴的な苗字を示しています。
※出典:名字由来net日本辞典 都道府県別苗字ランキングのデータを参考に作成

都道府県別1位の苗字 まとめ

各都道府県で1位を獲得している苗字の分布をまとめると、以下のようになります。

苗字1位の都道府県数主な地域
田中11府県近畿、中国、九州北部
佐藤9道県北海道、東北、新潟、大分
山本9県北陸、近畿南部、中国、四国
鈴木8都県関東、東海
高橋1県群馬県のみ
その他9県各地域の特徴的な苗字

「その他」に含まれるのは、工藤(青森)、渡辺(山梨)、小林(長野)、加藤(岐阜)、伊藤(三重)、中村(鹿児島)、比嘉(沖縄)、黒木(宮崎)、佐藤(大分)などです。

苗字の歴史──なぜ日本にはこれほど多くの苗字があるのか

現在の日本には10万種類以上の苗字が存在するとされています。
この多さは世界的に見ても際立っており、その背景には明治時代の「苗字制度化」の歴史があります。

江戸時代まで:苗字は「特権」だった

江戸時代、公的に苗字を名乗ることが許されていたのは武士や一部の特権階層に限られていました。
ただし、庶民がまったく苗字を持っていなかったわけではありません。
私的な場では農民も苗字を使用していた事例が全国から報告されており、「庶民に苗字がなかった」というのは正確ではないとされています。

1870年:平民苗字許可令

明治時代に入ると、近代国家建設の一環として戸籍制度の整備が急務となりました。
1870年(明治3年)9月19日、明治政府は「平民苗字許可令」を布告し、庶民にも公的に苗字を名乗ることを許可しました。
しかし「許可」にすぎなかったため、「苗字を名乗ると税金を多く取られるのではないか」と警戒する人が多く、届け出はなかなか進みませんでした。

1875年:平民苗字必称義務令

苗字の届け出が普及しないことに業を煮やした明治政府は、1875年(明治8年)2月13日に「平民苗字必称義務令」を布告します。
国立公文書館に残る布告には、「自今必ず苗字を相唱うべく、もっとも祖先以来の苗字不分明の向は新たに苗字を設くべし」と記されています。
つまり、「必ず苗字を名乗りなさい。わからない者は新たに苗字をつけなさい」という義務化です。

この布告により、苗字の種類は爆発的に増加しました。
Wikipedia「平民苗字必称義務令」によると、江戸時代の苗字は約3万種だったのに対し、現在は約12万種に増加しており、増加分の約9万種は明治期に新たに創出されたものとされています。

苗字の付け方

新しく苗字を付ける際、その方法はおおむね以下のパターンに分かれました。

  • 祖先が住んでいた土地の地名を苗字にした(最も多いパターン、全体の約8割)
  • 代々使っていた屋号を苗字にした
  • 職業に由来する名前をつけた
  • 地元の庄屋や寺の住職に頼んでつけてもらった

地名由来の苗字が圧倒的に多いことが、現在の地域的な偏りを生んでいる大きな要因です。

まとめ

  • 全国1位の苗字は「佐藤」だが、都道府県別で最も多くの県で1位を取るのは「田中」(11府県)
  • 東日本は「佐藤」「鈴木」、西日本は「田中」「山本」が優勢で、東西で明確に分かれる
  • 全国順位は低くても特定の県では1位になる苗字がある(「工藤」「黒木」「比嘉」など)
  • 沖縄県は琉球王国の歴史を反映し、本土とはまったく異なる苗字分布を持つ
  • 西南日本ほど珍しい苗字が多く、東北地方ほど特定の苗字への集中度が高い傾向がある
  • 現在の苗字の多様性は、1875年の「平民苗字必称義務令」による苗字の義務化が大きな契機となった

自分の苗字が住んでいる都道府県でどのくらいの順位なのか、調べてみると新たな発見があるかもしれません。

参考情報

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この記事で参照した情報源

公的機関・学術資料

統計データ・データベース

参考になる外部サイト

※苗字の全国順位・占率は調査時期やデータソースにより変動する場合があります。本記事のデータは主に2018年時点の調査結果に基づいています。

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