「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない」とは?元ネタと文化的背景を徹底解説

「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!」というフレーズを、インターネット上で見かけたことがある方は多いのではないでしょうか。
このインパクトの強いセリフは、2000年代初頭のインターネット文化から生まれた有名なミームです。
この記事では、このフレーズの元ネタ、その後の展開、インターネット文化への影響について詳しく解説します。

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「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!」とは

「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!」は、2000年代初頭のインターネット掲示板で広まった有名なセリフです。
現在ではインターネットミームとして、さまざまなパロディやMAD動画が作られています。

正確な表記

正確には「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!」と、感嘆符(エクスクラメーションマーク)が付きます。
ただし、インターネット上では感嘆符が省略されることも多く、「お兄ちゃんどいてそいつ殺せない」と表記されることもあります。

元ネタ:S県月宮事件

このフレーズの元ネタは、「S県月宮事件」と呼ばれるインターネット上の投稿です。
2002年頃、2ちゃんねるのラグナロクオンライン関連スレッドに投稿された内容が元になっています。

S県月宮事件の概要

「S県月宮事件」は、ラグナロクオンラインというMMORPGのプレイヤー間で起きたとされるトラブルを描いた投稿です。

登場人物:

  • 374(さんななよん): 投稿者、男性プレイヤー
  • S県月宮: 374を「お兄ちゃん」と呼び、妹だと思い込んでいた女性
  • アコ: 374の友人、女性プレイヤー

事件の流れ

投稿された内容によると、以下のような経緯で事件が起きたとされています。

ゲーム内での出会い:

  1. ラグナロクオンライン内で、S県月宮が374を「お兄ちゃん」と呼び始める
  2. 374は迷惑がるも、S県月宮は「妹と呼んでねお兄ちゃん」「お兄ちゃんと私の仲でしょ」と聞く耳を持たない
  3. 「私とお兄ちゃんは前世からずっと一緒になるって決まってたんだもん」などの発言
  4. 374の友人アコに対し、「私達の仲を引き裂こうとする魔女のしもべ」という設定を創造

現実世界でのトラブル:

  1. S県月宮が374の住所を特定し、「日曜日行くから」と宣言
  2. 2002年8月10日深夜、S県月宮が374の自宅ドアを警棒で殴打・破壊
  3. 止めに入った374の太ももを殴りつける(374の顔を知らなかったため)
  4. 警察に連行されるも、両親が迎えに来て帰宅
  5. わずか10時間後、再び家を出てしまう

クライマックス:

  1. 8月11日午後6時、374とアコが居酒屋から出た後、人気のない住宅街でS県月宮が襲撃
  2. S県月宮が警棒でアコを殴り倒す
  3. 374がアコをかばうと、S県月宮が放ったのが「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!
  4. 立ち上がったアコがS県月宮にラリアットをして昏倒させる
  5. 警察に通報、S県月宮は連行される

重要な注意点:実話ではない可能性が高い

複数のソースで、「S県月宮事件は実話ではなく作り話」「ネタである」と指摘されています。
当時の2ちゃんねるでは、創作の怪談や都市伝説風の投稿が流行しており、この投稿もその一つだった可能性が高いです。

ただし、実話かどうかにかかわらず、このフレーズのインパクトの強さから、インターネット上で広く拡散されました。

ヤンデレの原型

S県月宮のキャラクター性は、現在「ヤンデレ」と呼ばれるキャラクター属性の典型例です。
しかし、この投稿がなされた2002年頃は、まだサブカルチャーにおいて「ヤンデレ」という概念が確立されていない時代でした。

「ヤンデレ」という言葉が一般化するのは2005年頃からであり、S県月宮事件はそれより前の出来事とされています。
そのため、この事件はインターネット上に大きな衝撃を与え、後のヤンデレキャラクター文化に影響を与えたとも言われています。

電波ソングとしての展開

このフレーズは、その後「電波ソング」として曲になりました。

PROJECT”D”による楽曲化

「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!」は、PROJECT”D”によって電波ソングとしてCD化されました。
作詞は2ちゃんねるのスレッド住民によるもので、S県月宮事件をモチーフにした歌詞が特徴です。

歌詞の特徴

歌詞は、S県月宮の視点から描かれており、以下のような内容が含まれます。

  • 「お兄ちゃん」への一方的な好意
  • 前世からの因縁という妄想
  • アコを「魔女」と呼び、敵視する内容
  • 病的なまでの執着心

素面では思いつけないような歌詞が、電波ソングファンから高く評価されました。
まだ「ヤンデレ」というカテゴリーが確立されていなかった時代に製作されただけあって、型にはまっていない暴走っぷりが特徴です。

シリーズ展開

「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!」には続編も存在します。

  • 「そいつもっと殺せない」(2曲目)
  • その他、全3曲のシリーズとして展開

ただし、カラオケ店には正式には収録されていません。
カラオケ版の動画はインターネット上に存在します。

アニメMADやパロディへの展開

「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!」は、その後さまざまなアニメMADやパロディ作品が作られました。

ニコニコ動画での人気

ニコニコ動画では、このフレーズを使ったMAD動画が数多く投稿されています。

代表的な作品には以下のようなものがあります。

  • 「色んなアニメのお兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!をまとめてみた。」(2016年)
  • 「アイドルマスター 雪歩『おにいちゃんどいて そいつ殺せない』」(2008年)
  • その他、多数のアニメキャラクターを使ったパロディMAD

アニメやマンガでのパロディ

このフレーズは、アニメやマンガ作品でもパロディとして使われることがあります。

例えば、『平成ヲタクリメンバーズ』(伊緒直道、サンデーうぇぶり連載)では、第20話のタイトルが「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない」となっています。
この作品は、平成のオタク文化を振り返る内容で、当時のインターネットミームを題材にしています。

2000年代インターネット文化としての意義

「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!」は、2000年代初頭のインターネット文化を象徴するミームの一つです。

当時の文化的背景

2000年代初頭は、インターネットが急速に普及し、2ちゃんねるなどの匿名掲示板文化が隆盛を極めた時代でした。
この時期には、以下のような特徴がありました。

  • 怪談や都市伝説風の創作投稿が人気
  • 「電波」と呼ばれる、理解不能な言動を面白がる文化
  • 「ネタ」と「マジ」の境界が曖昧
  • インターネットスラングが次々と生まれる

「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!」は、こうした時代背景の中で生まれ、広まっていきました。

他のインターネットスラングとの比較

同時期に生まれた有名なインターネットスラングには、以下のようなものがあります。

  • 「ぬるぽ」「ガッ」
  • 「うそはうそであると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい」
  • 「やっぱり神様なんていなかったね」
  • 「ご覧の有様だよ!!!」
  • 「鮫島事件」
  • 「スーパーハカー」

これらのスラングと同様に、「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!」も2000年代のインターネット文化を代表するフレーズとして定着しました。

現代における受容

2020年代の現在でも、このフレーズは一定の知名度を持っています。

ミームとしての利用

現代では、主に以下のような文脈で使われます。

  • 兄妹キャラクターが登場する作品でのパロディ
  • ヤンデレキャラクターの典型的なセリフとして
  • 2000年代のインターネット文化を懐かしむ文脈
  • 「兄が邪魔で敵を攻撃できない」というゲームシステムのネタ

対義語的な存在

近年、呪術廻戦に登場する脹相(ちょうそう)が発した「どけ!!!俺はお兄ちゃんだぞ!!!」というセリフが、「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!」の対義語的な存在として話題になりました。

こちらは「弟を守るために兄が前に出る」という、まったく逆のシチュエーションです。

まとめ

「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!」は、2000年代初頭のインターネット掲示板から生まれたミームです。
ラグナロクオンラインを舞台とした「S県月宮事件」という投稿が元ネタですが、実話ではなく創作である可能性が高いとされています。

このフレーズは、その後電波ソングとして曲になり、さまざまなアニメMADやパロディが作られました。
また、「ヤンデレ」という概念が確立される前の時代の話であり、後のヤンデレキャラクター文化に影響を与えたとも言われています。

2020年代の現在でも、2000年代のインターネット文化を象徴するミームとして、一定の知名度を持ち続けています。
インターネット文化の歴史を語る上で、欠かせないフレーズの一つと言えるでしょう。

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